次世代のVFX技術で、時代遅れの旧式ロボット“ATOM”に吹き込まれた命
昨年12月に劇場公開され、5月16日にブルーレイ/DVD/オンデマンドとなって登場したヒュー・ジャックマン主演によるアクション・エンターテイメントの決定版『リアル・スティール』。時代は、今から8年後の2020年。20世紀にモハメッド・アリやマイク・タイソンなどのスーパー・スターを生み出した花形スポーツ、ボクシングの人気は衰退の一途をたどり、やがてリングは、生身の人間による闘いの場から、高性能のロボットたちによる死闘の場へと変わっていた。
ヒュー・ジャックマン演じる父チャーリーが、息子マックスを連れて忍び込んだゴミ捨て場で、奇跡的にマックスの窮地を救ったのが、型落ちのスパーリング・ロボット“ATOM”だった。ATOMは本来、格闘技ロボットのスパーリング相手となるトレーニング用のロボットであるため、闘いには不向きに見えたが、相手の動きをコピーすることで闘い方を学習する“シャドー機能”によって、元ボクサーであるチャーリーの闘い方を学び、最新鋭で高性能なロボットたちを相手に闘いを挑んでいく。
VFX監督ジョン・ローゼングラントは「本作で最も複雑なシークエンスは?」との質問に対し、「他の特殊効果映画でも同じですが、複雑なシークエンスは沢山あります。しかし、一つ頭に浮かんだのは、ゴミ捨て場で拾われたATOMが、最初にパワー・アップするシークエンスです。このヒーロー・ロボットを泥の中に隠し、その後、起き上がらせなければなりませんでした。この撮影には、こちらが望むほど十分な準備時間が取れなかったのですが、実際のシーンは素晴らしい仕上がりだったと思います。それを私は、とても誇りに思います。」と述べている。
『アバター』ではモーション・キャプチャーでとらえた動作を仮想空間に投影したが、『リアル・スティール』ではそれを現実空間に再投影するという次世代のアプローチを試みた。圧巻となるロボット同士の格闘シーンは、データ取り込み用のジャンプスーツを着用した2人のボクサーたちの対戦を、モーション・キャプチャーを使用して撮影。それデータ化し、スクリーン上のロボット・アバターに同期させた後、実際のセットで誰も居ないリングにカメラを設置して撮影。データ処理済みのロボット対戦をリアルタイムで現実空間に再現させていくことにより、巨大アリーナや荒廃した動物園でのロボットたちの格闘シーンがスクリーンに展開された。
本作の製作総指揮スティーブン・スピルバーグは、ロボットと対峙する俳優達からリアルで感情豊かな演技を引き出し、真実味あるシーンを創り出すために、すべてをデジタルで描くのではなく「可能な限りフルサイズのロボットを作るべきだ」と提言。19種類のロボットが設計され、4体が実際に造られた。ATOMを始め、ユニークでバラエティに富んだロボットたちの設計を担当したのは、ジョンが設立し、『アバター』や『アイアンマン』などのキャラクター・デザインやメカ・デザインを手掛けたレガシー・エフェクツ社だ。
ジョンは本作を振り返り「私が『リアル・スティール』の仕事の中で好きだったのは、キャラクターに命を吹き込むことと、出来るだけアイコン(シンボル)的なロボットを開発することでした。」とコメント。特にお気に入りのロボットについては「ロボットは皆、私のベビーです。すべてに、同じ時間と、同じエネルギーを注いで作りました。しかし、今回の場合ATOMが、ロボットとしては大きな心と魂を見せてくれます。ですので、私としてはATOMに傾いているのでしょうね。」と語っている。
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