伝統のシャンパンブランド「MOET」を継ぐ若き醸造家


世界中から愛されているシャンパンメゾン「モエ・エ・シャンドン」にて、醸造最高責任者を務めるブノワ・ゴエズ氏。2005年に35歳の若さで醸造最高責任者に就任して以来、その確かな味覚で伝統のモエ・エ・シャンドンを率いてきた。今回、「グラン ヴィンテージ2002」のプロモーションで来日中のゴエズ氏に独占インタビューの機会を得て、グラン ヴィンテージの魅力から、シャンパンメゾンの醸造最高責任者という仕事論までを聞いた。


―――まず、「醸造最高責任者」という肩書きですが、具体的にはどのようなお仕事をされているのでしょうか?
ブノワ・ゴエズ(以下、ゴエズ):まず、大きく分けて2つの仕事があります。ひとつがノンヴィンテージつまりモエ・アンぺリアルに関するもの、もうひとつはヴィンテージに関するものです。ノンヴィンテージについては、一貫したクオリティでのモノづくりが求められるもので、これは私が前任者から受け継ぎ、さらに私の後に続く人も同じ仕事をすると思います。モエ・エ・シャンドンのスタイルを継承していく上で非常に重要な仕事であり、時代を超えて築かれたものを継承していくという作業です。
もう一つの仕事が、今回のようなグラン ヴィンテージの制作ですね。これはヴィンテージごとにその都度オリジナルのものを作り上げるもので、私の役割としては、明確なビジョンを示し、商品の方向性を決める役目になります。つまり、ヴィンテージに関しては創造的、クリエイティブな仕事であり、ノンヴィンテージに関しては持続的・継続的にあるスタイルを達成するという目的があるといえます。

―――今回のグラン ヴィンテージ2002の特徴を教えてください。
ゴエズ:モエ・エ・シャンドンのヴィンテージというのは、1842年から始まり、いままでに68ものヴィンテージがリリースされてきました。69回目となる2002の特徴として、まず言えるのは「熟成度」です。モエ・エ・シャンドンがヴィンテージとしてリリースしてきたものの多くは醸造期間が5年のものでした。今回の2002は7年という熟成を経たヴィンテージになります。この7年もの熟成期間を経ているのは、1930年代以来のことで、2002年に収穫されたぶどうの持つ、並外れた熟成力に注目した結果といえます。

2つめの特徴は「調和=ハーモニー」になります。モエ・エ・シャンドンに使われている「シャルドネ」「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」の3つのぶどうの品種が非常にバランスよくブレンドされているおかげで、酸味、香り、芳醇さがすべてよいバランスで統合されることで、調和感を持っています。

3つ目は、“魅力に抗えない力”とでも言いましょうか(笑) 最初に口に含んだ瞬間に感じられるぶどうの持つフレッシュさが、口の中で持続する力を持っているのです。説得力のある味を持っているとでも言い換えられるかと思います。そして、いまの言い方というのは、このシャンパンの持つ個性を言い表しています。

―――いま、「個性」という言葉が出ましたが、260年もの歴史を持つモエ・エ・シャンドンの中で、今回のヴィンテージをクリエイトするにあたり、どのような個性を表現されましたか?
ゴエズ:まず、モエ・エ・シャンドンには普遍のスタイルが大きく分けて3つあります。まずひとつが「ブライトフルートネス」と言っているのですが、輝きのある果実味というものです。これはモエ・エ・シャンドンのシャンパンを飲むことで、元となっているぶどうの味わいをしっかりと感じられるというものです。2番目が、官能的な口触り、やさしさ。そして、3番目はエレガントな熟成感を楽しめるというものです。通常、シャンパーニュ地方の法律で、「ヴィンテージ」と名乗るものは、最低3年は熟成しないといけないのですが、その3年よりもずっと長い7年間期間熟成させることで、他にない芳醇な味わいが楽しめるというものです。

そして、2002年のグラン ヴィンテージというのは、元となっている輝きのある果実味と、エレガントな口ざわりに加えて、その追加的な魅力というのは、より熟成期間を延ばしたことによるものと、調和のとれたハーモニーによるものです。最終的には抗えないような余韻、これこそが個性といえるでしょう。

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