Qualcomm、スマホなど向け新ハイエンドチップセット(SoC)「Snapdragon 845」の詳細を正式発表!順当に高性能化し、DSDVや虹彩認証、QC4+などをサポート



クアルコムが新SoC「Snapdragon 845」の詳細を発表!

Qualcommは6日(現地時間)、アメリカ・ハワイ州マウイ島にてイベント「Snapdragon Tech Summit」を開催し、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けハイエンドチップセット「Snapdragon 845」を正式発表して詳細について説明するなどしています。

同社の統合チップセット(SoC)「Snapdragon」シリーズの最新最上位製品となるSnapdragon 845は、従来までの初の10nmプロセスルール(LPE)で製造された「Snapdragon 835」の後継機種で同じように10nmプロセス(LPP)を採用しています。

big.LITTLEを採用したオクタコアCPU「Kyro 385」(ARM Cortex-A75ベースの最大2.8GHz×4コア+ARM Cortex-A55ベースの最大1.8GHz×4コア)のほか、GPU「Adreno 630」やAI(人工知能)処理に対応したDSP「Hexagon 685」、ISP「Spectra 280」、通信チップ「X20 LTE modem」などを内蔵しています。

これにより、グラフィック性能が30%高速化し、電力効率が30%向上し、ディスプレイスループットは2.5倍高速になるほか、携帯電話ネットワークではDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)をサポートし、下りがLTE UE Category 18による最大1.2Gbps、上りがLTE UE Category 13による最大150Mbpsで利用できるようになっています。


Snapdragon 845はSnapdragon 835から順当に各部品が強化された製品となっており、ライバルのAppleが「iPhone X」などに搭載した「Apple A11 Bionic」やHuawei Technologiesが「HUAWEI Mate 10 Pro」などに搭載した「Kirin 970」がAI処理に特化したNPUなどの専用チップを内蔵しているのに対し、Snapdragon 845ではSnapdragon 835と同様にDSPのHexagonで処理するようになっています。

ただし、同社ではNeural Processing Engine(NPE)SDKによってSnapdragon 835の3倍高速なっており、NPUを個別に搭載するよりも高性能だとしています。また機械学習(ML)などでは、TesorflowやCaffe、Caffe2をサポート。

個別に見ていくと、CPUは64bitのKyro 280からKyro 385になり、最大周波数が2.45GHzから2.8GHzに向上し、同じようにbig.LITTLEで省電力なコアとのセットになっています。またGPUもAdreno 540からAdreno 630になり、詳細は明らかにされていませんが、グラフィック性能は30%高速化しているとのこと。OpenGL ES 3.2やOpenCL 2.0、Vulkan 1.x、DxNextをサポート。

製品Snapdragon 845Snapdragon 835
CPUKyro 385
2.8GHzGHz×4+1.8GHz×4
Kyro 280
2.45GHz×4+1.9GHz×4
GPUAdreno 630Adreno 540
DSPHexagon 685Hexagon 682
ISPSpectra 280Spectra 180
ModemX20X16

ISPもSpectra 180からSpectra 280となり、最大16メガピクセルのデュアルカメラや最大32メガピクセルのシングルカメラ、14bitデュアルISP、ハイブリッドオートフォーカスあたりは同じですが、新たにActive Depth SensingやMulti-frame Noise Reduction(MFNR)、虹彩認証に対応しています。

また新たにディスプレイ向けに2400×2400ドット×2の120fpsというVR向け表示、4K HDR動画キャプチャー、急速充電機能は「Quick Charge 4」に加えて「Quick Charge 4+」をサポートし、バッテリー持続時間が伸びているということです。さらに「Aqstic Audio」によって「OK, Google」のようなウェイクワードの認識精度が向上しているとのこと。

無線LAN(Wi-Fi)はIEEE802.11adやIEEE802.11acの2×2 MU-MIMO、BluetoothはVersion 5.0、オーディオはapt-Xやapt-X HD、位置情報取得はGPSおよびGLONASS、Beidou(BDS)、Galileo、QZSS(みちびき)、SBAS(6サテライト)、システムキャッシュは3MBなど。

またセキュリティー面では「Qualcomm Secure Processing Unit (SPU)」や「Qualcomm Processor Security」、「Qualcomm Mobile Security」、「Qualcomm Content Protection」をサポートしています。

サムスン電子の10nmプロセスで製造され、すでに各メーカーには製品出荷されており、2018年初頭からSnapdragon 845を搭載したスマホなどの製品が各メーカーから登場予定。すでに提携先として発表されているXiaomi Technologyが次期フラッグシップスマホ「Mi 7」に搭載することを明らかにしています。

またその他のメーカーの次期フラッグシップスマホとなるサムスン電子「Galaxy S9」(仮称)シリーズやソニーモバイルコミュニケーションズ「Xperia XZ2」(仮称)シリーズなどにも搭載されると見られます。


動画リンク:https://youtu.be/qELOS4vhIhs


動画リンク:https://youtu.be/WkVOtqVID7Y

記事執筆:memn0ck


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