【カオス通信】4コマ漫画雑誌のムーブメントを探る


ヒマつぶしに漫画でも、と思った時に選択肢として上がってくるのがコンビニなどで買える4コマ漫画雑誌。最近、個人的に4コマ漫画の単行本を買う機会が多くなってきたのですが、どうやらこれは4コマ漫画全体の質が向上しているのが原因の予感。今回はそんな漫画の連載元である雑誌をじっくり読み込んでみました。そこには意外にもディープな世界が広がって……。

■『月刊まんがライフMOMO(2007年3月号)』発行:竹書房


おんなのこだらけの萌え表紙。脳内でチョコを貰えたら免許皆伝。来月予告の一部。お父さんが年下……って新しすぎる。実にイイ。

アニメ化もされた『せんせいのお時間(作:ももせたまみ)』が看板作品。今回入手した雑誌の中では最もアキバチックで、誌面から「萌え」のスメルが匂い立ってました。それなりに面白いのですが、登場キャラの予備知識がないと意味不明の連載作品が多く、初見では結構戸惑ってしまいそうです(キャラ設定が欄外に書かれてたりしますが効果は微妙)。ただ、何度か読み返すと面白くなってきたので、続けて読むと結構いいのかも。

他には月刊モーニングの4コマ漫画で有名(?)なカラスヤサトシの連載、脳内妄想で萌えまくる投稿企画『萌え川柳』、声優・南央美の超人的にユルいエッセイなど、チャレンジ精神に溢れた誌面構成が特徴的です。

掲載作品はホンワカ&ほのぼの系が多く、ストレートに笑わせることよりも「いかに読者を萌えさせるか」に重点が置かれている模様。まるでココアにホイップクリームを大量にブチ込んで飲んだかのような読後感は読者を選ぶこと必至です。普通にイメージされる4コマ漫画雑誌とは明らかに違いますが、選ばれし勇者にとってはお宝かも。
(総合評価)★★★☆☆

<注目作品>
『ピュアコン(作:いのうえ義成)』>ツンデレ+眼鏡+黒髪ショートの愛澤さんが個人的に超ストライク。ネタ的には発展途上の感がありますが、今後に期待。

■『月刊まんがタウン(2007年3月号)』発行:双葉社


しんちゃんは日本漫画界の至宝。年々価値が上がっている気がする。キタ━━━(゚∀゚)━━━!!  これ大好き。百合&シスコン超最高!

説明不要の国民的大漫画『クレヨンしんちゃん(作:臼井儀人)』を掲載。しんちゃんは4コマ漫画ではないものの、コマ割りがタテに4分割されているせいか違和感はありません。今時こういうコマ割りをする漫画家は、失踪して消えかけた我妻ひでおくらいしか見ないので実に貴重です。ネタの発想が中学生レベルだったり、ネーミングが適当(※1)だったり、フォロワーが存在しない画風だったりと孤高を極めまくり。まさに別格です。

(※1)ネーミングが適当:骨が丈夫なお姉さん=「古津光度 良(こつみつど りょう)」、大学教授の名前=「謎尾 探(なぞお さぐる)」、イタめし屋の店名=「ハライッペーニ・ナリヤガーレ」。すごく、適当です。

このまんがタウンはキャラの立った作品が多く、初見の作品でも普通に楽しめました。このあたりは漫画を得意とする双葉社の面目躍如といったところでしょう。個人的には『三丁目の夕日』で有名な西岸良平の短編が読めるというところが高ポイント。ただ、巻末に2色刷で掲載された『かりあげクン(作:植田まさし)』の浮きっぷりが何だか気になります。昔からあまりにも変わってないので、そこだけ昭和というかまるで戦後の雰囲気。いろいろ事情はあるのでしょうが、他に活躍の場を移した方がいいような……。
(総合評価)★★★★☆

<注目作品>
『光の大社員(作:OYSTER)』>シュールなネタをさらりと投げっぱなす4コマ漫画。絵柄はアニメ風味で榎本俊二のノリに近いものがある。

■『別冊本当にあった笑える話(2007年3月号)』発行:ぶんか社


本当にあった〜シリーズって、なんだかやたら沢山ありますよね。4コマ漫画=ファミリー向けの固定概念をブチ壊す脅威の投稿ネタ。

総力特集「みんなのプチ犯罪告白」の黒さにゲンナリ。拾った○ィトンの手帳を質屋で換金、中学生で援助交際、真夜中に近所の畑で野菜を盗む父、アメリカから取り寄せた頭痛薬で麻薬中毒など、読むと鬱になれる話がてんこ盛り。中には笑い飛ばせるネタもありますが、主役が一般人だけに後味の悪さばかりが残ります。これが例えば、悪徳ホストが客を食い物にしている、とかなら他人事なので「夜の世界は恐いなあ」で終わります。ですが、身近に犯罪者がいるという設定となると生々しすぎて……。正直、ヒイてしまいました。特集以外の掲載作品は結構面白かったので、何だかもったいなさを感じます。

この本のコンセプトは、雑誌名からも分かるようにネタの大半が読者からの投稿を元にしています。ところが読んでみると、投稿ネタよりも漫画家の実体験ネタの方が圧倒的に面白かったりします。具体的には、担当編集(26歳・男)の彼女が48歳……と思っていたら実は55歳だったとか、ホモの友人から偽装カップルの相手を頼まれるとか、バイセクシャルの彼氏のショタコン趣味が重症で「小池徹平はこの世で一番美しい……」と彼女に語ってくるとかステージの高いネタが炸裂しまくり。

一番印象的だったのが、多忙でオンナを捨てかけている主婦漫画家・うぐいすみつるのエピソード。毎日4〜5時間睡眠&1日中ジャージで生活という日々の中、5歳の娘と一緒にお風呂に入って「なんか、おかーさんのおちちさぁ… おばーちゃんのおちちみたいになってきたねー」と指摘され、天地が引っくり返る大ショックを受けるおかーさんの動揺アクション4連続! ライター生活で似たような状況に陥りがちの身としては、おかーさんが不憫でたまりません……。我が身を削ってネタにするプロ根性に脱帽。
(総合評価)★★★☆☆

<注目作品>
『どこまで呑むの?(作:あっきう)』>前述のホモネタ使用作品。基本的には作者の呑んだくれライフを描く漫画で、別にホモ漫画ではない。漫画の中で作者は友人に、もう自分がホモだってバラした方が楽なんじゃない?と助言もしているのですが、友人曰く「バラしたら一緒にサウナとか入ってもらえなくなるでしょー! 同僚の子と会社がえりにサウナに行くのが最近の唯一の楽しみなんだからーーっ!!」と吠える姿に全米が泣いた。ゲイのみなさん、ホモホモ書いてすみません。漫画内でそう書いてあったので大目に見てやってください(願)。ちなみに私はノンケですよ。

■アキバ系カオス通信バックナンバー
第13回「テクノ音楽でピコピコしよう」
第12回「アイドル雑誌で萌えあがれ!」
第11回「腐女子コミックの乙女心」
第10回「『どろろ』と『鉄コン筋クリート』」
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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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