LANだけで動作するコンピュータ 電源不要のオールインワン型【デジ通】


デスクトップ型のコンピューターを使う場合、従来は電源が必須であった。もちろんビジネスユースであればネットワークに接続することも必須なのでLANケーブルもしくは無線LAN環境も必要だ。電源とネットワークの両方を一本のLANケーブルでまかなえてしまうという驚きのオールインワンPC「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」を日本HPが発表した。

このPC、電源はLANケーブルで電源を供給できるPower over Ethernet(PoE)を利用する。一般的に、デスクトップ型のパソコンおよび液晶モニターは消費電力も高い。この本体自体はシンクライアントで消費電力が低く、液晶パネルにも3Mのフィルタを使用するなど、低消費電力でも使い勝手に影響がないようになっている。最近は各種クラウドサービスが普及しつつあるが、シンクライアントは、データだけでなく、OSやアプリもサーバーから読み込む仕組みだ。そのため、シンクライアントの本体にパフォーマンスはほとんど必要ない。

■イーサーネットから電源を供給できるデスクトップ型コンピューター
PoEは規格上12.95Wの電力を供給できるIEEE802.af(Type 1)と、25.5Wを供給できるIEEE802.3af(PoE+/Type 2)があるが、この製品はより一般的な12.95WのType 1で動作する。このため、パソコンに使われるインテルのCoreなどではなく、スマートフォンと同等のARMベースのプロセッサを搭載している。

デスクトップパソコン用の液晶モニターは、明るさなどの関係から消費電力は比較的高めだ。液晶モニターも低消費電力仕様になっている。こちらには、バックライトの光を有効活用する3MのDBEFというフィルムを使用しているため、明るさや視野角なども、一般的なデスクトップパソコン用液晶モニターと同等になっている。消費電力は一般的なデスクトップパソコンと、液晶パネルの最大消費電力時の比較で、1/20となっている。

PoEで電源を供給できるので、スイッチングハブ1つからそれに接続されたクライアントへ電源を供給できる。電源工事などの負担はもちろん、デスク周りの電源コードの数も減らすことができる。



■トータルコストを下げられるシンクライアント
サーバーが必要になるので、個人向けの製品ではないが、サーバーの設置や運用が可能なSOH環境や事業所で使用すると様々なメリットが出てくる製品だ。価格は1台3.5万円程度で、低価格のパソコンに比べて若干安い。ただし、サーバーの初期導入コストは安くはないし、それなりに導入や運用にもスキルが必要になる。

一般的な事務作業などでは、ブラウザやメールクライアント、各種オフィスソフトなどが動作すれば十分だろう。今回のような製品などシンクライアント環境も年々向上している。シンクライアント環境にすれば、各種セキュリティやソフトウェアのアップデートなど様々な作業がサーバー側での処理だけで可能になる。このため、長期間使用した際のトータルコストは一般的なパソコンを使用したシステムよりも大幅に下がる場合が多い。

すべての環境でこのような製品が適しているわけではないが、電源周りなど含めシステムを見直す際には、こうしたシンクライアントなども含めて検討する必要があるだろう。

HP t410 All-in-One Smart Zero Client

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

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