日本での発売にも期待!シャオミの「1千円ウェアラブル端末」がライフログ市場を変える【山根康宏の“世界のモバイル”】



ウェアラブル端末市場に価格破壊を引き起こすシャオミ

中国の新興メーカーであるシャオミ(Xiaomi、小米)は22日、新型フラッグシップスマートフォン「Xiaomi Mi4」を発表した。

中国をはじめとして、すでにシャオミのスマートフォンが販売されているアジア各国でもこのMi4は大きな話題となっており、また欧米各国でも多くのメディアが取り上げるなど、Mi4の販売が始まれば世界中から注目を浴びることは間違いなさそうだ。

Mi4の販売スケジュールは7月末にW-CDMA版、8月にCDMA2000版、9月にTD-LTE版そして年末にFDD-LTE版の順になっている。

一方、このシャオミの発表会ではMi4に大きな注目が集まっているが、実はシャオミからさらなる戦略的な製品が発表されている。それがリストバンド型のウェアラブル端末「Mi Band」だ。

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シャオミの最新モデル「Mi4」。ハイスペックなプレミアム端末だ


Mi4は2.5GHzクアッドコアCPUを内蔵したQualcomm製「Snapdragon 801」の搭載やLTEへの対応、そして、ソニーの新型カメラモジュールを搭載し、さらにはステンレス系の金属素材を削り出した高級感あるボディーを採用しながら、価格は前モデルと同じ1,999元(約3万2,900円)に抑えられている。

低価格モデルから高スペックモデルへと中国メーカーのスマートフォンは進化を遂げてきたが、いよいよプレミアムな製品をも市場に投入する力をつけてきた。

そして今回、シャオミから発表されたMi Bandは今流行りのスマートフォンと連携するリストバンド型のウェアラブル端末だ。グーグル(Google)から投入された「Android Wear」など、腕にはめるタイプのスマートフォン連携端末が次々と登場する中、Mi Bandはディスプレイを持たずに人々の行動を記録できるライフログデバイスである。

すでにリストバンド型のウェアラブル端末はJawboneやFitbitなど世界中で売れているヒット商品もあるなど、多数の製品が販売されている。腕にはめるだけで、後はスマートフォンが歩数や睡眠状態を記録してくれるという手軽さから徐々に利用者は増えている。シャオミはスマートフォン以外にもタブレットやテレビ(TV)などを販売しているが、次にくるブームとしてこのウェアラブル端末に狙いを定めたのだ。

しかしすでに多数のメーカーが参入しているウェアラブル端末市場で、シャオミのMi Bandはどうやってシェアを奪おうと考えているのだろうか。それは79人民元、わずか1,300円相当という圧倒的な価格の安さだ。大手メーカー品のウェアラブル端末が1万円や2万円といった価格の中、Mi Bandは学生でも手軽に買える超低価格で勝負を挑んできたのである。

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わずか1300円という低価格で登場した『Mi Band』


Mi Bandは他のリストバンド型ウェアラブル端末と同様にモーションセンサーを搭載しており、歩いたり運動したときの歩数を計測、また、睡眠時の身体の動きも記録できる。それらデータはBluetoothでスマートフォンに送られ、専用アプリで管理が可能だ。

さらに、電話の着信時にはMi Bandが振動して通知してくれる。そして、Mi Bandを家の中でどこに置いたか忘れてしまっても、アプリ側で検索ボタンを押せば振動と光で教えてくれる。IP67相当の防水防塵、1.2メートルから落としても破損しない耐衝撃性も備えている。

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行動記録を手軽に管理できる、いわゆる「ライフログデバイス」


このような機能は他社のウェアラブル端末でも搭載しているものであり、Mi Bandに目新しさはない。だが、Mi Bandが衝撃なのはやはり約1,300円というその価格そのものなのだ。ここまで安ければとりあえず買ってみようという気にもなるだろうし、万が一故障しても修理に出して使えない間に不自由するくらいなら、もう1台購入してしまってもいいだろう。カラバリは5色あるが、そのカラフルなバンド部分が破損や汚れてしまっても交換が可能だ。

Mi Bandはウェアラブル端末に興味があるものの、これまで価格で二の足を踏んでいた層が飛びつくだろうし、30日持つという内蔵電池は面倒な日々の充電操作からも解放してくれる。また、販売店のほうでもこの値段なら「スマートフォンと一緒にどうですか?」と気軽に勧めることがこともできるだろう。ウェアラブル端末をまったく知らなかった層にもこの値段なら売り込みしやすいはずだ。

そして、Mi Bandがヒットすれば、その商機を逃さまいと他社からも超低価格なウェアラブル端末が次々に出てくることは間違いない。もちろん、大手メーカーは品質の高さやクラウド系サービスとの連携などで差別化を図っていくだろう。Mi Bandの登場はウェアラブル端末を利用する消費者数を爆発的に増やし、ライフログ市場を拡大するものになりそうだ。

記事執筆:山根康宏


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