【編集部的映画批評】婚約相手には“隠し妻”が…、現代女性に求められる経済的&精神的“自立”


 一生に一度(大抵の人は)の一大イベントである「結婚」。国勢調査によれば、50歳時点で一度も結婚したことがない“生涯未婚率”は1990年頃から男女共に急上昇し、2010年では男性が20.1%で女性が10.6%に到達。年代別に見ると、25〜29歳では男性が71.8%で女性が60.3%、30〜34歳では男性が47.3%で女性が34.5%、35〜39歳では男性が35.6%で女性が23.1%となり、現代人は結婚に対してより慎重になっています。“電撃結婚”や“スピード婚”などもありますが、婚約破棄や離婚などのトラブルを避けるためにも、結婚前に同棲期間を設けたり、お互いを知り合うための時間は多いに越したことはないでしょう。

 芸能界では、某俳優が二人の女性に同時にプロポーズするという二股騒動などもありましたが、その真実は当事者たちにしか分かりません。6月2日よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開となる映画『ジェーン・エア』では、主人公ジェーンが初めて愛した男性との結婚式の朝、恐ろしい秘密が明らかに。彼の屋敷の隠し部屋には、かつて結婚したもう一人の妻が幽閉されていたのでした…。

『ジェーン・エア』

 孤児院で辛い幼少時代を過ごしたジェーン・エアは、住み込みの家庭教師としてソーンフィールド邸で新たな生活を始める。暗く影のある屋敷の主人ロチェスターにジェーンは次第に惹かれていくが、ある日、ロチェスターが抱える恐ろしい秘密を知ってしまう。

現代に求められるヒロイン

 幼くして両親を亡くし、冷酷な伯母に育てられジェーンは、無理矢理入れられた寄宿学校で不当な扱いを受けますが、決して痛みや悲しみに屈することなく、信念と知性で自らが望む自由な生き方を探し続けます。恋愛においても、男性に媚びたり恋の駆け引きもしない彼女でしたが、遂には互いの感性や人間性に惹かれ合う運命の相手との巡り会いを果たします。まるで「小公女セーラ」さながらの悲劇のヒロインですが、予想通り慎ましい幸運は長続きせず、やがて彼女の身に不幸が訪れます。

 原作は、1847年に出版されて以来、現在まで27回に渡り映画化されてきた、英国文学史上最大のタブーを破った同名小説です。当時、女性の社会的地位は低く、精神的かつ経済的に自立しようとするジェーンの生き方や、女性から愛を告白することは常識を覆すものでした。ジェーンを演じるのは、原作に感動して自らこの約を切望した『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年公開)で主人公アリス役を演じたミア・ワシコウスカ。ジェーンと禁断の恋に落ちるロチェスターには、衝撃作『SHAME―シェイム―』でゴールデン・グローブ賞主演男優賞ノミネートやヴェネチア国際映画祭男優賞受賞を果たしたマイケル・ファスベンダーです。

優美な手作り衣装と、秘密を抱えた屋敷

 1830年代当時に撮影された写真をもとに徹底的に研究された衣装は全てが手作りで、アカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされました。ジェーンが身につけるものは全て薄くて控え目で地味な色合いであるグレーとブラウンの濃淡で、恋敵として登場するイングラムにはジェーンとのコントラストを反映。他の女性の衣装にも全てジェーンとの関係性が表現されています。ジェーン自身の衣装も、子供時代の衣装と統一感をもたせることによって彼女の人格が子供の頃に形成されていたことを表現し、ロチェスターとの婚約後には状況の変化が反映されています。

 

 

 ロケは小説の舞台となったダービーシャー州で行われ、秘密を抱える屋敷には、11世紀に建てられたイングランド屈指の歴史を持つハドン・ホールが選ばれました。特別メイキング映像では、屋敷内での撮影の様子や、塀の外に広がる美しい田園風景の他、本編では決して目にすることのできないキャストの素の表情を覗き見ることができます。



“自立女”に愛される“ダメ男”

 不幸な運命に翻弄されたジェーンを通じて描かれるのは、現代社会に求められる“自立”です。家庭や学校など置かれた逆境に挫けることなく、目上の者を前にしても誇り高き志を貫く姿勢は、様々な問題を抱える学校や職場で人間関係を築く手本となります。また、恋愛においても、相手の財産に頼ることなく、第一印象や周囲の噂に惑わされることなく人間の本質を見抜く、経済的かつ精神的自立が、孤立を怖れ集団に依存する大多数の人に求められています。

 一方で、ジェーンが恋に落ち、周囲も羨むお似合いの結婚相手がいながらも、身分の劣るジェーンを選ぶロチェスターもまた“自立”した男性かと思いきや、屋敷内に幽閉した妻の存在が明らかに。政略結婚など、ロチェスターの人格を完全に否定することはできませんが、“ダメな男”ほど、女性の母性本能をくすぐるのかもしれません。

ジェーン・エア - 作品情報

映画は芸術ハラの所見評価

メッセージ性:★★★

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