【Shine! vol.02】いまの自分があるのは「中国」のおかげです(株式会社三陽商会 安田繭さん)
──現在所属されている、海外事業推進室というのは?
安田さん:ひと言でいうと、ニューヨークとミラノ、上海の3カ所にある弊社の在外子会社を円滑に管理・運営していくための受け皿ですかね。部署内には室長を含めて7人のスタッフがいるんですが、そのなかで私は主に中国を担当しています。――――そうなると、やっぱりやりとりは中国語で?
安田さん:現地に駐在する日本人社員とはもちろん日本語ですが、中国人スタッフとのコミュニケーションには中国語を使うこともよくあります。あとはつきあいのある台湾のバイヤーさんなんかとは、日本語・中国語の両方を使ってやりとりしてますね。──中国語圏の文化には以前から興味があったとか?
安田さん:こんなこというと怒られちゃうかもしれないですけど、むしろその逆。個人的にはまったく興味がなかったんですよ(笑)。なにしろ中国語も、弊社の企業研修制度の一環で行った1年間の語学研修を通してイチから勉強しただけですから。──それでマスターしてしまうなんて、スゴいじゃないですか。
安田さん:その1年間はホントにがんばりました。現地の語学学校と大学とのダブルスクールで、ずっと勉強しかしてなかったですし。ただ、難点なのは、付け焼き刃で一気に覚えたぶん、忘れるのも早いこと。いったん日本に帰ってくると、さすがにそう頻繁には使いませんからね。現地の駐在スタッフとの緊密に連携するためにも毎朝のメールチェックは欠かせない。
異国での孤軍奮闘で身も心もタフに!?
──そもそもなんでまた中国に行くことに?
安田さん:さっきいった研修制度は、海外に向けて自ら発信していけるような人材を育成しようっていう前社長の発案で、06年からスタートしたんですが、その1期生として私を含む6人が指名されたんです。あまりにも突然のことだったんで、いわれた当初は戸惑いもありましたけど、いまになってみれば行ってよかったなって気持ちのほうが強いですね。──でも、興味のない国だったんですよね?
安田さん:まぁ、指名されたときは「ニューヨークじゃダメですか?」って食いさがりましたし、行ってからも最初のうちはカレンダーにバッテンつけて帰国の日を指おり数えてみたりもしましたよ(笑)。でも、向こうで生活していると、否が応でも自分のなかでの価値観は崩れていく。そういうことを何度も経験するうちにだんだん強くなってきて、「これは生きていけるな」と。そう思えたときからは、自然とバッテンもつけなくなっていましたね。──価値観の崩壊って具体的には?
安田さん:たとえば日本では当然のようにジャブジャブ使えるシャワーのお湯ひとつとっても、向こうはインフラがまだまだ整ってないから、突然水しか出なくなったりするんです。そうなると、いつ使えなくなるかも分からないから、シャンプーだ、ボディソープだ、洗顔フォームだって区別してはいられなくなる。で、最終的には「もう石けん1コでいいや」って(笑)──生きる術を学ばざるを得なかったわけですね(笑)
安田さん:好き嫌いはあったとしても、2000人もの社員がいるなかから選んでもらった以上は、これを活かせない手はないなと思ったんですよね。せっかくいただいたチャンスなのに、ただ毎日をやりすごすだけだなんて、どう考えてももったいないじゃないですか。取材は打ち合わせにもよく利用するという会議室で。「Shine!」な雰囲気は会話の端々に。
<3つのアイテム>
必須アイテムは、手帳がわりとしても活用する『iPhone』と電子辞書。それに『モレスキン』社製のノートの3つ。とくに、国語辞典や英和辞典はもちろん、中国語辞典までもが収録された電子辞書は仕事のうえでも必需品。文豪ヘミングウェイら数多の著名人も愛用してきたモレスキンのノートは、一度使うとやみにつきになると評判の逸品だ。語学研修で仕事に対する価値観も一変
──やはり中国に行くまえと、あとでは考えも変わりましたか?
安田さん:それはかなりありますね。それまでは『EPOCA(エポカ)』という自社ブランドのイチ担当だったのが、たとえ研修生ではあっても、海外では途端に自分が会社を代表する立場になる。通っていた語学学校には競合他社の方々もたくさんいらっしゃったので、そういった方たちと対等に渡りあうためにも、自社のことはもちろん、競合他社との関係性まできちんと把握しなくちゃなとは思うようになりました。──視野が広がったと?
安田さん:中国に行くまでは正直、「三陽商会での最終ゴールはMD(=マーチャンダイザー)かな」ぐらいにしか思っていなかったんです。その道を究めて、デザイナーさんと二人三脚で、ひとつのブランドを統括していけたらなって。でも、帰国して子会社の運営・管理や財務諸表をなんかを見る立場になってみたら、いかに自分がなんにも知らないかってことをまざまざと思い知らされて……。──行くまでは「MD」。だとしたら、これからは……?
