時間は作れる! 経費も節約できる! ICT活用で「働き方改革」を実践しよう


近年、企業におけるグローバルかつシームレスな活動や、多様な人材活用を実現するカギとして「働き方改革」が注目されている。従来の日本企業にありがちな場所や時間の制約を受けた旧態依然とした働き方では、今後ますます進展するグローバル化や社会的な関心事となっている親の介護、男性の育児への参加と仕事との両立を実現するのは難しい。

在宅勤務や通勤する事務所を持たないで外を動き回るノマドといったワークスタイルも登場してきている。とはいえ、場所や時間の制約を飛び越えた働き方の実現には、福利厚生などの制度改革、雇用契約の見直し、常に連絡が取れるようスマートデバイスの導入といったことだけでは不十分である。

そうした環境が整ってきている中で「働き方改革」によって仕事とプライベートの両方を充実させるための勉強会が開催された。自分たちの老後の生活にもつながる重要な勉強会だったので参加させてもらった。その内容を紹介したいと思う。

勉強会は、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の阿部智之氏および、今年1月にNTTコミュニケーションズグループに参画したアルカディン・ジャパン株式会社の仲田智彦氏を講師に迎え、「働き方改革」をどのように実現するかについての講義となる。

また、「働き方改革」の核となるユニファイド・コミュニケーションと、コラボレーション(会議系)サービスのデモンストレーションも行われ、ICTの活用で実際に働き方がどのように変わるのか、分かりやすく体験することができた。

■働き方改革で仕事が変わる - NTT Com阿部氏
NTT Comの阿部氏は冒頭、「働き方」をめぐる環境の変化の一例として、多様化するワークスタイルをあげた。日本企業が海外へ進出する件数は年々増えてきており、事業展開は拡大傾向にあるという。しかし、その一方で、出産を機にした子育て、老齢化した両親の介護にともなう離職により、必要な人材を確保できないといった労働人口の減少が懸念される。子育て中でも、老人介護をしつつも個人の生活に合わせた柔軟な働き方ができる世の中が必要とされる時代になったわけだ。

また、働き方改革の実現に必要なテクノロジーの進化による環境変化も重要だという。世界市場を見ると2013年にスマートフォンの出荷台数がフューチャーフォンに対して過半数を突破。いっぽう日本国内では、過半数どころか76.5%(※)となった。
※IDC 2014年1月27日、およびIDC Japan 2014年3月5日のプレスリリースより

企業によるクラウド利用は今や当たり前にスマホアプリで利用できる。クラウドサービスが持つ柔軟な伸縮性と小回りの利くスケールメリットを活かせない企業は、もはや成長できない時代となっていると言っていいだろう。

阿部氏に言わせると企業が抱える課題としては、次の3つがあげられる。
1)距離・時間の壁
かつてのような関係者を同じフロアに集めておくことは困難

2)組織・地域の壁
拠点/部門を超えた仕事が求められている
文化が異なるため「発信主義」ではなく、仕事に対する確実な責任が求められる

3)個人の能力の壁
付帯業務にかかる仕事を削減し、創造性を求められる業務に時間を費やす必要性
形式知だけでなく浴人的な暗黙知を共有しないと競争環境で勝てない状況
先進事例は海外にあるため、グローバルでの対応が必要

阿部氏は、働き方改革により、「距離・時間の壁」、「組織・地域の壁」、「個人の能力の壁」を打破することで、「意思決定に要する時間」、「課題検討・認識合わせに要する時間」、
「コミュニケーション開始までに要する時間」を劇的に削減できるという。その具体例を紹介した。

「距離・時間の壁」解決にはWeb会議。これならPCやタブレットで参加できるので、自社との往復時間を省いて、さらに一件、得意先訪問が可能となる。同様に、在宅でオフィスと同様の座業ができれば、長期間求職する必要がなくなる。また急な大雪や台風でも自宅で仕事ができる。このように距離・時間の壁から解放される。

「組織・地域の壁」解決だが、スマホやIM/プレゼンス、Web会議を活用することで、組織内にとどまらず、組織内外や国内外でも柔軟なコミュニケーションが可能になる。組織のしがらみにとらわれず、人間関係の面倒な地方性(お国柄)といったことに捉われない柔軟な対応ができるようになる。それには統制されたシームレスなユニファイド・コミュニケーション環境づくり(=しくみ)が重要となる。

