超細長い5インチ液晶で小型で持ちやすいミドルレンジスマホ「P-UP Mode1 GRIP」をじっくり使って気が付いた点をまとめてみた【レビュー】
小さなボディーに多くの個性が光るピーアップのスマホ「Mode1 GRIP」を実際に使って気が付いたアレコレを解説 |
既報通り、携帯電話ショップ「テルル」などを運営するピーアップ(P-UP)の子会社であるP-UP Worldからオリジナルブランド「Mode1」シリーズの新しいスマートフォン(スマホ)「Mode1 GRIP(モードワン グリップ)」(型番:MD-05P)が10月10日に発売されました。
Mode1 GRIPは画面の大型化に伴う本体サイズの巨大化の進む昨今においては比較的珍しい、成人女性でも片手でしっかりと保持できる細長い形状のエントリーからミドルレンジに相当する製品で、希望小売価格は22,000円(金額はすべて税込)と手にしやすい価格帯となっています。
またおサイフケータイ(FeliCa)にこそ対応していませんが、防水・防塵やワイヤレス充電(Qi)に対応しており、SIMロックのかかっていないSIMフリー製品のメーカー版であるため、nanoSIMカード(4FF)スロットが2つあるデュアルSIMデュアルVoLTE(DSDV)にも対応しているなど、尖った一面も持っています。
発売前にメーカーより提供してもらったため、以前に開封して外観や同梱品、プリインストールアプリなどを紹介した記事を掲載していましたが、本記事ではその後しばらく実際に本機をじっくりと使ってみて気が付いた点などを紹介してみたいと思います。
■シンプルなのに特徴豊富な「Mode1 GRIP」の特徴(ポイント)
・持ちやすさ追求した細長いボディ
5.8インチのスタンダードスマホ「AQUOS sense4」(シャープ製)と並べたところ。コンパクトさを意識しつつも小さ過ぎない絶妙な本体サイズ
やはり最大の特徴はアスペクト比9:22.5と超縦長い約5.0インチHD+(576×1440ドット)TFT液晶を搭載していることでしょう。これまで映画のスクリーン(アスペクト比2.35:1)とほぼ同じアスペクト比9:21.5の「Xperia」シリーズもかなり縦に長いと思っていましたが、Mode1 GRIPはさらに縦に長いのです。
これにより、サイズは約138×56×10mmと、最近のスマホとしてはかなり横幅の狭い、持ちやすさを実現するためのコンパクトさと、日常においてスムーズに実用して使っていける大きさの絶妙なバランスを両立しています。
例えば、4.7インチのiPhone SE(第2世代)は約138.4×67.3×7.3mm、4.0インチの初代iPhone SEは約123.8×58.6×7.6mmと、横幅で言えば初代iPhone SEよりも狭いのです。
またかさばらないサイズ感を維持しつつも普段使いにも困ることのない(見やすさ・操作に支障のない程度の)画面の大きさを持っているため、Androidスマホをこれまで利用してきた人であれば何の問題もなく使っていけるでしょう。
これはさらにコンパクトサイズなスマホである「Jelly2」(Uniherz製)などもありますが、画面サイズが3インチの超小型モデルであり、ここまで行くと見やすさや操作性がある程度損なわれており、一口に“コンパクトモデル”と言ってもターゲットがまったく異なるものなのでニーズが食い合うこともないと思われます。
Uniherz Jelly2とMode1 GRIPを並べたところ。コンパクトモデルと言っても全くの別物です。
・極めて特殊なアスペクト比のながーいディスプレイ
手に持って握りやすい横幅でありながらも、約5インチの大きさを保つため、アスペクト(画面の縦横サイズ比)が20:8という非常に細長いディスプレイも大きな特徴でしょう。
長さがあるため分割画面表示で2つのアプリを同時に利用しても意外と問題なく利用できますが、その一方で横向き時で分割画面モードにすると、左右幅に余裕があるものの、縦が短くなるため、Twitterなど、一部のアプリが上手く動作しないこともありました。(これはスマホアプリが縦にスクロールさせてブラウザーやメッセンジャーアプリを動かすのが基準になっているからだと思われます)
活用次第では大変便利な長いディスプレイを利用した2画面分割機能
縦長なディスプレイのスマホが増えている中、ここまで極端に長いディスプレイのスマホは国内にはほとんど存在しない(一般的でない)ためか、YouTubeやニコニコ動画などの動画サイト・アプリにおいて全画面再生をすると左右の黒い縁が大きくなってしまいます。しかし、横に長いアスペクト比(本機のアスペクト比20:8)の動画を鑑賞する際には小さい画面ながら臨場感たっぷりなコンテンツとして楽しむことができます。
■実際に使ってみて良かった点
・コンパクトな安価モデルながら基本スペックは十分で動作は比較的良好
Mode1 GRIPのSoCはMediaTekのミドルレンジ向けのHelio P70(8コア)に4GB RAMの動作メモリーと端末の基本スペックとしてはエントリー〜ミドルレンジ相当なのですが、画面解像度が1,440×570の(若干変則的な)HD+とかなり抑えめなものとなっています。画面解像度の大きさが動作メモリー(RAM)の使用量に比例していくため、解像度の低めな本機はマイルドなスペックながら動作そのものは軽快です。
端末の総合性能をチェックする「PC Mark」でのベンチマーク結果は以下の通りです。直近のスコアに「Galaxy A22 4G」(グローバル版Galaxy A22の4GモデルはSoCにHelio G80搭載を搭載しているなど、仕様が大きく異なります)の名前が見られるなど、現行のエントリー〜ミドルレンジ級のスマホとして十分な性能は有していると思って間違いないでしょう。
