【カオス通信】アイドル雑誌で萌えあがれ!
※紹介雑誌は都内専門店にて入手した、アイドル黄金時代の80年代ものが中心。全部ジャケ買いです(そもそも購入時、外側はビニールパッケージされていたので中身の確認はできませんでした)。
■『月刊平凡(1986年10月号)』発行:マガジンハウス
この写真の田原俊彦にはオーラがある。アイドルだったんだよね。 | 斉藤由貴&明星食品のコラボ。今なら「萌えろはんばーぐ」で確定。 |
表紙は小泉今日子(キョンキョン・20歳)&田原俊彦(トシちゃん・25歳)のターザンルック。今ならこのトシちゃんのポジションに亀梨和也が収まるのか……、と思うとなんとも複雑な気分になれます。巻頭特集はキョンキョンの宮崎サファリパーク特写で、タイトルは「コ・イ・ズ・ミだって動物だ!」。表紙と同じターザンルックで、象をバックにバナナにかじりついたり、生後2ヵ月半の小ライオンを抱きかかえてニッコリしたり、ニシキヘビが絡みつく木の上でたじろいだりと、ありえないほど体を張りまくり。
一方トシちゃんは、愛車のポルシェで編集部S記者とゴルフ休暇を満喫。これはS記者が誘ったところ「ナ、ナントO・Kの返事」がもらえたので実現したと書かれてます。集合場所は東名御殿場インター、向かう先はマガジンハウスの保養所。意気込んでフルスイングするドライバーは若干スライス気味だった模様です。「男25歳、まだやらなくっちゃならないものだらけ。そのためにも、よりよい仕事をするための自分の時間をより大切にしたい。遊ぶときはおもいきり遊ぶ。これが俺の哲学」というコメントは、今読むとハングリー精神に欠けるような気がします。
若手芸人顔負けの仕事を笑顔でこなすキョンキョンと超リラックスのトシちゃん。二人の仕事ぶりはまるで違います。そして現在どちらが業界で存在感を示しているかは明白。やはりアイドルたるもの、サービス精神&プロ根性は旺盛な方が正しいと実感できます。
誌面では他にもスーパーマリオブラザースII(ディスクシステム)に興じる中山美穂(16歳)、つまんなさそうな顔でスカートをひるがえす国生さゆり(19歳)、全国七大都市ツアー・レッスン中の南野陽子(19歳)、京都でTVドラマ撮影中の早見優(19歳)など、綺羅星のごときアイドル達の情報がてんこ盛り。バラエティに富んでいて現在も活躍中の人材が多いだけに、今見ても見ごたえがあります。
■『月刊明星(1989年4月号)』発行:集英社
「春風いちばん!特大号」のコピーに時代を感じる。今なら使えない。 | かわえええええええええ!!!! この頃の宮沢りえの可愛さは異常。 | 光GENJIが不二家のお菓子をコマーシャル。すたーらいっ、すたーらいっ。 |
錦織一清(少年隊・23歳)、小高恵美(16歳)、酒井法子(18歳)、宮沢りえ(15歳)の4名による表紙。編集後記に「今月の表紙は、宮沢りえちゃんと小高恵美ちゃんが初登場! キンチョーぎみのふたりを、先輩のニッキとのりPが、やさしくカバーしていました(パチパチ)」との記述あり。そういえば、ニッキ(錦織一清)は最近見ませんが、今何してるんでしょうか……。
誌面を賑わすアイドル達の面々は、異常に若いSMAP(木村拓哉が16歳)、のりピー語がネイティブ言語の酒井法子、所沢と西武ライオンズ大好きをアピールする相田翔子(Wink・19歳)、真っ赤なワンピースの水着姿を披露する渡辺満里奈(18歳)、ブルーハーツのコンサートに大感激の宮沢りえ、映画『YAWARA!』のロケで阿部寛と一緒にビーチを歩く浅香唯(19歳)、アイドル時代のスリムな彦麻呂(22歳)などなど。
前述の『平凡』と比べると、平均的なタレントのネームバリューは落ちてますが、まだまだ全然大丈夫。アイドルの男女比率も半々くらいで、これなら総合情報誌として男女問わず楽しめます。ちなみに『明星』は『Myojo』と名前を変えて現在も発行されていますが、今はすっかりジャニーズの機関誌状態。男性読者はまったく眼中にない、完全な女性向けアイドル誌に変貌しています。
試しに最新号(2007年3月号)を買って読んでみましたが、ガッキー(新垣結衣)の2P&堀北真希の2P&上戸彩の3P企画くらいしか正直興味が湧きませんでした。大量掲載のジャニーズ関連記事は、ほぼスルー。別に嫌いではないのですが、個人的にキャラが面白いと思えるのが田中聖(KAT-TUN)と堂本光一(KinKi Kids)くらいなので仕方ありません。これで580円(税込)はコストパフォーマンス悪すぎです。いろいろ事情があるのでしょうが、なんとなく寂しい気がします。
明星誌面広告。中森明菜(23歳)。これはヤバイ、惚れるってマジで。 | 明星の付録。池谷幸雄(18歳)にもアイドル扱いされた過去があった。 | 浅香唯がAXIAに与えた好印象を体感せよ。イイイヤッホオオオウ!! |
他にも上戸彩のチャイナドレス(李香蘭Ver.)が可愛いすぎる『Kindai(2007年3月号)』なども読みながら、昔と今のアイドル誌の違いを熟考。その結果、両者には「親近感」に大きな違いがあるように思えてきました。80年代のアイドル達は、時に計算外と思える無邪気な姿を読者に見せてくれます。それは普通に見れば間抜けな表情やポーズですが、親しい友人が見せる姿のようでもあり、思わず親近感を覚えてしまうのです。
一方、現在のアイドル誌にそういった要素はあまり見つかりません。掲載される写真や文章はプロデュースの行き届いたものばかりで、「スキ」がないのです。スキがない=ツッコミどころがないので、読者がアイドルの言動に思わずツッコんでしまい、いつのまにか興味が湧くという現象は起こりにくくなっている気がします。このあたりを上手くやれば、もっと広くアイドルの魅力を伝えることができそうなんですが……。
今やアイドル達がアピールする舞台はTVのバラエティ番組などに移行し、ツッコミはお笑い芸人が担当するという構造が主流の予感。雑誌を媒介ツールにして、アイドルとファンがコミュニケーションを取り合うというカタチは、スタイルとしては古くなった気がします。とはいえ、紙媒体が得意とする分野(グラビア・ライブレポート・インタビューなど)へのニーズがある限り、アイドル雑誌は今後も存続していけるはずです。
一部のコアなファンだけで盛り上がるアイドルにも良さはありますが、そろそろ真に「国民的アイドル」と呼べる才能が出てきてほしいところ。不景気な世の中に風穴を開ける、ビッグバンなアイドルと一日でも早く出会いたいと思う今日このごろなのであります。
■アキバ系カオス通信 最新記事
・第11回「腐女子コミックの乙女心」
・第10回「『どろろ』と『鉄コン筋クリート』」
・第9回「マニアック芸人の明日はどっちだ?」
・第8回「麻生外相のアニメ文化大使構想を考える」
・バックナンバー一覧
■独女通信 | ファンキー通信
レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
Copyright 2007 livedoor. All rights reserved.