【気になるトレンド用語】コンプライアンスは企業の義務です


「弊社はコンプライアンスを最優先しております。」といったことが言われるようになって久しいですが、コンプライアンスとは何か。あるいはコンプライアンスを実践するとはどのようなことをさすのかを明確に把握している方は、どのくらいいるのでしょうか。

今回は、昨今騒がれているコンプライアンスについて見てみましょう。

■コンプライアンスとは
コンプライアンスは、日本語で「(要求・命令などに)従うこと、応じること」と訳されます。もともとは1960年代に米国で独禁法違反、株式のインサイダー取引事件などが発生した際に用いられた法務関連の用語で、特に企業活動においては「法令遵守」を意味して「ビジネスコンプライアンス」ともいいます。

コンプライアンスは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、法律や規則などに従って活動を行うことです。企業においてのコンプライアンスについては、企業の社会的責任(CSR)とともに重要な理念として、最近は非常に重視されてきています。企業が守るべき法律や規則は、民法や商法はもちろんのこと独占禁止法、不正競争防止法、労働法、消費者保護法など多数あり、それらの法律をすべて遵守する必要があります。

英語の“compliance”は「(命令や要求に)応じること」「願いを受けいれること」を意味していることから、近年では法律に限らず、社会通念、倫理や道徳を含む規範を守ることと解釈されています。企業などでの隠ぺいや不正発覚が多発していることから重要視されるようになりました。

法律以外では、監督官庁の命令・指導なども遵守すべき対象で、営業活動や市場競争の公正さ、消費者への情報公開、適正な職場環境(過労死、セクシュアル・ハラスメントなど)、公務員や政治家との関係(癒着、贈収賄など)、証券市場における取引など、多方面で高い倫理(企業倫理)が求められるようになっています。コンプライアンスは全役員・従業員に徹底させなければ意味がありません。また大企業については内部統制システム構築義務が課されています。

■コンプライアンスを問われた事例
もっとも身近な例では数々の食品偽装事件が該当します。
・不二家での消費期限切れの原料などを使用した問題や消費期限を不正に表示した問題
不二家、大阪の工場でも期限表示で不正

・ミートホープの偽装牛ミンチ事件
50ニュース10月:ミートホープ元社長ら4人逮捕

・赤福の売れ残りの商品を再出荷していたほか、あんともちを分離してそれぞれ再利用していた問題
再利用…赤福の中身には不正がタップリ

・船場吉兆の原材料の不適正表示、期限表示ラベルの張り替え問題
船場吉兆の不正表示、新たに27商品

防衛関連では、防衛装備品納入にかかわる問題が発覚していますね。

・山田洋行の海上自衛隊ヘリコプターの装備品代金を水増し請求した問題
防衛庁職員が「山田洋行」不正を隠蔽

・日本ミライズの航空自衛隊の次期輸送機(CX)エンジンに関する契約に係わる疑惑
宮崎元専務逮捕 防衛利権の不正徹底解明を

これら以外にも、建設業では耐震強度の偽装や談合、贈収賄事件が新聞をにぎわすことが珍しくありませんね。

■コンプライアンスを実践する仕組み
コンプライアンスが重要視される背景には、違法行為や反社会的行為によって消費者や取引先の信頼を失墜することで、企業の事業継続が不可能になる事件が頻発するようになったことがあります。企業にとっては、コンプライアンスを遵守しアピールすることは、リスクマネジメント活動としてとらえられている場合が多いようです。

ではどのようにコンプライアンスの遵守を企業内で実践するかが課題となります。そのためには会社の事業規模・特性等に応じた内部統制システムを構築する必要があります。また内部統制システムを構築しているか否かを監視することも必要とされています。

方策としては、社外取締役や執行役員制度の導入等の経営監視システムや内部統制システムの構築、コンプライアンス・マニュアル及び各種内部組織の規則等の作成、並びに不祥事件発生時の組織内外への対応などが有効とされています。これらは、コーポレートガバナンス(会社統治)と呼ばれ、東京証券取引所に上場している企業であれば、取引所を通して「コーポレートガバナンスに関する報告書」で取り組みを参照することができます。

法律を守ることは、法治社会で生活を行ううえでの最低限のルールです。それすらも声高に叫ばなければならないことは悲しいことですね。

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