4Gスマホ時代到来!超高性能機種の登場とクラウド化の加速がスマホを変える【世界のモバイル】


7月にLTEサービスが2つの事業者から開始された韓国で、LTE対応のスマートフォンが続々と発売開始になっている。中でもLG電子のOptimus LTEはライバル他社の製品より高いスペックを誇っており、同社が巻き返しを図るために満を持して投入した最終兵器とも言える製品だ。

Optimus LTEのスペックは1.5GHzデュアルコアCPU、4.5インチ1280x720ピクセルディスプレイ、800メガピクセルカメラ、NFC、T-DMB(デジタルモバイルTV)など。本体サイズは132.9x67.9x10.4mm、135gと高スペックな製品ながらも大型化をギリギリ押さえたものになっている。

OSはAndroid 2.3を採用する。韓国ではNFCの普及が始まっており、また韓国版ワンセグとも言えるT-DMBを搭載していることから既存のユーザーもOptimus LTEへの乗り換えはスムースに行えるだろう。
韓国で発売されたLG電子のOptimus LTE

またOptimus LTEはディスプレイ性能にも優れている。LG電子グループで開発されたIPS True HD液晶は自然な色合いを再現しながらも省電力に優れており、スマートフォンの搭載にも向いたものだという。有機ELと比較しても色の再現性は優れているとのこと。また画面1インチあたりの画素数は329PPIと高精細であり、細かい文字や写真の細部までしっかりと表示することが可能だ。

韓国でもスマートフォンの普及率は高まっており、通信事業者の販売補助金政策もあってかハイエンドの製品がよく売れているという。Optimus LTEも価格は最も高い部類の製品となるだろうが、LTEの契約プランとセットにすれば月々の支払額は3Gスマートフォンより若干高い程度で抑えられそうである。また高スペックな製品だけに多少の価格の高さは気にならないものになるだろう。

さてLTEスマートフォンの特徴は通信速度が高速なこと、またスマートフォンの中でも高スペックな製品になっていることなどが挙げられる。だが端末単体としての機能が高いだけでは、LTEスマートフォンを普及させる原動力にはなりにくい。

韓国では1年前のスマートフォンはもはや実質無料に近い低価格で販売されているくらいであり、LTEサービスを普及させたい通信事業者にとってもLTEの魅力を消費者に伝えることは急務となっている。

その答えの一つとなるのがクラウドサービスだ。韓国の各通信事業者は今年になってからクラウドサービスを強化しており、写真や動画、また仕事のデータなどをいつでも高速な通信環境下で利用できることをアピールしている。

韓国の3事業者はそれぞれSK Telecomが「T Bag Plus」、KTが「U Cloud」、LG U+が「U Plus Box」とGBクラスの容量を持ったクラウドサービスを提供、利用者は急増しているとのこと。クラウド利用がストレス無く快適にできる、これがLTEスマートフォンの最大の武器になっていくだろう。

また日本でもヤフー・ジャパンが容量5GBまで無料の「Yahoo!ボックス」を開始したが、韓国でもポータルサービスのNaverが30GB、Daumが50GBのクラウドサービスを提供中だ。スマートフォンからの利用も専用アプリにより手軽に行える。LTEの普及によりユーザーは固定回線とモバイル回線の使い分けを感じることなく、24時間いつでもどこでも高速な通信環境を利用することが可能になるのである。
クラウドサービスなどをアピールするLG U+

今後韓国ではハイエンドスマートフォンの大半がLTEなど4Gサービスに対応したものになっていくだろう。それにより海外でLTE端末を販売しているメーカーの韓国への進出もより容易になっていくと考えられる。

例えば、HTCは韓国のスマートフォンブームに乗って着々とシェアを伸ばしているという。HTCもLTEスマートフォンはすでにアメリカなどで発売しており、それらの製品はLTE普及を目指したい韓国の通信事業者がこぞって導入を図るだろう。

一方、日本メーカーにも韓国市場への再参入のチャンスはある。例えばLG U+が旧LG Telecom時代にCDMA2000 EV-DO Rev.Aによる高速サービスを開始した時は、対応端末が少なかったことから日本メーカーの製品も採用された実績がある。

今後日本でも日本メーカーによるLTEスマートフォンの種類が増えれば、それらが韓国はもとより、海外のLTE事業者に採用される可能性は大いにあるだろう。


各国でLTEの普及が本格化する中、LG電子がハイスペック製品を投入するのも他社に先駆けてシェアを奪いに行くという積極的な戦略を取っているからだろう。LTEスマートフォンはまだまだ開発できるメーカーの数も少ないだけに、メーカー間のパワーバランスは2Gや3G時代とは異なるものになるだろう。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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