第24回東京国際映画祭作品ガイド<natural TIFF部門>


 10月22日から30日まで開催される第24回東京国際映画祭をムービーエンターで大特集。各部門ごとに作品をご紹介しよう。

 natural TIFF部門は、「自然と接する中でいかに生きるか」をテーマに、高品質の新作を10本、上映する。トヨタ自動車が協賛している。

『プロジェクト・ニム』
【作品解説】
チンパンジーの子供を人間と同じように育てるという1970年代に全米で話題になった実験。全真相を『マン・オン・ワイヤー』でアカデミー賞を受賞したジェームズ・マーシュ監督が描く。
【あらすじ】
『マン・オン・ワイヤー』(08)でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ監督が次なるテーマに選んだのは、1970年代に全米で話題となった「プロジェクト・ニム」。チンパンジーを手話で育ててゆくことで、人間が言語を取得するまでの過程を解明しようと試みた実験である。生まれたばかりのチンパンジーのニムは、ニューヨークの上流家庭に“養子”に出され、“人間生活”をモニターされてゆく。こうしてスタートを切った実験には、何度も試練が訪れる。そのたびにニムは、チンパンジーと人間の世界を行ったり来たりさせられてしまう。我々が実験したのはニムなのか、それとも我々人間自身だったのか? そしてニムの目に人間はどう映ったのだろう。

『地球がくれた処方箋』
【作品解説】
『もうひとつの世界で』(第22回TIFF出品作品)で注目を集めたジョセフ・ペカン監督が放つ、ハーブと薬草の神秘の物語。大地は人間を治すパワーを持っていることを教えてくれる作品。
【あらすじ】
ユキヤナギの葉をお茶にして飲むとアスピリンと同様の効能がある。森から摘んできたハーブや薬草を昔ながらの方法でオイルやシロップにしてゆく。大地や太陽を使って、ゆっくり丁寧にレメディーを作る。本来人間が持つ抗体力に働きかけ、悪いところを治しながら身体にも良い。最新医療が無くても、山や森からの恵みは人間を健康へ導くことを教えてくれる。生命の在り方を伝えてくれる。大自然が我々に与えてくれる処方箋は、身体と魂に響いてゆく。大地に根を張る植物たちの美しさに満ち溢れた作品。そして第22回natural TIFF部門出品作品『もうひとつの世界で』で注目を集めたジョセフ・ペカン監督の自然への愛情とその真摯なまなざしは今年も変わらぬままだ。

『光と影の間にあるもの』
【作品解説】
自閉症のフランシスコは、兄弟たちの家を転々として生きてきた。疎まれた存在なのだと信じてきた。生きる感覚を失いかけたフランシスコが出会った場所とは…。
【あらすじ】
自閉症の老人フランシスコは、弟のビクトル、彼の妻シルビア、彼らの息子のブルーノと一緒に暮らしていた。小さい物置兼用の部屋で、孤独に生きていた。だが、こっそり飼っていたネズミが家族に見つかってしまい、家を追い出されてしまう。兄弟のガビィに引き取られるものの、同居人の男性からの酷い扱いに耐え切れず、ついに家を出てしまうのだった。まるで何か別の力に引っ張られるかのように森へ向かうフランシスコ。生きる感覚を失いかけた彼が辿り着いた森で、特別な出会いが待っていた…。これが俳優デビュー作となる主演フランシスコ・クルスの演技を超えた存在感が余韻を残す作品。

『ドラマーズ・ドリーム』
【作品解説】
大自然に囲まれた湖畔に集まった世界的に有名な7人のドラマー。始まるのは極上のドラムレッスン。緑溢れる世界にビートが鳴り響く。それは素敵な音楽と自然のアンサンブル。
【あらすじ】
ドラム世界最速記録5つを保有した経歴を持つマイク・マンジーニ、サンタナの現ドラマーのデニス・チェンバース、コンガ奏者のジョヴァンニ・イダルゴ、そしてオラシオ“エル・ネグロ”エルナンデスやケンウッド・デナードなど、集まったのは7人の世界的に有名なドラマーたち。水面が輝く湖のほとりで、干草の香る納屋で、様々なジャンルから選ばれしトップドラマーたちの究極のワークショップが始まる。魂のこもった熱いドラム論とその見事なパフォーマンスは、生徒たちを瞬時に魅了してゆく。監督、プロデューサー、脚本、撮影、として手がけたドキュメンタリーは60作以上におよぶ、カナダのドキュメンタリー界の巨匠ジョン・ウォーカーが描く音楽と自然のアンサンブル。

『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』
【作品解説】
シベリア、タイガ地域の小さな村。人々は今も昔も変わらず、大自然と共に生きている。
【あらすじ】
シベリアのタイガ地域に、小さな村がある。そこには普遍的な価値観と伝統を守り続け、時に優しく、時に厳しいタイガの自然に寄り添うように生きる人々がいる。キャメラはタイガの四季を追ってゆく。銀色の雪景色、と簡単にいうには過酷すぎるシベリアの厳しい冬、雪解けと草花の芽吹く春、そして森や村がやっと緑で彩られる夏。短い夏が終わると、あっという間に秋が訪れる。村には水道も電話も病院もない。すべてタイガの自然から調達できるのだ。ヴェルナー・ヘルツォーク共同監督/ナレーションで魅せるタイガの壮大な自然を追ったネイチャードキュメンタリー。

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