普通の電話と仕組みはどう違う?LINEから固定電話や携帯電話へ通話ができる「LINE電話」の裏側を通信内容から探る【吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」】
LINE電話ではどんな通信が行われている? |
LINEから一般の固定電話や携帯電話に電話をかけられるIP電話サービス「LINE電話/Line Call」がAndroid先行で提供開始されました。IP電話技術を用いることによる安価な通話料と、固定電話や携帯電話にも通話ができる汎用性を両立したサービスです。もともとLINEにはLINEユーザー同士の無料通話機能がありましたが、LINE電話では固定電話や携帯電話につながるということで、その仕組みに興味を引かれるところです。
そこで、今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、LINE電話の無料通話とあわせて調べることで、その仕組みに迫っていきたいと思います。
【電話番号通知から伺わせる「普通ではない電話」感】
LINE電話においては、LINEアカウントに登録された電話番号を発信元として相手に発信者番号通知を行うことができますが、相手の事業者や機種によっては電話番号が非通知や通知不可能となったり(*1)、国番号を伴った国際電話型式で通知されたりすることがあります(*2)。LINE電話の発信者番号通知内容は国際電話のそれに近い内容になっており、従来の固定電話や携帯電話とは通信経路が違うことを伺わせます。
*1:着信側がNTTドコモの携帯電話の場合に非通知/通知不可能となることがLINE電話のサポートページでアナウンスされています。
*2:着信番号が国際電話型式になる機種の情報がLINE電話のサポートページで案内されています。
【LINE電話の通信状況をネットワークツールで調査】
そこでLINE電話の音声通話がたどる経路を推測するべく、LINE電話使用時のインターネット通信状況を調べてみます。Web通信暗号化を取り上げた回でも用いたMacBook Proのインターネット共有とネットワークツール「WireShark」の組み合わせを用いて、LINE電話で行われるインターネット通信の通信先や内容を確認します。今回は比較のため、従来のLINE無料通話についても調査を行いLINE電話と比較します。
【通話内容の送受信とログの送信、通信先の多くは韓国】
まず通信の種類として、通話内容を送受信する通信(以下「通話内容通信」と記載)とは別に、通話終了後に何らかのログを送信する通信(以下「ログ通信」と記載)が、LINE電話とLINE無料通話に共通して観測されました。
通話内容通信では通話の音声や動画のデータがそのまま(*3)送受信されているようです。一方ログ通信は特定URLに対して暗号化されていないHTTPで送信されていますが、送信内容は文字でないため読み取ることが出来ませんでした(*4)。
*3: UDPでバイナリ送受信されています。
*4: HTTP POSTによりバイナリが送信されています。
通信先に着目すると、通話内容通信の通信先(IPアドレス)は通話ごとに変動します。一方、ログ通信の通信先はLINE電話とLINE無料通話で共通した固定の通信先が設定されています。複数回の通信における通信先IPアドレスから国・地域を調査したところ(*5)(*6)、LINE無料通話における通話内容通信の通信先が日本国内であった以外はすべて韓国への通信でした。
*5: 調査日は2014年3月18日、調査場所は札幌です。
*6: IPアドレスからの国・地域調査には「IPひろば」( http://www.iphiroba.jp/ )を用いました。
No. | 通話内容通信 | ログ通信 | ||
IPアドレス | 国・地域 | IPアドレス | 国・地域 | |
1 | 103.2.31.103 | 日本 | 202.179.179.25 | 韓国 | 2 | 103.2.31.115 | 3 | 103.2.31.95 | 4 | 103.2.31.108 | 5 | 103.2.31.96 |
No. | 通話内容通信 | ログ通信 | ||
IPアドレス | 国・地域 | IPアドレス | 国・地域 | |
1 | 125.209.228.78 | 韓国 | 202.179.179.25 | 韓国 | 2 | 125.209.212.43 | 3 | 125.209.228.87 | 4 | 125.209.212.44 | 5 | 125.209.212.50 |
【LINE電話の本質はIP電話+国際電話か】
今回の調査結果により「LINE電話においては通信が一度インターネットで韓国に送信されたあと、どこかで電話網に接続されている