イクメン必見、子どもの成長を共に感じる「旅いく」プロジェクトとは?


先月末、東京・築地の老舗寿司屋のカウンターには、小さい子どもたちがズラリと並び、職人さんの仕事ぶりを熱心に観察しつつ、出されたお寿司を美味しそうに食べる姿があった。

その前には、築地市場内で働くおじさんの話しを聞き、魚屋を見学した子どもたち。普段、知らずに食べている大好きな“まぐろ”が、実際にはとても大きな魚であることを知り、どのような流れでお店に並ぶのか、あるいは、お店で食べられるようになるのかを、自らの体験を通して学ぶのだった。

これは、JTBが新たに開始した新プロジェクト『旅いく』の一コマだ。

子どもと一緒にお出かけ(旅)するような感覚で、質の高い“ホンモノ”を体験して貰う。もちろん、築地で市場を見学するだけではない。モノを作る、街で働く、自然に学ぶ、文化に親しむといった具合に、様々なプログラムが用意されている。[旅いくプログラム一覧ページはコチラ

近年、イクメンと呼ばれる育児を楽しむ男性が増えているものの、普段は仕事で忙しく、妻に子育てを任せっきり。いざ子どもと二人っきりで出かけるにしても、どこに行っていいかも分からないお父さんも大勢いるはず。子どもと向き合う時間を作り、共に成長を感じる――、親子が触れ合う機会を演出し、子どもが社会で生きるための力の芽を育むことを目的とした『旅いく』に、熱い視線が向けられているようだ。

夏休みのエントリーもはじまり、さっそくの応募で賑わいを見せている『旅いく』を手がけるのは、JTB法人東京の大竹千広さんだ。自身も二児の母親だという大竹さんに、『旅いく』のはじまり、そして、今後の狙いを聞いた。

――『旅いく』というプロジェクトを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「2008年に2人目の子どもを出産し、育児休暇を取得したのですが、その間、私は“復帰したら何をしたいか?”ということを結構考えていました。一人目の子どもを出産したときから“いつか子どもの心の教育に役立つような旅のコンテンツを使った仕事をしたい”と漠然と考えてはいたのですが、ビジネスモデルは全く浮かばず、“リタイアしたらボランティアでやろう”という程度だったんです。

でも、2人目を出産した時に、その気持ちが更に強くなりました。そんな折、『旅育』という言葉を目にする機会があり、私がやりたいのはこれだと痛感したんです」

――それまでは、どのような業務を担当されていたのですか?

「2009年の4月に会社へ復帰した時は、法人マネージャーで新規セールスと人材育成がミッションでした。でも、B2Bセールスは自分なりにやり尽くした感があって、これからの10年は、もっと自分がやりたいことに挑戦しようと……。もちろん、仕事ですから、会社にとってもメリットがなくてはいけません」

――ただ、少子化など市場の問題もあったと思います。それでも『旅いく』プロジェクトのスタートに踏み切った理由というのは何だったのでしょうか?

「ちょうど、企業は社会貢献とビジネスの共存による成長戦略に舵を切っていた時でしたね。地域はいいものが沢山あるのに、その良さが伝わってくる商品はあまりない。地域活性化、交流人口を増やしたいという課題があった時、“子どもがこのまま大きくなって、日本は大丈夫なのか?”“子どもが一人でも力強く生きていける力をつけてあげなくてはいけない”と考えるように至りました。

そう考えると、子どもにとって学びや成長をもたらす“体験型事業”というのは昔からあり、これらが子どもにとっても大切な経験になるということは知っていましたが、世の中には、“体験”に関する情報が一元管理されているようなサービスは少なく映ったんですよ。

色々あるし、中には信用性に欠けるような内容のものもありました。だとすれば、間違いない情報が一つのところにまとめられ、これらをうまく繋げてあげるような方法があれば、それは日本の将来を変えることにもなるのではないかと」

――プロジェクトの構想が具体的に動き出したのは?

「5月になって、定期的に情報交換している女性の先輩たちと久々に飲む機会があり、私がこんな話をしたら“私たちで考えよう”って盛り上がったんですね。銀座の飲み屋でしたが、店の紙のテーブルクロスの裏側にいろんな絵を描き始め、ブレスト状態になり、これがきっかけで有志5人の女性が忙しい仕事の合間をぬってはミーティングを繰り返し、空中戦でバンバン意見を交換して、コンセプト作りを始めました」

――そのコンセプトをお聞かせ頂けますか?

「大人にとっての旅は、車や飛行機、列車に乗って出かけていくものです。ある程度、距離も遠い非日常を感じられる体験ですが、子どもにとってはどうでしょうか?

学校、家、近所の公園等、大人に比べれば行動範囲も狭いです。でも、日常生活の中で、わずか30分でも1時間でも、体験する内容次第で、実は十分に非日常を感じられる経験の連続となり、それはまさに旅そのものだと思うのです。

『旅いく』では、子ども目線から、日帰り圏内での体験も含め、お出かけできる情報を集積しています。子どもに体験させることは、子育てに不可欠であること。子どもと一緒にいられる時間は人生の中でも僅かであり、その時間に色んな体験をすることは、実は親にとってもとても幸せであること。そんな当たり前のことをもう一度共有しながら、『旅いく』を子育てライフスタイルとして、多くの親御さんたちに認めてもらえたら、そしてたくさん参加していただけたら、日本はもっと元気になると思い、『旅いく』では、あえて親子体験にしています」

――子どもだけで体験するというサービスが多いですからね。では、どんな親子に参加してほしいですか?

「積極的に子育て参加しているパパさんや、参加したいけどどうしたらいいか分からないというパパさんには本当にお勧めです。子育てにちょっと疲れ気味だったり、自信がなくなってる親であれば、自然に笑顔がこぼれ、親もストレス解消になる。子どもの成長の瞬間を間近に見ることで、自分自身も一緒に子どもと成長していこうと体感して元気になって貰えますし、少しだけポジティブにもなれます。パパにももっと子育て介入して貰いたいと思っているご家族にとっては、パパが主役になれるプログラムも沢山ありますので、パパ+子どもで参加して貰いたいですね」

――また、JTBという企業が『旅いく』をリリースする意義や狙いは何でしょうか?

「JTBが、旅のチカラを通じて、子どもや教育に関する社会問題の解決に取り組む、社会貢献という側面があります。また、『かわいい子には旅をさせよ』『百聞は一見にしかず』という机上での勉強で得られる知識ではなく、体験で得られる知恵のすごさを一番知っている会社だとも思っています。

だとしたら、JTBとは、人の生きる力を育てるための体験を提供する会社でもあるのではないでしょうか。体験市場は裾野が広く、潜在需要はあるものの、まだまだ顕在化されていない市場です。あえてこの市場にJTBが参入し、子どもたちに小さい頃から、体験の素晴らしさを体感して貰うこと。これこそが、将来のお客様を作ることでもあり、『旅いく』が目指すものだと思っています」

――今後、『旅いく』をどのようなものにしていきたいですか?

「“子どもとお出かけ意思決定No.1メディア”にしたいです(笑)。生きる力の芽を育てることに関するあらゆる情報を集積することで、旅いく=子育てのライフスタイルであるという価値を提供した新たなターゲティングメディアに育てたいですね」

子どもがキラめくホンモノ体験「旅いく」サイトリニューアル!

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