企業の成長にはスマートデバイス活用が不可欠! デバイス活用企業の6割超が成長企業




ここ数年でスマートフォンやタブレットなどの、いわゆるスマートデバイスが、急激に普及した。こうしたスマートデバイスは手軽に持ち歩けるので、これらの端末を使い業務を処理する専用アプリを開発して導入する企業が増えてきた。また、脱スマホで奨励金を出す企業が現れるといった話題も聞かれる。こうしたこともあり企業経営者の中には、スマートデバイスの導入を検討しつつも迷っている人が多いのではないだろうか。

リサーチ・マーケティング事業を展開する株式会社アイシェアは、全国の企業経営者層(20〜60代)500名を対象に、「現代企業のスマートデバイスの業務活用実情調査」を実施した。 この調査は、スマートフォンをはじめとするスマートデバイス活用における経営メリット、課題等を把握することを目的に行った調査となっている。

果たして「脱スマホ」がいいのか? スマートデバイス活用がいいのか、非常に興味深い調査結果が出たので、ここで紹介しよう。

■スマートデバイス活用企業の6割超が成長企業、非活用企業では2割
企業の業務でのスマートデバイス活用状況については「活用している」12.0%、「やや活用している」19.8%の31.8%に対し「あまり活用していない」26.8%、「活用していない」41.4%と活用が進んでいない結果が68.0%となった(グラフ1)。



また、「スマートデバイスを業務に積極的に活用したいと思うか」という質問に対しては「思う」18.2%、「やや思う」34.8%の計53.0%が活用したいという意思を示し、実際の活用状況であるグラフ1の31.8%と活用への意向に差が生じる結果となった(グラフ2)。



現状、スマートデバイス活用企業の中で、過去3年間の業績が成長傾向であると答えた経営者は「成長傾向」「どちらかといえば成長傾向」で計65.0%、非活用企業で成長傾向と答えた経営者は「成長傾向」「どちらかといえば成長傾向」の24.2%となり、スマートデバイスを活用している企業の実に6割超が成長しているのに対し非活用企業との差が非常に大きくなっている(グラフ3)。脱スマホなんてとんでもないことで、どれだけスマートデバイスを活用できるかが、成長のカギとなりそうだ。



■「IT の活用」を成長要因とする経営者の約6割が自身でもスマートデバイスを活用
「過去3 年間での業績は成長傾向か」という質問に対しては、成長傾向が計34.2%(「成長傾向」9.8%、「どちらかと言えば成長傾向」24.4%)、「普通」38.4%、非成長傾向が計27.4%(「どちらかと言えば非成長傾向」19.8%、「非成長傾向」7.6%)という結果となった(グラフ3 )。やはりITやスマートデバイスの活用がカギになりそうだ。

また、成長傾向にあると回答した経営者に企業の成長要因について聞いたところ「製品・サービス力」が59.6%と圧倒、「人材育成」38.6%、「組織力」33.9%、「経済動向(景気など)」25.7%、「IT の活用」14.0%、「政治動向」4.7%の順の結果となった(グラフ4)。IT活用は自社製品やサービスの質を上げる要因としての利用であることがわかる。



企業の成長要因ごとに経営者の業務におけるスマートデバイスの活用状況を調べた。「製品・サービス力」を理由に挙げた経営者は、スマートデバイスを自ら活用する経営者は29.4%であった。これが「IT の活用」を理由に挙げた経営者になると、スマートデバイスを自ら活用する経営者は62.5%となり、「IT の活用」を重視する経営者ほど、経営者自身もスマートデバイスを積極的に活用していることが分かった(グラフ5)。



■企業のスマートデバイス活用は経営者の意識に大きく影響
「企業でどんなスマートデバイスを業務に活用していますか」という質問に対しては、「スマートフォン」46.1%、「タブレット」43.3%、「自社独自のデバイス」6.5%と、スマートフォンの活用が一番多い(グラフ6)。導入の敷居が低いことと、3GにLTE、Wi-Fiと多くの通信機能があるためだろう。



「企業でスマートフォンの業務活用は進んでいるか」という質問に対しては、「進んでいる」が6.8%、「やや進んでいる」が23.8%で「あまり進んでいない」の28.2%と「進んでいない」の41.2%に比べ全体としてあまり進んでいない現状が明らかになった(グラフ7)。



一方で、スマートフォンの業務活用が「進んでいる」企業は、85.3%の経営者が自らスマートデバイスを「活用している」と回答。スマートフォンの業務活用が「進んでいない」企業では、経営者がスマートデバイスを自ら「活用している」は2.9%であり、経営者自身のスマートデバイス活用状況が、企業におけるスマートフォン活用の進み度合いに大きく影響していることがわかった(グラフ8)。スマートフォンを使いこなせるからこそ、道具としての真価を発揮できるわけで経営者の意識やITスキルがそのまま、スマートデバイスの企業導入の差につながっているのかもしれない。



■スマートフォン活用の課題は「コスト」と「セキュリティ」
スマートフォンの業務活用が「進んでいる」「やや進んでいる」と回答した企業に「スマートフォン活用の現状の課題は何か」を質問したところ「運用コストが高い」が29.4%、「セキュリティにおける不安」が45.8%、「従業員が使いこなせていない」が12.4%、「特にない」が12.4%、とセキュリティ・コストが主な課題となっていることが明らかになった(グラフ9)。月額利用の金額に加えて、企業内の気密性の高い情報を外からアクセスしたり外部に持ち出すという点を心配していることがわかる。



・ITジャーナリスト百瀬 崇氏による考察・
以上の結果をITジャーナリストの百瀬 崇氏に見てもらった。「スマートデバイスを活用出来ている企業は、成長企業であることがわかる。スマートデバイスを自ら利用している経営者の多くは、この利用価値を十分に理解した上で、自社導入してビジネスで成功を収めている。他方、利用していない経営者は、自社導入に消極的で業績もよくない傾向にある。」(百瀬氏)。

問題とされたり、心配されたりする点については「また、スマートデバイス活用の課題としてセキュリティの不安が挙がるが、MDM(モバイルデバイス管理)やクラウド型のWeb 電話帳、オンラインストレージを利用することで解決できることが多い。また、運用コストが高いという課題については、BYOD(個人端末の業務利用)を採用することでクリアできるケースが多いので一考されたい。」というアドバイスがあった。

たとえばスマートデバイスを活用できていない企業、できても自社製品やサービスの向上につながらない企業は社員の脱スマホを進めても成長には影響しないだろうが、ITと関わる製品やサービスを提供している企業が「脱スマホ」をすると企業の成長を妨げる結果になりかねないことがわかった。簡単に「脱スマホ」などと、時流に乗った結果、成長が止まってしまう可能性もあるわけで経営者は、自社業務へのスマートデバイスの導入に関しては、導入して活用することを前提としたほうが結果的にプラスとなるだろう。

■現代企業のスマートデバイスの業務活用実情調査概要
調査対象:経営者(取締役含む)
回答数:500
企業規模:従業員10〜99人:77.0%、従業員100〜999人:19.4%、従業員1000人以上:3.6%
年代比:20代:0.2%、30代:6.0%、40代:27.8%、50代:44.0%、60代:22.0%
調査月:2013年10月

※数値は小数点第二位で四捨五入、株式会社アイシェア調べ

株式会社アイシェア

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