インタビュー:関 和亮「まるで登場人物が窓の奥にいるような臨場感」


 昨年12月に劇場公開され、最新映像を駆使した驚異の3D映像などが注目を集めたバトル・アクション超大作『トロン:レガシー』。6月3日には、早くも同作がブルーレイ、DVD、オンデマンドにて発売。同作の映像と音楽について、Perfumeやサカナクションなど数多くのアーティストのミュージックビデオのディレクションを手掛け、第14回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞の受賞や、2010年度SPACE SHOWER Music VideoAwardsでBEST DIRECTORに選ばれた映像作家・関 和亮氏に話を聞いた。

――関さんは普段、映画はよくご覧になりますか?

関 和亮(以降、関):単純に好きなので観ようと思っているんですけど、なかなか時間が取れなくて(笑)。劇場には行けてないんですけど、なるべく積極的に行こうとは思っていますね。

――映画館で見逃したら、ブルーレイやDVDをご覧になったり?

:最近はもうインターネットでレンタルも出来るので、結構手軽になりましたよね。

――3D映画を観られたことはありますか?

:「やっぱりIMAXで観ないと楽しめないのかな?」って正直思っていたので、3Dバージョンもある映画を、わざわざ2Dで観たりしてました(笑)。

――今回は『トロン:レガシー』のブルーレイ3Dを観て頂きましたが、如何でしたか?

:3Dって、何かが飛び出してきて「うわぁー!」とかって、すごく派手なものを想像していたんですけど、『トロン:レガシー』に関しては、奥行きはもちろんあるんですけど、演出として3Dをすごくドラマチックに使っているなと。「3Dだからスゴイ!」みたいな見方より、すごく自然に、本当にそこにあるような、まるで登場人物が窓(ディスプレイ)の奥にいるような臨場感というか、とても上品で。すごくすんなりと作品に入り込めました。

――確かに、銃弾やナイフが自分に向かって飛び出してくるような3Dも多いですけど、そういう使われ方ではないですね。

:そうですよね。こういうことを言ったら怒られるかもしれないけど、観る前の予想としては、どちらかというと、そういうのをやりそうな作品じゃないですか。もうガッツンガッツン(笑)。確かに、何ヵ所かライトグリーンのがビヨーンってなって、「おぉっ!」みたいなのはありましたけど。そればっかりじゃないというか、むしろオカズ的な感じで。世界観に引き込むような3Dの使い方をされているなと、すごく感じましたね。

――関さんは、3Dの映像を撮られたことはありますか?

:テストでチャレンジしたことはあるんですけど、まだ作品として世に出てないですし、ちゃんとしたお仕事としては、まだこれからですね。

――2Dと比較して、3D撮影の難しさはどんな所ですか?

:よく聞くのは、視差の問題がすごくあるので、何を捉えるかで、どうしても調整がすごく大変だと。あとは、ライティングとかがすごく大変だとは聞いてますね。

――3D抜きに、単純に作品として『トロン:レガシー』をご覧になった感想は如何ですか?

:いやぁー、すごく世界に入り込めたのと、もう本当に「すごく面白かった!」という一言ですね。このデザインされた空間において、もう完璧だと思うんですよね。とは言え、その中でも人間ドラマもちゃんと描かれていて、すごく映画としてエンターテインメントしてるのは、もう本当にビックリしました。突っ込み所はあるかもしれないんですけど、そんなことを抜きにして楽しめますね。

――観る前から難しく考え過ぎないで、シンプルに作品を楽しんだ方が良いですよね。

:そうなんですよね!でも、その中で、親子の関係とか、親が子を想う気持ちだったりが、すごく言いたい所だと思ったので。そこは後半に掛けてすごく出ていたと思いますし、泣ける場所も何個かあって。総合して「素晴らしいな」と思いましたね。

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