やっぱり少し高いのでは? 日本円で3万円を超えるNVIDIAのSHIELDは普及するか?【デジ通】




先日紹介したNVIDIAのゲーム機SHIELDは349ドルとアナウンスされた。1ドル100円換算なら日本円では35,000円程度になる。携帯型としても使えるゲーム機として35,000円は、社会人でも躊躇する価格で、小中高までの学生にとっては気楽に出せる金額ではないだろう。

現在普及している携帯型ゲーム機(PSP、PS Vita、ニンテンドーDSシリーズ等)と比較すると2倍程度、現行の据え置き型ゲーム機は(そろそろ次世代に切り替わるモデル末期だが・・・)、現在3万円程度なのでそれと比べても高い。一般的なゲーム機よりも割高に設定されたSHIELDだが、その価格が普及するための不安要素として残る。
■アメリカでの価格を考えても厳しいのでは?
現行の携帯ゲーム機とSHIELDのアメリカでの価格(349ドル)を比べると、ニンテンドー3DSの169ドルと比べて2倍、PlayStation Vitaは249ドルで100ドルも高い。3DSは販売当初Vitaと同じ249ドルだったが、販売数を増やすために値下げしていまでは169ドルになっている。

日本では3DSが税込みで15,000円、Vitaが税込みで19,980円だ。仮にアメリカでの価格349ドルから、1ドル100円、5%の税金もつけて計算すると36,645円となる。日本でもアメリカでもゲーム機としてはかなり高いと感じられる価格だ。

■いままでのゲーム機ビジネスとは違う路線を行くSHIELD
一般的なゲーム専用機のビジネスモデルは、ゲーム機本体はライフサイクルの初期段階で本体を普及させるために、ほとんど利益がない価格か赤字価格で販売される。

また、対応する魅力的なゲームソフトを発売日に合わせて多数投入するなど、ゲーム機本体を普及させるために様々な施策を打つ必要がある。5年ほどのライフサイクルの中で、ソフト販売で利益を確保し、コストが下がった本体の価格を下げるなどして、さらなる普及を加速させるなど、中長期的なスパンでビジネスが展開される。

一方SHIELDはこのような、従来型のゲーム機のビジネスモデルとは様々な点で異なる。NVIDIAが提供するのはSHIELDの本体のみだ。SHIELDはゲーム用の物理的なコントローラーが付いたゲームに特化したAndroid端末であり、NVIDIAによってOSから構築された全く新しいゲーム機ではない。ゲーム機のような形をしているが、中身は純然たるAndroid端末なのである。

そのためゲームソフトは、Google Playなどを通じてソフトメーカーなどが独自に開発し配信される。Android端末で動作するゲームは、ほぼ動作させることが可能だ。専用のコントローラーを付けることで、スマホやタブレットでタッチ操作で行っていたAndroid向けのゲームが、コントローラーを使うことでプレイしやすくなる(と思われる)。

そしてAndroid向けのゲームは、もうすでにある程度の規模で市場が存在している。いまから作るというわけではない。

一般のゲーム機のビジネスモデルでは、ゲーム機メーカーを通じてソフトを販売し、ソフトの利益の一部がゲーム機メーカーに入るよになっている。NVIDIAはSHIELD専用に作られたゲームであっても、そうした利益は入らない。このため、NVIDIAはSHIELDのハードウェアだけで利益を出す必要がある。

今回の349ドルというのも、販売当初から本体の販売だけで利益の出る設定になっていると推定される。何台売れば、元が取れて何台以上から、利益になるのかは、ふたを開けて見なければわからないだろう。

■ハードを積極的にアップデートするSHIELD
ゲーム機のアップデートは、製造プロセスが変化して小型化が可能になったときにスリム化したバージョンを出したり、新たに内蔵のストレージを増量して出したりということはあるが、処理性能を向上させるメインのCPUやGPUは同じ性能のものを使い続ける。そのために、限られた性能範囲内で動くように作る必要がある。

しかし、NVIDIAは、SHIELDに搭載しているCPU&GPUであるTegra(現在はTegra 4)が新しくなる度にSHIELDに搭載するTegraもアップデートする予定になっている。

先述したように今回はTegra 4が搭載されるが、2014年頃には次世代Tegra(Tegra 5?、コード名:Logan)が登場する予定だ。この新しいTegraを搭載したSHIELDが出てくることは、このプロジェクト初公表時から公言しており、さらにその先、その先といった感じで処理能力が向上していくことになる。

ということは、初代の機械より最新の機械のほうがより負荷の高いゲームが遊べるようになるわけで、それに合わせて登場してきたゲームが、たとえばTegra 4だとギリギリ遊べる程度なのに最新のTegraを積んだSHIELDだとグリグリ動くなんてことが起きるようになるわけだ。

そして、性能を求めるユーザーは、Tegraがアップデートされるたびに新端末に乗り換えるなんて光景が見られるかもしれない。まるでスマートフォンやタブレットのように1年程度で新モデルが登場するかのようだ。いずれにせよSHIELDの価格が35,000円というハードルが、ユーザーの心をどう動かすのか、といった部分で注目していく必要があるだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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