カメラを片手に散策する、東京リラックスゾーン vol.7


vol.7:非日常旅気分を味わいに、羽田周辺に飛行機を見に行く
Camera;iPhone4S、iPhone3GS/App;CAMERAtan、INStan Pocket


飛行機が真上を通過する城南島海浜公園

これまでは緑あふれるリラックスゾーンを中心に散策してきたが、今回は「飛行機」がテーマ。飛行機を見るとワクワクする人はとても多いはずで、実際に旅行に行かずとも、飛行機を見に行くというのは、とてもリフレッシュになる。

そこで今回は、羽田を離発着する飛行機が真上を飛ぶことで知られる東京都大田区にある城南島海浜公園で飛ぶ飛行機を楽しみ、その後はモノレールで羽田空港に行き旅行気分を味わうというルートを散策してみた。当連載は今回で最終回。そこで趣向を変え、iPhone写真アプリ「CAMERAtan」「INStan Pocket」の開発者である久米康大さんと共に、アプリのオススメの使い方を伺いながら散策をすることにした。


散策のスタート地点はJR大森駅。ここから京浜急行バス「城南島循環」に乗り、30分ほどの距離に城南島海浜公園はある。公園の周囲は海沿いの倉庫街。湾岸で働く方を主に送り届けるための路線であるため、途中「大田市場」という巨大市場の中をぐるっと一周するという、とてもユニークな路線であり、非日常空間を味わえるおすすめの路線だ。

今回はJR大森駅から乗車したが、京急の大森海岸駅、東京モノレールの流通センター駅もこのバスは通過するので、アクセスしやすい駅を利用すればいい。ただし、日中や土日は1時間に1本ほどしか運行していない。事前に時刻表はチェックしておこう。

目的地である城南島海浜公園は、バーベキュー場があったり、人工砂浜、海沿いのボードウォーク、スケボー広場などがある海浜公園。人工砂浜は飛行機が真上を通過することから「つばさ浜」という名称が付いており、飛行機撮影スポットして有名だ。

本日の目的も、もちろん飛行機。以前、バーベキューを行った際には、飛び交う飛行機の音がうるさくて、最初はワーキャーと騒いでいたものの、次第に「うるさい」という感覚に変わっていくほどであったのに、撮影当日はまったく飛行機が飛ばないという事態に。着陸便が特に真上を飛んでいたと記憶していたが、離陸便が十分おきにちょっと遠くを飛ぶ程度。どうやら、風向きと時間帯によって、真上を飛ばないときがあるらしい。この日は、平日のお昼、晴れというコンディション。みなさんが行かれるときは、真上を飛ぶことを祈ります。


さて、今回の撮影機材はiPhone4Sと3GS。iPhoneのカメラは前から評価が高かったが、4Sは800万画素、開放F値2.4という脅威の性能になった。久米さん曰く、「4Sのカメラはホワイトバランスの精度とスピードが向上していますね。すごくしっかり写りますが、3GSにあった、どこか軟らかい雰囲気ある描写はなくなっています」。だからこそ、アプリを使うことで好みの描写するのはオススメ。

「CAMERAtan」は、普通に無加工で撮影した後、カメラロールから写真を読み込んで加工するのに向いているそう。一方の「INStan Pocket」は、アプリを起動した状態で撮影して楽しむ「トイデジ感覚」のアプリとのこと。好みのスタンスで使い分けてみよう。


【左】バスの車窓から大田市場の風景を撮影。大田市場は生鮮食料品の大規模市場だ。(Camera:iPhone3GS/App;CAMERAtan・ToyStorm1)【右】人工の砂浜「つばさ浜」。貨物船や観光船も頻繁に沖合を通る。(Camera:iPhone3GS/App;CAMERAtan・ToyStorm2)


久米さん撮影の飛行機写真。多重露光モードで飛行機を3機に!(Camera:iPhone4S/App;CAMERAtan・Overlay EXPを2回+Vint.Blue)


【左】ポラロイド風のフチがかわいい。トイデジアプリ「INStan Pocket」を使用。(Camera:iPhone4S/App;INStan Pocket・Toy Storm)【右】接写をすると明るいF値ならではのボケ味が味わえる。INStan Pocketの加工と相まって一眼レフのような描写に。(Camera:iPhone4S/App;INStan Pocket・Toy Storm)

公園内のキャンプ場。画面の4隅が暗くなるトンネル効果が被写体を際立たせる。(Camera:iPhone4S/App;INStan Pocket・Toy Storm)

カメラを草むらの中に潜り込ませて撮影。変わったアングルを切り取れるのは小型ボディの携帯電話ならでは。(Camera:iPhone3GS/App;CAMERAtan・ToyStorm2)

