【気になるトレンド用語】ウィキペディア改ざん騒動の原因″WikiScanner″ってなに?


インターネットでわからないことがあったときに役立つのがネットの百科事典"ウィキペディア(Wikipedia)"です。ウィキペディアは、インターネットを利用する人全てが平等に使えるだけでなく、多くの人たちが情報を登録してきたことで、できあがっています。

まさに善意の象徴ですね。ところが、最近、このウィキペディアの情報が企業や官公庁が自分たちの都合で編集・改ざんされているという事実が発覚し、大変なショックを巻き起こしました。
ただ、ウィキペディアは元々誰でも内容を編集できますが、どうして勝手な編集だとわかったのでしょうか?

今回は、"ウィキペディア"改ざん騒動を起こした原因"WikiScanner"についてみてみましょう。

■WikiScannerってなに?

WikiScannerは、カリフォルニア工科大学情報工学専攻のバージル・グリフィス(Virgil Griffith)氏によって開発されたツールがWikiScannerです。

WikiPediaは誰でも編集可能ですが、情報を編集した際にパソコンのIPアドレスも記録されています。WikiScannerは、WikiPediaに残されたIPアドレスを逆たどることで、企業や官公庁などのパソコンから編集されたかわかるようになっています。

IPアドレスは、インターネットに接続しているすべての端末に割り当てられている番号で、パソコンのインターネット上の住所ともいえるものです。個人のパソコンの多くは接続するたびに異なったIPアドレスが割り当てられますが、官公庁や企業などの大きな組織では一定の範囲のIPアドレスが利用されています。

つまり、記事の当事者に都合の悪い箇所の改ざんや敵対者への誹謗中傷などの編集が、企業や官公庁のパソコンからされたものかどうかがわかってしまうわけです。

バージル・グリフィス氏は、こうした改ざんをインターネットユーザーが厳しくチェックできるようにとWikiScannerを公開されたそうです。英語版に加え、ドイツ語版と日本語版も公開しています。

■WikiScannerの使い方は?

1. 調べたい組織のドメイン名を調べます。
2. WHOISのサイトで調べたい組織のドメイン名を入力します。
3. 表示されたドメイン情報の中からOrganizationの項目に表示されている英語の組織名を選択してコピーします。
4. WikiScannerを開いて"その組織を特定する"の"名前:"の項目に貼り付けます。
5. "私の被害者"のボタンをクリックします。
6. 該当組織のIPアドレスが表示されますので、調べたいIPアドレスにチェックをつけて"WikiPediaの編集をご覧ください"のボタンをクリックします。
7. チェックをつけたIPアドレスの編集履歴の一覧が表示されます。
8. 表示されているタイトルを手がかりに"diff"の数字をクリックすると具体的な編集履歴が表示されます。

もっと手軽にWikiScannerを試したい場合は、"ユーザーから提供された組織"のリストから気になるものを選択すれば、編集履歴の一覧が表示されます。

■官公庁や企業による編集が話題に

官公庁でも宮内庁が"天皇陵"に関する記述から一部を削除した例がありますが、農林水産省のガンダムに関する編集などが知られています。履歴をよく見ますと、冨野由悠季さんの作品が好きなのでしょうが、職場からすることではないですね。
もっとも、年金問題に揺れる厚生労働省内部から民主党の代議士への中傷などは編集問題の深刻な一面をのぞかせています。

農水省職員らウィキペディア書き込み 「ガンダム」に260件も
朝日からウィキペディア修正820件! 厚労省の8倍の仰天事実
NHKで「ネット私的利用」横行 次々ウィキペディア修正
総務省や文科省もWikipediaを編集していた 「WikiScanner」日本語版で判明

■WikiScannerが記事と組織を守る

ウィキメディア財団の名誉理事長であるジミー・ドナル・ウェールズ(Jimmy Donal "Jimbo" Wales)氏は、WikiScannerについて「すばらしい…気に入った。このツールはWikipediaにおける加筆者の情報をこれまで以上に得られる。俺はこんなツールを待っていた!」と絶賛しています。
このWikiScannerを使ってユーザーが編集内容を監視することで、ウィキペディアの正当性と中立性が保たれていくだけでなく、企業や官公庁などの組織にとっては恥ずかしい編集の抑止力となるでしょう。

ウィキペディアは、"Wikipedia:自分自身の記事をつくらない"を熟読して利用していきたいものですね。

WikiScanner - Wikipedia

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