Mode1 GRIPのベンチスコアとスコアランキングの近似スコア(PC Mark)
そして、RAMに余裕がある、ということは本格的なFPSゲームなどは無理がありますが、カジュアルなものや負担の軽いゲームならなんとか遊べちゃうということです。(ただし本体ストレージ容量が少ないので要注意)
横幅が広すぎて一部表示がちょっとヘンになることもありますが、動作設定を軽くすればそこそこに動きます
・バッテリー周りが意外に大健闘
本機のバッテリー容量は2,620mAhと昨今のスマホとは異なる小ぶりなボディを反映してか決して多くはありませんが、SoCに省電力性の高いHelio Pを採用し、もっとも電力を食うディスプレイそのものも小さいことから、ゲームアプリや動画視聴などをそれほどしないのであれば、十分実用レベルで使っていけます。
また、本機は非接触充電(qi)に対応しているので、qi対応の充電台に載せるだけでOKなのは気軽でいいですね。バッテリー容量が少なめなので比較的早く満充電になるのは偶然かもしれませんが、いい結果になったと思います。
+Styleなどでセット販売されていたMode1オリジナルqi充電台だと立てかけて充電できるのでさらにバッチリです
■気になった点
・カメラのフォーカス音がすごく大きい
Mode1 GRIPのアウト(メイン)カメラは約4,800万画素(通常画角)と約800万画素(広角)のデュアルカメラとフロント(イン)カメラに約2,500万画素という構成にプリインストールのカメラアプリはMediaTek製SoC採用しているスマホ向けの標準的なカメラとなっています。
まず、カメラ機能そのものですが、十分な明るさのある場所や日中であれば、それなりの写真が撮影ができますが、暗所や夜間の撮影は正直、かなり厳しいものがあります。
そして筆者がとっても気になったのは画面内の被写体にタッチしてフォーカスを合わせた際に非常に大きな音が鳴ってしまうことです。
シャッター音が大きいのは(個人的にはあまり納得いきませんが)ともかく、フォーカスを合わせるだけで大音量で音が鳴るのはかなりいただけません。
ただし、フォーカス音が大きいことについてはピーアップワールドの担当の耳にもすでに入っており、今後のシステムアップデートにて改善要素としていくことを確認しているので、早いアップデートに期待しましょう。
MODE1 GRIPでの撮影例。4,800万画素モードにて撮影シーンをオートに設定して撮影したものをリサイズのみ行っています。
・赤外線ポート標準搭載なのにそれに対応するアプリはプリセットされていない
本機には天面側に赤外線通信ポートがあり、これを利用するにはGooglePlayなどからスマートリモコンアプリをダウンロードしてセットアップする必要があります。
リモコンアプリの導入・設定がすぐにわかる人には大したことはないのですが、詳しくない人はちょっと手間取るかもしれません。(Google以外のサードパーティ製のプリインアプリが全くないのは人によっては良い点にも悪い点にもなるので、この辺りの判断はユーザーに委ねられてしまいますが…)
筆者の個人的オススメはXiaomiの「Mi Remote conroller」で、広告などもなくリモコン機能を試すにはうってつけだと思います。
■まとめ「メイン機にはやや厳しい。でも、用途を絞ったサブ運用には十分アリな1台」
コンテンツを大画面で楽しむことはできないし、フラグシップモデルのスマホのように美麗な写真撮影ができるというわけでもありませんが、コンパクトなボディを活かして従来型のケータイ(ガラケー・ガラホ)から持ち替えて音声通話メインで運用したり、「ケータイ以上には長時間利用可能なテザリング機能を利用して通話可能なモバイルWi-Fiルーター」や「2台目のスマホとして」利用するなど、メイン端末としてではなく、サブマシンとして使っていったりするには嵩張らなくていいかもしれない。というのが、実際にしばらく使ってみての感想です。
また、本体価格が安価かつ、端末そのものは非常にシンプルで挙動自体は素直なので、Google ファミリーリンク機能(子供向けのスマホ制限アプリ)を併用して、子供用に持たせる最初の入門用スマホとしても悪くない選択肢かもしれません。(防水防塵もサポートしてますしね)
これ1台でスマホの機能を全部こなす!はちょっと難しいですがコンパクトで持ちやすいMode1 GRIPはサブスマホやデータ通信側の比重をタブレットに置いて併用しての利用などには十分にアリな選択肢になっていると思いますよ。
■おまけ
先日、Mode1 GRIPを開発したピーアップワールドの方と面会する機会があり、その際に「Mode1 GRIPプロトタイプ」を見せていただきました。
製品版のMode1 GRIPではメインカメラがデュアルで樹脂製の筐体ですが、試作のプロトタイプでは金属筐体でした。
本体サイズが小さいうえに、金属製の筐体だと熱のこもりやすくなってしまうため、本体内の排熱性を考慮して樹脂製の現行のものになったそうですが、こちらもなかなかに魅力的で、こっちの方向のMode1 GRIPも見てみたかったかもしれませんね!
人によってはこっちの方が魅力的に見えちゃうかも!?ソリッドな感じがカッチョいいMode1 GRIPの試作プロトタイプ
PUP ピーアップ Mode1Grip Gray「MD05PG」Helio P70 5.0型 メモリ/ストレージ:4GB/64GB nanoSIM×2 DSDV対応 ドコモ / au / ソフトバンク対応 SIMフリースマートフォン
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