何度乗ってもワクワクするモノレールで羽田空港へ

城南島海浜公園を後にしてバスで流通センター駅へ向かい、モノレールに乗って羽田空港へと向かう。羽田空港は飛行機を乗るためだけに行く場所ではない、と思っている人は、僕だけでなく案外な人数いるのではないだろうか。

羽田空港のデッキから飛行機を眺めたり、空港独特の雰囲気を味わったり、お土産屋さんを眺めたり。もちろん、モノレールからの車窓も絶好の被写体であり、この日も、左右の窓に僕と久米さんが別れ、東京湾の眺めを撮影していった。


さて、僕はCAMERAtanをメインに使っていこうと思い、この日は加工なし状態で撮影を重ねていた。

そして、羽田空港で天丼を食しているときに、久米さんにCAMERAtanのオススメモードについてお聞きした。
「CAMERAtanを起動したまま撮影することもできますが、加工時間がかかってしまうため、シャッターチャンスを逃すことがあるといけないので、後から画像加工する方がいいです。良く使っていただいているのは『Toy Storm』というもの。トイカメラ風のトンネル効果やプラスチックレンズっぽい軟らかさが出ます。『XDrop』はクロスプロセスという色転びを再現していて人気がありますね。今のバージョンでは40以上のモードが用意されているので、ぜひいろいろと試していただきたいです。そして、1枚の画像に対していくつもの加工を重ねていくのもおもしろいと思います。『Pattern A』を選びつつモードを選ぶと加工強に、『Pattern B、C』を選ぶと徐々に加工弱になるので、最初に『Pattern A』で何か加工を選び、2回目は『Pattern C』で少しだけ追加加工するのはオススメの手法です」。

僕は「ToyStorm3」+「MinnaRed」という組み合わせがとても気に入り、多用してみた。トンネル効果で周辺光量が落ち込みつつ、セピアとは異なる赤い色転び(RedScaleフィルムというものを参考にした加工)を起こすのだ。


冒頭にも触れた通り、今連載もこれが最終回。この連載では、東京のスポットを紹介するとともに、写真をさまざまな特徴的なカメラで撮ることも主眼に入れてきた。写真は、誰しもが表現者になれるとても気軽で、でも奥が深くやりがいのある趣味。人生をより楽しむために、散策で目に触れた美しい景色を残したり、隣を歩く人の表情を撮ってみてはどうだろう。


【左】モノレールから撮影。ハイキーの明るい描写が美しい。(Camera:iPhone4S/App;CAMERAtan・CoolerBox+Flash)【右】モノレール車内という何に変哲のない風景も、加工を施せば絵になる。(Camera:iPhone3GS/App;CAMERAtan・ToyStorm3+MinnaRed)


【左】羽田空港の展望デッキ。逆光シルエットとレッドスケール効果がマッチする。(Camera:iPhone3GS/App;CAMERAtan・ToyStorm3+MinnaRed)【右】羽田空港の近未来的風景をクールなモノクロモードを用いて撮影。(Camera:iPhone4S/App;CAMERAtan・Chocolate+RichBlack)


展望デッキから飛行機を撮影。(Camera:iPhone4S/App;INStan Pocket・Toy Storm)



使用iPhoneアプリ

CAMERAtan
40種類以上のモードを搭載したトイデジ風加工アプリ。日本とシンガポールのAppStoreの写真カテゴリーで第1位を獲得。多くのファンを持ち、CAMERAtanを使った撮影イベントなども開催されている。170円。
http://itunes.apple.com/jp/app/id327075195?mt=8





INStan Pocket
アナログ感覚を大切にしたトイデジアプリで、厳選されたトイカメラ・フィルター9種、フィルターの雰囲気を変えるトーンボタン4種がある。多重露光、フォーカス・露出・ホワイトバランスのロックなどもできてしまう。85円。
http://itunes.apple.com/jp/app/instan-pocket/id445365765?mt=8






写真・文 久米康大、鈴木文彦(snap!)
エディター。フィルム写真関連の書籍・ムックの企画・執筆・撮影をメインに、イベントやカメラアイテムのプロデュースを手掛ける。主な出版物は、アナログカメラ専門誌「snap!」(インフォレスト)や「SNAPSHOT magazine」(エイ出版社)、「トイデジLOVERS」(インフォレスト)、「トイデジのアイデア」(技術評論社)など。その他,編集を担当した出版物は,「MEDICOM TOY MANUAL 2」(ホビージャパン)、「play set products all works」(朝日新聞出版)など。
snap!ブログ http://snapmag.exblog.jp/

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