震災を乗り越え、世界的なファッションショーで栄冠を手にしたデザイナーを表彰


今夏、スコッチウイスキーの「シーバスリーガル」と雑誌『GOETHE』が、優秀な若き経営者を発掘・支援することを目的に設立した基金『CHIVAS BROTHERS YOUNG ENTERPRENEUR FUND 2012 supported by GOETHE』の授賞式が、12月初旬に宮城県仙台市にて開催された。

初年度となる今年は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響を、直接または間接的に受け、ビジネスの再起に向けて活動する優秀な若き起業家に対し、1000万円の助成金を用意。栄えある第1回目の受賞者は、福島県いわき市生まれのファッションデザイナー・志賀亮太氏が選ばれた。

今回の会場となったホテルメトロポリタン仙台は、震災後いちはやく、東北の食材を利用したランチ、ディナーなどの特別な宿泊コースを用意し、その売り上げの一部を、義援金として役立てるなど、復興支援活動に積極的に取り組んできたホテルでもある。



まず授賞式に先立ち、ペルノ・リカール・ジャパン 代表取締役社長 ジャン-エチエンヌ グルグ氏は「シーバスリーガルの創設者であるジョンとジェームスのシーバス兄弟は、19世紀にスコットランドでビジネスをスタートし、世界的な成功を収めると同時に、その成功をチャリティー活動などを通じて地元コミュニティーに還元してきました。彼らのスピリッツを受け継ぎ、起業や既存ビジネスの更なる発展を目指す有望なビジネスマンをサポートするために、この基金を設立しました。初年度となる今年は、東日本大震災で被災したビジネスマンの再起をサポートしたいと思っています」と、挨拶。

そして、本基金のパートナーである、雑誌『GOETHE』編集長・舘野氏から「本当にナイスガイで、ニッポンの若きサムライを代表するような男」と紹介された志賀氏が登場。

同氏は2011年1月に、「自然と人間と動物の共存」をテーマに、天然素材にこだわった生地や毛皮を使ったレディースファッションブランド『RYOTA SHIGA』を設立。しかし、ブランド立ち上げ直後、東日本大震災に遭い、華々しいデビューを飾るはずだったジャパンファッションウィークのランウェイショーが中止に。すべての製品を作っていた福島の工場も被災し、その後の風評被害により事業は甚大な被害を受け、自身も3週間の避難所生活を経験した。
震災後に閉ざされたかのように見えた夢だったが、あきらめることなく、震災後も事業を拡大し、福島県いわき市で開催したファッションショーで募った募金200万円をいわき市に寄付したり、仙台市の学校法人支倉学園ドレメファッション芸術専門学校では、ボランティアで理事を務めるなど、若手育成にも力を注いでいる。
そして、昨年パリで開催された世界最大のエシカルファッションショーでは、日本人として初めて優勝。“未来永劫的に継続する一人、一人の幸福の為の行動”を指針に日々活動を続けている。

受賞式では、まず震災時を振り返って「東京でのファッションショー直前にあの震災がおき、すべてがキャンセルとなってから、何度も何度もくじけそうになりました。それでも前に進めさせてくれたのは、いままで支えてくれた家族や同士など、さまざまな方々のおかげでだと思っています」と感謝を述べた。さらに「今日この場に来ていただいている支倉学園の生徒の中にも津波で家を失い、家族が未だに避難所生活を続けている人もいます。そういった辛い状況を乗り越えていくことが、本当に大切だと思います。そういった“辛い冬”は、かならず“春”となり、辛い想いをした人は、必ず幸せになってほしいと思っています」と、時折涙で言葉を詰まらせながらも、力強く熱い想いを伝えた。
また「今日この素晴らしい基金をいただいて、わたしの夢でもあったパリでのファッションウィークへの参加、また、ファッションショーを通じて日本から発信していきたいと思います。まだまだ小さなブランドではありますが、さまざまな支えがあり、ここまでやってくることができました。どんなに大きな壁に見えても、シーバスリーガルのモットーである「LIVE WITH CHIVALRY(騎士道精神)」を持ち合わせ、勇気を持って、ひとつひとつその高い壁を乗り越え、逆境をバネにして未来を作っていきたいと思っています」と、震災を乗り越えたからこその言葉で、受賞のスピーチを締めくくると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

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