【Shine! Vol.04】飲食が好きだから、四六時中考えていても苦にならないんです(株式会社ダイヤモンドダイニング 末永恵美さん)
――最初に、末永さんの現在のお仕事について教えてください。
末永さん:新規事業の担当になって1年ほどになります。これまで弊社では、店舗ごとにすべてコンセプトが違う居酒屋業態がメインだったんですが、ファミレスや丼モノのお店のような非アルコール業態のチェーン展開も新たにやっていこうというになりまして。現在はその準備作業が主な仕事です。――具体的にはどういったミッションが?
末永さん:基本的にはぜんぶです(笑)。コンセプトやメニューの決定から、オペレーション作りや原価計算、出店エリアのマーケティングまで、なにもかもを専任の私と上司のふたりでやっている感じですね。――事業の成否はまさに末永さんの双肩にかかっているわけですね?
末永さん:そんな責任重大なことを、私がやっててもいいのかなぁなんて思ったりもしますよ。もちろん、抜擢していただいたからには一生懸命やるのは当然ですけど。男ばかりの“戦場”ともいえる厨房での得がたい経験が、いまにつながっていると語る末永さん。
すべてがイチから。試行錯誤する日々
――気になるその新店のオープンはいつごろの予定ですか?
末永さん:時期的にはすでにスタートしていてもよかったはずなんですが、震災の影響などもあって、まだこれからという感じですね。今年中には開店にこぎつけたいところではあるんですけど……。――やはりチェーン展開となると従来とは勝手が違いますか?
末永さん:そうですね。これまでの「100業態100店舗」のスタイルだと、各店舗に料理長がいて、メニューもコンセプトに合わせてお店ごとに考えるので、マンパワーに頼ることもできるんですけど、コックレスが基本のチェーン店ではそういうわけにもいきません。誰でも調理できて、どこでも同じ味が楽しめるようにするには、きちんとしたマニュアルが必要不可欠ですからね。――確かに業態的にも真逆。となると、ノウハウも踏襲できないのでは?
末永さん:ぜんぶイチからですね。既存の店舗とは違って、求められるのはシステマティックな運営なので、材料を自分で買ってきて、一つひとつ秤にかけて、原価と照らしあわせながらビシッとグラムを決めて……ってところからコツコツやってます(笑)実際の店舗の厨房を借りて、自らメニューの試作をすることも。コック服姿が凛々しい。
<イチオシ商品>
弊社は「土佐十景」というプロジェクトのもと、数々の土佐(高知)料理店を展開しています。中でも高知名物「かつおのわらやき」を、燃え上がる藁で燻すパフォーマンスから楽しむことができる「わらやき屋」がオススメです。・「わらやき屋」公式サイト
厨房でのハードな経験を乗り越えて
――ところで、現在に至るまではどういった職場に?
末永さん:最初は、女性が長く活躍できる業界で働きたくて化粧品メーカーに入ったんですけど、自分のなかで思うところがあって、その後は飲食業界に。飲食店の厨房で3年ほど調理師をやったあと、飲食系のコンサル会社で企画・販促を担当して、いまの会社の宣伝課を経て現職という感じですね。――飲食店の厨房というと男の世界というイメージですが。
末永さん:人生でいちばんハードな経験でしたね(笑)。女性は私ひとりしかいなかったし、しかもみんな職人気質ですからね。怒鳴られたり、喧嘩したり、体力的にもキツかったし、泣いて辞めようと思ったことも一度や二度じゃなかったですよ。――そんなツラい想いまでしたのに、いまも同じ業界にいるのはなぜでしょう?
末永さん:なんででしょうね。うまく言葉にはできないですけど、お客さんの立場で行っても、厨房のなかにいても、「生きてるなぁ」っていうライブ感を感じられるからじゃないですかね。どんなにツラくても、「おいしい」っていってもらえるだけで報われますし、厨房から「この人は、どういう状況でここに来てるんだろう」とか、そこにあるドラマをいろいろ想像するだけでも楽しかったりしますしね。――辞めずにつづけられた、いちばんのポイントは?
