ASUSスマホが躍進 品切れ続いたモデルの後継「ZenFone 2」が登場



各国でヒットを飛ばしたZenFoneの後継モデル「ZenFone 2」が登場!

昨年は「ZenFone 5」が日本を含めた販売各国でヒット商品となったASUSTeK Computer(以下、ASUS)。2015年はラインナップを一新し、新製品でさらなるシェア拡大を目論んでいる。今月発表された新型の「ZenFone」シリーズはパソコン(PC)メーカーらしく多数の仕様のバリエーションモデルを展開、そして、さらなる低価格モデルとして新興市場向けの「Pegasus」も投入し、スマートフォン(スマホ)市場での地位を着々と高めようとしている。

ZenFoneシリーズは従来からのASUSのスマホ製品とは一線を画する低価格かつ高性能なラインナップとして2014年1月に開催された「CES 2014」で発表された。Intel製チップセットを搭載した4インチ、5インチ、6インチの3モデルが用意され、このうち5インチモデルのZenFone 5は価格の手ごろ感と使いやすいサイズが瞬く間に大人気となった。

最初に販売された台湾では定価よりも高値で転売されるほどの注目製品となり、ASUSの予想を上回るほどの売れ行きとなり、一時は品切れ状態が続いたほどだ。

その後は各国での展開も始まり、Qualcommチップを搭載した「ZenFone 5 LTE」も日本など先進国に積極的に投入された。一方フィリピンなど新興国にはディスプレイ解像度をqHD(960×540ピクセル)に落とした「ZenFone 5 Lite」も投入されるなど、ZenFoneファミリーは着々と製品バリエーションを増やしていった。

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ディスプレイ解像度とメモリー容量を落としたZenFone 5(A502CG)

今やZenFoneに代表される日本円で2万円前後で購入できるスマホはハイエンド製品の性能を落とした低スペック品という位置づけではなく、日常利用に必要十分なスペックを備えるコストパフォーマンスの高いモデルとして新興国を中心に人気となっている。

ASUSもZenFone 5のヒットでこの価格帯の製品の手ごたえを十分に感じ取ったに違いない。恐らく今のままの製品展開でもZenFone 5の人気は続くだろう。だが、市場でのシェアをさらに高めようと、ASUSは後継モデルを2015年1月に開催された「CES 2015」で発表した。それが「ZenFone 2」である。

ZenFone 2は従来のディスプレイサイズ別のモデル名を廃止し、ZenFone 5をベースとした5.5インチディスプレイ搭載の大画面ディスプレイモデルとなった。そして、ディスプレイの解像度や内蔵メモリーの容量別に複数のラインナップを揃えている。これはPCではよくあるモデル展開方法で、基本となるベースモデルに複数の仕様を提供することでユーザー側への製品の選択肢をよりフレキシブルにするというものだ。ディスプレイ解像度にこだわる人、メモリー容量にこだわる人、値段にこだわる人など、さまざまなユーザーニーズに1モデルで応えるZenFone 2の製品展開は既存のスマホメーカーにはない新しい試みとも言える。

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RAM4GBモデルも投入、もはや入門機の枠を超えたZenFone 2の上位モデル

その中でも注目は最上位モデルとなる「ZE551ML」だ。メモリー容量(RAM)は2GBモデルに加え、4GBモデルも投入される。これはAppleやSamsungなど他社を出し抜き、スマホ史上最大のメモリー容量だ。PCメーカーの逆襲とも言えるこのスペックは恐らく他の大手スマホメーカーにとっても寝耳に水だっただろう。フラッグシップ製品でもないZenFone 2にこれだけのスペックの製品を投入するということは、ASUSのZenFone 2にかける意気込みが本気であることを十二分に感じさせる。

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スペックだけではなくバックカバーのカラバリも多数。ASUSのZenFone 2にかける意気込みは本気だ

つまり、ASUSはZenFone 2で世界中での販売数をさらに高める考えであり、スマホ大手メーカーに脅威を与える存在になろうと本気で考えているのだろう。電池カバーも今までにはない多数のデザイン展開がされる予定で、ファッション製品としての売り込みも図ろうとしている。また、最上位モデルは従来のZenFoneのユーザー層とは異なる、ハイエンド製品を好む層にも大いに受けるだろう。その結果ブランドイメージも大きく高まりそうだ。

そして、もう1モデル用意される「ZE550ML」はディスプレイ解像度をHD(720×1280ドット)に抑えた普及価格帯のモデルで、現行のZenFone 5 LTEの後継モデルとなる。いずれZenFone 5 Liteのような低スペック化モデルも投入されるかもしれないが、SIMフリーでも2万円前後という価格であればそれだけでもすでに十分に価格競争力がある。この価格帯の製品は他社も続々競合製品を投入しているが、ASUSはZenFoneに特化したスマホ戦略を展開しており「ASUS=ZenFone=低価格」というイメージが広く知れ渡っていることは後発メーカーとしても有意な戦いができるだろう。

さて、一方でスマホの販売数は今や先進国を超える勢いで新興国で伸びている。中国やインドなど携帯電話利用者が数億人を超える国でもスマホ利用者が増えており、スマホ販売台数は毎月のように増えている。その中国市場でもASUSはZenFoneを販売しているが、さらなる低価格モデルとして他国には無い「Pegasus」シリーズを2014年末に発売した。

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中国発売のZenFone 5の兄弟機、Pegasus。さらなる低価格でシェア拡大を目論む

Pegasusは名前からするとZenFoneとは別の製品と思えるだろう。だがその外見はZenFone 5とほぼ同一で、外見上は両者は見分けはつかないほど。ディスプレイの右上に「4G」の表示があることが大きな違いだろう。なお、Pegasusはこの表示があるように、LTEに対応した製品なのだ。にもかかわらず価格は799人民元(約1万5000円)と、ZenFone 5 LTEよりも大幅に安い。また、フロントカメラは500万画素で、美しいセルフィー(自分撮り)も可能だ。

実はこのPegasusはチップセットをIntel製から台湾MediaTek製「MT6732」、クアッドコア1.5GHzに変更している。それにより大幅な低価格化が可能となり、しかも低価格モデルながらもLTEへも対応させた。中国では今や1000人民元(約2万円)を切るLTEスマホが各社から多数登場しており、ASUSはその市場へ積極的に参入を果たしたのである。この価格帯の製品は東南アジアやアフリカなどへも各社が輸出を行っており、ASUSも「ZenFone 5ですら高価格」と考える消費者が多い途上国へ、Pegasusを引っ提げて販売を進めていくだろう。

2014年に「Zenfone 4」「同5」「同6」から始まったZenFoneファミリーも現在は「ZenFone 5 LTE」や「ZenFone 5 Lite」、「Pegasus」と派生モデルを加え、また、ZenFone 5もメモリー容量とCPU別に3モデルが存在している。2015年はZenFone 2が2種類2タイプ4モデルとなり、いずれLite版やMTKチップセット搭載版の「Pegasus2」も登場すると予想される。ZenFone 2を中心としたASUSの2015年モデルのラインナップは、低価格スマホという枠を超え世界のスマホ市場でその存在感を大きく高めていくだろう。

記事執筆:山根康宏


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