タブレット市場の将来が見えた!iPadの未来を揺るがす海外メーカーのスマホ新戦略【世界のモバイル】


ファーウェイ(Huawei、華為)のスマートフォン戦略がいよいよ本格的になってきた。
これまで同社のスマートフォンは、エントリーレベルのモデルを各国の通信事業者を通して販売してきた。だがシンガポールで6月に開催されたCommunicAsia 2011で、同社はスマートフォンやタブレットの最新製品を発表、ラインナップにはハイエンドモデルが加わり、製品バリエーションは大手端末メーカーにも匹敵するバラエティー豊かなものとなっている。

ファーウェイが最も力を入れて展示していた製品が、フラッグシップモデルとも言える「Honor」(U8860)だ。4インチの大型ディスプレイに1.4GHzの高速CPUを搭載、またHSDPA 14.4Mpbsに加えHSUPA 4Mpbsにも対応している。

価格は大手端末メーカーの同等スペック品より2-3割以上安いとのことで、通信事業者によってはSIMロックをかけ無料販売を行うところも出てくるだろう。また端末のデザインも、その下位モデルとなる3.7インチディスプレイを搭載した「Spark」(U8600)とともに高級感を持たせた上級モデルにふさわしいものとなっている。
ファーウェイのハイエンドスマートフォン、Honor(左)とSpark(右)

さらにタブレットでも戦略的なモデル「MediaPad」が投入される。7インチタブレットにも最適化された最新のAndroid OS 3.2を世界で最初に搭載しており、デュアルコアCPUの搭載や金属素材を利用したボディーなど、あきらかに「低価格品」を目指した製品ではない。大手メーカー他社の最新タブレットと並べても遜色の無い仕上がりとなっている。MediaPadという名称がつけられたことからもファーウェイの本気度が伝わってくる製品だ。

タブレット市場は現在iPadの一人勝ちとなっているが、今後ネットブックを利用しているライトユーザーが大量にタブレットへの買い替えが進むと見られており、タブレット市場はこれから数年以内に大きく変貌・拡大していくことが予想されている。

なお一部で論議があがっている、10インチか、7インチの「どちらが優れているか」という物議はあまり意味を成さない。持ち運びを考えれば7インチが勝り、リッチなコンテンツ表現は10インチが勝っているからだ。
ファーウェイの本気のタブレット、MediaPad

ところがファーウェイのMediaPadは、7インチながら1280x800ピクセルの高解像度ディスプレイを搭載することで両者の長所をうまく融合させている。恐らくタブレットはこれから様々なサイズ、解像度の製品が出てくることで、消費者は自分にもっとも使いやすい製品を選ぶようになるだろう。

ノートPCの世界でも様々なスペック、画像解像度の製品があるように、タブレットも同じような展開をしていくだろう。そうなるとiPadが「最も優れたタブレット」という評価をこれからも受け続けていけるかどうかは、きわめて不確かなものとなっていくかもしれない。

ファーウェイは他にも新興国などで利用者が増えつつあるデュアルSIMカードに対応したスマートフォンや、NFC搭載対応のミッドレンジスマートフォンなど、大手メーカーがまだ手がけていない分野の製品も今年中に相次いで発売する予定だ。これらの製品はデザインもよく、はじめてスマートフォンに乗り換えるユーザーの製品選択肢にも十分入るだろう。

そして日本でも発売中で新機種も投入される予定のIDEOSシリーズも、海外では3.8インチWVGAディスプレイを搭載した上位モデルとなるIDEOS X5がすでに発売されている。このようにファーウエイのスマートフォンは端末シェアトップ10内メーカーに相応しいラインナップを揃えつつあるが、CommunicAsia 2011のブース担当者によると「来年はさらに数を増やしていく」とのことである。
IDEOSシリーズにもハイエンドモデル。X5はすでに海外で販売されている

ファーウェイが、いきなりハイエンドモデルでのガチンコ勝負で他社に勝利するのはまだ難しいかもしれないが、ミッドレンジ、エントリーレベルのスマートフォンは大手メーカーの大きな脅威になるのは確実だ。おそらく数年内には新興国の消費者の「マイ・ファースト・スマートフォン」はファーウエイの製品になっているだろう。

またファーウェイはすでに世界中の通信事業者に多数の端末をOEM供給している点を忘れてはならない。


今後自社の顧客をスマートフォンへと移行させる際に、ファーウェイの豊富なラインナップの製品を自社ブランド品として販売できる点は通信事業者にとって大きな魅力だ。

スマートフォンに本気になったファーウェイの今後の製品は、市場において台風の目となることは確実だろう。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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