たとえばWeb上のグループウェアを利用してスケジュール管理すれば、簡単に予定を確認・確保できるので、会議調整のリスケなどによる手戻りがなくなる。Web会議は会議の移動時間を考慮することなく、Face to Faceと同レベルの会議開催が可能だ。国境を越えたグローバルでの迅速な意思決定が実現できる。

「個人の能力の壁」については、プロジェクトポータルを作って、タスク管理、ファイル共有、連絡・議論などの会議を統合する。これにより、ひとめでプロジェクトのすべての情報がわかるようになる。また、タイムラインで会議を追って確認できるので、誤解が生まれる危険も少ない。ファイルのバージョン管理ができるので、共同作業もはかどる。

以上のように阿部氏は、普及の進むスマートデバイスを活用すれば、新たな経営課題に立ち向かい、懸念される問題点をことごとくクリアできると説明。いまではパソコン並みの機能や性能を備えるようになり、どこででも使えるスマートフォンやタブレットは、外出先、移動中、自宅など、様々な場所でロケーションフリーの仕事を実現。低コストに営業力、生産性、BCP対策力を向上させられるビジネスツールとなったわけだ。

しかし、スマートデバイスの導入には、高額な端末料金、月額通信料金の増加(3,000円/月アップ)、技術革新の早さによる頻繁なシステム更新費用などの不安材料もある。その対策として、私有端末を業務に活用する「BYOD」(Bring Your Own Device)が低コストで迅速な導入手法として注目されているそうだ。ただ、BYODは情報端末を社内に持ち込む際の問題など、解決しないといけない部分はある。

勉強会では、ビジネスチャット(IM:インスタントメッセージ)やWeb会議、ビデオ会議などのデモンストレーションがあった。これらは、相手が時間に余裕がないと対応してもらえない電話や、長文が誤解を招きやすく、大量にたまりやすいメールの欠点を解消するツールだ。的確に組み合わせて利用すれば効果的な時間節約につながる。

SNSの仕組みを利用したグループコミュニケーションツールでは、タスク、ファイル共有、タイムラインを結びつけることで生産性を向上できるとしていた。
NTTコミュニケーションズ株式会社 阿部智之氏

NTTコミュニケーションズ株式会社 阿部智之氏

■Webex+電話会議で仕事を効率化 - アルカディン 仲田氏
アルカディンの仲田氏は、「Webex+電話会議」について講義してくれた。Webex+電話会議は、電話を同時に複数台接続するだけのツールではないという。「ライブ・アシスタンス」という機能があり、これを利用することで、オペレータを呼び出し、わからないことをその場で解決できるシステムまで組み込まれているそうだ。

もちろん会議内容の秘匿性を守るため、オペレータ呼び出しのときには、オペレータは呼び出された人とだけ会話する。4人で会議しているときでも、ほかの3人にオペレータとの会話は聞こえないため秘密が漏れてしまうことがない。

Webex+電話会議は、国境も越える。会議時間さえ決めておけば、Webを通じて「Face to Face」の会議が可能だ。勉強会では、韓国、中国、シンガポール、オーストラリアのスタッフと実際に会話しているデモが行われて、その効率性の高さを実際に体験できた。

■スマホをシンクライアントにして安全に業務を行う
また、スマホをシンクライアント化するデモンストレーションも行われた。同社の提供するWeb電話帳を使うとスマホがシンクライアントへと進化するという。会社にとって情報漏洩は死活問題だが、スマホのシンクライアントであれば、端末に着信・発信・通話履歴といったデータを残さず、メモリーゼロでも自社のダイヤルイン番号で発信ができるそうだ。
アルカディン・ジャパン株式会社 仲田智彦氏

アルカディン・ジャパン株式会社 仲田智彦氏

本勉強会では、実際にデモンストレーションを行い、スマホをシンクライアント化して業務で利用しても安全かつ使いやすい点を強調していた。
スマホシンクライアントの説明

スマホシンクライアントの説明

以上のように、今回の勉強会では、働き方改革のためには、どういった機器を、どのように組み合わせて使うか? といったことをマスターすることで仕事もプライベートも両立できるということが理解できた。

今回の勉強会に参加してみて、NTT Comもアルカディン・ジャパンも、働き方をもっと変革させ、人間らしく温かみのある生活ができるためのソリューションやサービスを提供してもらいたいと思った次第である。

「言うは易し、行うは難し」さてさてこれからの両社の動きに要注目だ。

NTTコミュニケーションズ株式会社
■アルカディン・ジャパン株式会社

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