新しい発想を得ることができる「否定文作成トレーニング」 - プロフェッショナルスキル入門 vol.03 【発想力編】


失敗の本質を探ることで、自分に足りないスキルが見えてくる。プロフェッショナルになる上で不可欠なビジネススキルを、3つの秘策を通して習得しよう。 第3回はグロービス経営大学院の嶋田 毅氏の発想力を高める秘策を紹介する。

<発想力の基本>
1. 常識や前提条件を取り払う
2. 多様な視点から物事を見てみる
3. 粘り強く考え抜く


「グローバルでの競争が激しくなり、ビジネスにおけるスピードの重要性が高まる中、『ほかの人が気付いていない新しい価値を、いかに早く発想するか』が、これからの時代を勝ち抜くための大きなポイントになる」と嶋田毅氏。“発想”と聞くと、天才的なひらめきをイメージする人もいるかもしれないが、「発想力は、頭のキレや回転の速さとは必ずしも比例しない。どんな人間でも、伸ばし、鍛えることができる」と話す。発想力を伸ばすために最も重要なのが、常識や前提を取り払うこと。

「知識を増やすことは大切だが、それに頼りすぎると紋切り型の発想しかできない。ビジネス環境は常に変化しているので、当然その前提も変化する。学んだことを疑う姿勢を持ち続けることが必要です」

training.1 否定文作成トレーニング


<症状> いつも似たような企画しか出せない、「思い込みが激しいね」と言われる。
<効果> 新しい発想を得ることができる。

1. 1つのテーマにつき、世の中で常識だと思われていることを10個以上書き出してみる
例:テーマ「アイスクリーム」→「アイスクリームは甘い」…etc

2. それぞれの文章を否定形にする
→「甘くないアイスクリームは作れないか」…etc

3. その否定文が実際に成り立たないか考えてみる


常識を疑うことの重要性は分かっても、頭を急に切り替えるのはなかなか難しいもの。これまでに身に付いたルールや思い込みをリセットし、ゼロベースで発想するための具体的な方法はあるのだろうか。

「ばかばかしい質問をしてみるのは、常識を疑うためのテクニックの一つ。新人や素人になったつもりで、誰もが当然だと思っていることをあえて問い掛けてみるのです」

例えば、目の前に飲み物があるなら、「ペットボトルはなぜ筒型なのか?」と考えてみる。実際、この問いがブレークスルーとなり、最近は女性用の小型のバッグにも入りやすいよう、平らな形状のペットボトルが登場している。

また、常識を否定する文章を作ってみるのもトレーニングとしては有効。世間で常識とされていることを書き出し、あえて否定形にしてみるのだ。例えば「アイスクリームは甘い」のが常識なら、「甘くないアイスクリームは作れないか」と考えてみることが、新たな気付きにつながる。ほかにも「アイスクリームは冷たい/容器に入っている/溶けやすい」など、一つのテーマにつき10個以上常識を挙げ、それぞれを否定してみると、発想の幅が広がる。


training.2 “組み合わせ”トレーニング


<症状> 行動パターンが決まっている、「もっと人の意見を聞け」と言われる。
<効果> 発想の幅を広げ、ユニークなアイデアが生まれる。

1. 本や雑誌、新聞から無作為に単語を抽出する

2. その単語と自分のビジネスを組み合わせ、新たな商品やサービスが成り立たないか考えてみる


「ほとんどの人間は、非常に狭い範囲で物事を考えている」と嶋田氏。いつも似たパターンの発想しか生まれてこないのはそのためだ。ただし、トレーニング次第で個人の発想に多様性を持たせることも可能となる。

その方法の一つが、「新しい情報と組み合わせる」というもの。一見すると何の関連もない事柄を結び付け、「このような商品やサービスは成り立たないか」と考えてみるのだ。

「組み合わせる情報は、無作為に抽出してください。雑誌や本をめくって、適当なところでページを開く。そこで偶然目に入った単語を、自分のビジネスと結び付けてみるのです」

例えば、「海水浴」という単語が見つかったとする。出版関連の仕事をする人なら、「本」と「海水浴」という単語を組み合わせてみるのだ。そこから、「海で浮かびながら読める本はできないか?」といった考えが生まれてくる。日ごろ自分が接することのないような情報との組み合わせが、ユニークな発想につながるはずだ。

「また、普段から多様な情報に触れる努力も大切。いつもと違う雑誌を買ってみる、異業界で働く人と積極的に話すといった心掛けが、自分の引き出しを増やすことになります」

training.3 『So What?』の繰り返し


<症状> 「本当によく考えたの?」と言われる、いつも慌てて答えを出そうとしてしまう。
<効果> 思考を深く掘り下げることができる。

1. ニュースや新聞記事の中から、1つの事実を抽出する

2. その事実に対し、「だから何が言えるのか?」を考えてみる

3. そこから出た考えに対し、さらに「だから何が言えるのか?」と問い掛けてみる。それを5 回から10 回ほど繰り返す


発想を生み出すカギは、「どこまで粘り強く考えられるか」に懸かっている。最初の思い付きだけで思考を止めず、さらに深く広く考えていくからこそ、誰も思い付かなかったようなアイデアが生まれてくるのだ。

思考を深堀りするための方法としては、「『だから何が言えるのか?( = SoWhat? )』を徹底的に繰り返す」のが代表的。「ペットを家族同然に扱う人が増えている」という事実に対して、「だから何?」と考えてみる。「ペットの葬儀が増える」という発想が出てきたら、さらに同じ問いを繰り返す。すると「ペット用の墓が売れる」「ペットと人間が共用する仏壇の需要が高まる」などの発想も生まれる。同時に、「ほかにはないのか?」という問いを繰り返すことも必要。起点となった「ペットの葬儀が増える」という発想以外にも考えられることはないか。できるだけ多くのパターンを挙げてみよう。

「発想やアイデアは、『量が質に転化していく』もの。今まで10通りのアイデアしか考えなかった人が、無理にでも20通り考えてみることで、相対的に発想の質も上がる。だからこそ、途中で考えるのをあきらめず、発想の絶対量を増やす習慣を付けるようにしてください」
(情報提供元:@type)

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