アルツハイマー病治療のために、 脳にペースメーカーを埋め込む【サイエンスニュース】




アルツハイマー病では、異常なタンパク質が脳内にたまり、神経細胞が脱落、脳が萎縮し、記憶障害や認知障害が起こるようになる。75歳以上の高齢者では15〜25%に老人性痴呆の症状が見られるが、そのうち4割以上がアルツハイマー病だと言われている。

アルツハイマー病の原因や発祥因子についてはまだわかっていないことが多い。治療には薬物療法が行われるが、これは病状の進行を遅らせたり、周辺症状(不眠、幻覚など)に対応するためのもので、現在のところまだ根本的な治療薬は登場していない。高齢化の進む先進国において、アルツハイマー病の治療薬の開発は、大きな課題となっている。

その中、2013年1月に米国オハイオ州立大学のウェクスナー医療センターがユニークな治療法の臨床試験を開始した。それは、脳内への「ペースメーカー」の埋め込み手術だ。

すでにパーキンソン病などの治療には、DBS(Deep Brain Stimulation:深部脳刺激術 )という手法が一般的に行われるようになっているが、オハイオ州立大学の治療法はこれをアルツハイマー病に応用したものということになる。

パーキンソン病のDBS治療では、視床下核という部位に電極を挿入し、胸部に刺激装置を埋め込んで、これらを皮下の電線でつなぐ。一方、オハイオ州立大学の手術では、認知や行動を制御する前頭葉に電極を埋め込んだ。
前頭葉の電極から微細な刺激を送り込むことで、前頭葉での異常な活動を調整して、正常化することを目指す。研究を主導している、神経科医のDouglas Scharre博士や神経外科医のAli Rezai博士は、アルツハイマー病患者の認知機能が改善すると期待している。



最初の患者となったのはアルツハイマー病の初期段階にある女性で、手術の経過は今のところ良好だという。

(文/山路達也)

記事提供:テレスコープマガジン

共有する

関連記事

雑学王からトップビジネスマンになる!勝てるデータ入手術【iPhoneでチャンス掴め】

ネットで何かを探すとき、多くにお人が検索エンジンを利用する。欲しいデータを探すため、検索エンジンで検索し、リンクを辿る。そこで欲しい情報がない場合は、また別のリンクを辿る。こうした作業は、誰しもが経験しているだろう。す…

iPadで話題のアプリがiPhone 4専用で登場!「元素図鑑」でアナタも科学博士に!【iPhoneアプリ】

誰もが感動・驚嘆する素晴らしき元素の世界!『元素図鑑』と言えば、iPadユーザーならば誰もが知っているほどの超有名アプリ。そのアプリがついにiPhone 4専用アプリとして再登場しました。内容はiPad版とほぼ同じ。ヌルヌルと動き続け…

「家電芸人」で注目・品薄状態になった首専用の低周波治療器

被災地でなくても、余震や停電など不安な日々が続き、平穏な時とは違う緊張感で疲れた人は多いだろう。節電で薄暗く肌寒いオフィスでもがんばってデスクワークを続けたため、普段よりひどい肩こりを感じている人もいるはず。■「家電芸人…

美人過ぎる低周波治療器!? アクセサリー感覚の「ネックリフレ」新発売【売れ筋チェック】

従来肩こりを解消する医療機器といえば、首に電極を貼って凝り固まった筋肉をほぐす低周波治療機器は、白っぽくて真面目そうなルックスが基本だった。どことなく年寄りっぽくて、人から見える場所でつかうのは、なんとなく気が引けるも…

虐待だ!の声多数、日テレで人気のワンコが声帯除去手術を受けていた事実に非難殺到【話題】

日本テレビの情報番組「ZIP!」で人気の犬の「ZIPPEI(ジッペイ)」。番組内には日本各地を2匹のZIPPEI兄弟が旅をするコーナーもあり人気がある。ところが、このZIPPEI、声帯を除去する手術が行われていたと日本テレビが発表し、大きな波…