末永さん:やっぱり厨房にいたころの料理長の存在は大きいですね。辞めたいっていう私に、「いまのままだとキャリアにもならないから、時期を決めて、それまではいろ」って、いろいろ教えてくださって、最終的には料理のコンテストで賞をもらうこともできたんで。あそこで投げだしていたら、この会社に入ることもなかったですし、飲食の世界にだって、きっともういなかったと思います。「飲食は数少ない趣味のひとつ」だから、オンオフの切りかえを意識することはほとんどない。
<3つのアイテム>
必須アイテムは、情報収集にも便利なWebベースのフィードリーダー『Google リーダー』と、デスクの片隅に置かれた観葉植物。それに、かわいらしい動物たちがあしらわれたカレンダーの3つ。後者の2つは、ご本人曰く「決して欠かせなくはない」ものの、煮つまったときなどに気を落ちつかせてくれる、なごみ系アイテムとしてつねにかたわらに置いてあるのだとか。週末に欠かさない外食も“自己学習”の一環
――プライベートでも料理はたくさんされるほうですか?
末永さん:自分で作ることも勉強なんで、料理はよくしてますね。休みの日には、平日だとできないような手の込んだ料理にもチャレンジしてみたり。あと週末には必ず、ディナーに出かけるようにもしてますね。働いているからこそ、勤務時間外での「自己学習」は怠らないようにしたいんで。――ちなみに得意料理は?
末永さん:休みのときは、手間や時間がかかったり、近所のスーパーでは手に入らない食材を使うものを作ることが多いですね。最近だと、ワインに凝ってるんで、それに合うコンフィとか。まぁでも、食べてくれる相手がいないときは気持ちも雑になっちゃうんで、たいがいおいしくできないんですけどね(笑)――コンフィ……もう響きがすでにオシャレです!
末永さん:そうでなんです。でも、これも仕事のうちですから(笑)――それだけずっと飲食のことを考えていると、ストレスが溜まったりしませんか?
末永さん:逆にそれがスゴい幸せだなぁって思っちゃうんですよね。だから、ストレスもほとんど溜まらないし、私自身、飲食がほとんど唯一の趣味なんで、四六時中考えていたとしてもまったく苦にならないんです。ふだんから意識していることといえば、物事を悪いように考えないことと、ネガティブな言葉をあんまり口に出さないようにすることくらいで。若い世代にもチャンスは平等。彼女が「Shine!」なのは、社内のそんな雰囲気があればこそだ。
将来はいつか自分のお店をもちたい
――最後に、末永さんが考える理想の飲食店とはどんなところでしょう?
末永さん:その場所を訪れるお客さん、一人ひとりの関係性にまで気を配れるお店ですかね。ただ単に「食べる」といっても、そこにはいろいろなシーンがありますし、人によってはそれが一生に一度の記念日だってこともある。そこでもしお店側にミスがあったりすると、そんな大事な瞬間をブチ壊しにしてしまう可能性もあるし、場合によっては人間関係まで壊れてしまうかもしれない。たとえフランクに入れるお店であってもそういう責任はつねにあると思うんで。――自分の手でそれを叶えたいなんて野望も?
末永さん:飲食に携わっている人なら、みんな少なからず思ってることだと思いますけど、いつかは、自分のお店をもちたいっていうのはありますよ。でもいまは、目のまえにある仕事を精一杯こなすことのほうが大切ですけどね。――お忙しいなか、本日はありがとうございました!
ふんわりとした雰囲気をただよわせつつも、話の端々に芯の強さを感じさせる姿が印象的だった末永さん。創業から10年という新興企業であるダイヤモンドダイニングを、約250店舗を束ねる一大外食グループへと押しあげたのも、彼女のような若い世代が存分に力を発揮できる土壌があってこそといえそうだ。
<プロファイル>
●Shine!ナンバー:004●名前:末永 恵美(すえなが えみ)
●会社名:株式会社ダイヤモンドダイニング
●所属部署:戦略事業本部 経営企画部
●特徴:よく飲み物をこぼすようです。
●得意技:飲食店に関する記憶力・情報収集能力(一度得られた情報は、たいてい忘れません)。
●弱点:お腹が空くと極端に集中力が落ちる。
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