安田さん:差しあたっての目標はまだ描けていないですけど、いまのポジションにずっといられるとしたら、海外展開の事業規模をさらに拡大して、他社さんと同等かそれ以上のプレゼンスが出るような方向性で会社の役に立っていきたいですね。まぁ、こればっかりは私個人の野望とかってレベルを超える話でもあるんですけど、その旗振り役ぐらいにはなりたいなと。──ちなみに、これまで一度も転職は考えたことないですか?
安田さん:中国に行ったのが入社から4年目だったんで、まわりにはそういう雰囲気もありましたけど、私自身は一度も考えなかったですね。やっといろんなことが分かってきて、さぁこれからって時期でもあったんで。そんなときに「中国に行け」っていわれて、さすがに「えーっ!?」って感じはありましたけど、そのときは「行く、行かない」を考える余裕しかなかったですからね(笑)洋服の型紙がならぶアパレルメーカーらしいフロアの一角で。笑顔の秘訣は「寝て忘れる」こと。
<イチオシ商品>
三陽商会では、汗を気にせず秋のお洒落を楽しめる“洗えるウール素材”の商品「ウォーターリンスウール」を発売します。ウール本来の風合いを保ちながら縮みを防ぐ世界初の防縮加工を施した生地を使用しています。エポカ ウォモやポール・スチュアート等、メンズ・レディスで展開します。写真は、エポカ ウォモ。ジャケットとパンツを発売しています。
・三陽商会「ウォーターリンスウール」特設サイト
プライベートはタヒチアンダンスに夢中!?
──いまハマっている趣味なんかはありますか?
安田さん:いま会社の同期とタヒチアンダンスってのを習ってます。お互いがテレビで偶然見ていて、まんまと感化されて、「もちろん習うでしょ!」って。レッスンしたあとはお風呂上がりかってくらい汗だくになるんですけど、その分、食べて飲むんでプラマイはゼロですね(笑)──オンオフの切りかえはそういった習い事で?
安田さん:家に帰っても気になることがあったら考えちゃうし、寝るまえに「明日あれやらなきゃな」とか思うこともあるんで、完全な切りかえはできてないですね。ただ、バランスはスゴく大切だと思うんで、たとえ重要な案件があっても、会社帰りに遊びに行く約束があるなら、いったん脇に置いてでも思いっきり楽しむようにはしています。──ストレスは溜めこまない?
安田さん:悲しかったり、ムカついたりしたときは、その日一日はそれにどっぷり浸かって、寝たら忘れます。意識的にやってるわけじゃないんですけど、そういうところは昔からわりとあっけらかんとしてるので。あと、震災の影響もあって、会社は19時で電気が消えてしまうので、効率的に仕事をこなすようになったことが結果的にメリハリの利いた生活にもつながっているのかもしれませんね。会社近くの公園で。暑い真夏以外は、お弁当を食べるには最高のロケーションだ。
「分からないことを放置しない」がモットー
──ふだんから心がけているモットーってありますか?
安田さん:分からないことを放置しないこと。それに気づいたタイミングで聞くなり、調べるなり、勉強するなりしないと、永遠に分からないままじゃないですか。私自身、この部署に配属になってから、ある程度の知識は必要だなってことで簿記の学校に通ったりもしましたし、知ったかぶりして体裁だけを取りつくろっていてもいいことなんてひとつもないですから。──では、最後に一緒に働きたいと思う人物像を教えてください。
安田さん:明るく誠実な方、ですかね。──なんかお見合いで理想のタイプを訊かれたときみたいな答えですけど?(笑)
安田さん:やっぱり素直な人がいちばんですからね。なに考えてるかも分からないような人とは仕事も一緒にしたくないんで、お見合い風なのは「あえて」ということで(笑)──今日はおいそがしいなか、ありがとうございましたっ!!
笑顔を絶やさない、フランクで柔らかな物腰のなかにも芯の強さを感じさせる安田さん。そのまっすぐな仕事への情熱とバイタリティをもってすれば、これから海外事業を拡大していくという三陽商会に「この人あり!」といわれる日も、きっとそう遠くないに違いない。
<プロファイル>
●Shine!ナンバー:002●名前:安田 繭(やすだ まゆ)
●会社名:株式会社三陽商会
●所属部署:事業本部 海外事業推進室 主任
●特徴:お酒を飲むのは大好きですが、1杯で顔が真っ赤に。
●得意技:中国語(?)。中華料理店に行ったらけっこう重宝します。
●弱点:高所恐怖症。
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