一緒に逃避行したくなる? 脱獄映画に名作あり


アカデミー賞の名優ラッセル・クロウと名匠ポール・ハギス監督が放つサスペンス・アクション『スリーデイズ』が9月23日(金・祝)に公開される。本作は、無実の罪で逮捕された妻を助けるために脱獄計画を立てるストーリー。脱獄計画のプロセスと家族の心理を丹念な描写で積み重ねる前半から一転、先を読み合う頭脳戦とダイナミックなチェイスがめまぐるしく交錯する脱獄シークエンスでは、手に汗握る緊張感とスピード感がたまらない作品だ。本作はもちろん、昔から“脱獄映画”には傑作が多い。

第36回アカデミー賞では編集賞にノミネートされた『大脱走』。1944年3月にドイツ空軍の第三空軍捕虜収容所から76名の捕虜が脱走した史実を元にした衝撃作。題材の面白さもさることながら、見せ場に次ぐ見せ場を盛り込んだ脚色と、ダイナミックな演出によって類稀な娯楽作品だ。全編を通して流れる「大脱走のマーチ」はあまりにも有名で、公開当時、スティーヴ・マックィーンら5大俳優の夢の共演で話題を呼んだ不朽の名作だ。

さらに、ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン出演の『ショーシャンクの空に』。冤罪によって投獄された銀行員が、腐敗した刑務所で希望を持ち続けて生き抜く姿を描いた感動作。好きな映画としてあげる人も多い人気作で、第67回アカデミー賞においては7部門にノミネートされ、高い評価を得ている。脱獄がメインではないものの、何度見ても飽きることがなくラストシーンの感動はいつまでも心に残り続ける良作だ。

また、脱獄のコメディ映画といえば、『オー・ブラザー!』。『ノーカントリー』でアカデミー賞受賞歴のあるコーエン兄弟監督と、ジョージ・クルーニーがタッグを組んだヒット作。脱獄の経緯を描くのではなく、脱獄した囚人3人の旅路を描いたロードムービー。本作で、ジョージ・クルーニーはゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。同年のアカデミー賞でも2部門にノミネートされ、映画ファンのみならず、多くのユーザーの心をわしづかみにした。アメリカン・ルーツ・ミュージックが多数使用されているサウンドトラックは、全米で700万枚を超える売り上げを記録した大ヒット作で、2002年度のグラミー賞最優秀アルバム賞に選ばれている。

ほかにもビリー・ワイルダー監督の『第十七捕虜収容所』(53)、ジャック・ベッケル監督の『穴』(60)、ポール・ニューマン主演『暴力脱獄』(67)、スティーヴ・マックィーン主演『パピヨン』(73)、クリント・イーストウッド主演『アルカトラズからの脱出』(79)など、枚挙にいとまがない。いつの時代も傑作が多いジャンルと言えるだろう。

脱獄映画の新作『スリーデイズ』は、9月23日(金・祝)より全国ロードショー。

『スリーデイズ』公式サイト
『スリーデイズ』特集

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