【Office Scope vol.02】目指したのは、とことんオープンな「ソーシャル」オフィス(株式会社ミクシィ)


 ワークスペースのデザイニングに優れた企業のオフィスを訪問し、そこで働く人々の声から、その“働き心地”をリポートする連載企画『Office Scope』。第2回の今回は、言わずと知れた日本最大級のSNS『mixi』を運営する、株式会社ミクシィをフィーチャリング。現代社会の人間関係そのものにまで大きな変革をもたらしたITベンチャーが目指す「オフィスのオープン化」とは果たして!?


おなじみのロゴが出迎えるエントランス。壁材にはあえて“味”のある錆びやすい素材をチョイス。



デザインコンセプトは「素材感を活かす」こと。当然、床が傷つきやすい材質なのも計算のうちだ。



眺望も素晴らしい来客用のスペースは、まるでどこかのオープンカフェのよう。


オープン化した『mixi』同様、オフィスも開かれた空間に

「今回の移転で弊社が目指したのは、08年から『mixi』で推進してきた“オープン化戦略”の流れを踏まえた“オフィスのオープン化”。サービスを外部から提供していただくことで、より幅広いニーズへの対応が可能にしてきた『mixi』と同様、オフィスそのものを、ソーシャルなコミュニケーションプラットフォームにしていきたい。そういったコンセプトのもとで新たにデザインされたのが、このオフィスというわけです」(ミクシィ・広報)
 04年のサービス開始からわずか7年で、日本国民の5人に1人に相当する2000万人超のユーザーを獲得。08年の“オープン化”以降でも、すでに2000を超えるアプリが『mixiアプリ』で運営され、法人・個人のパートナー数も3400以上を数えるなど、他を圧倒する速度で成長を続けてきたミクシィ社。今回われわれが訪れた彼らの新天地には、そんな業界のトップランナーの想いがつまった、まさに“オープン”な快適空間が広がっている。


社内には来客用の25部屋を含む大小58室もの来客スペースが確保されている。



ミーティングスペースでは全室にプロジェクターを完備。事前登録でWi-Fiも使用可能に。



扉は使えば使うほど錆びて“味”になる仕様。壁は一面がホワイトボードだ。



一般の利用をも想定した充実のミーティングスペース

「以前のオフィスでは、ぜんぶで22部屋しかなかったミーティングスペースは、来客用に25、社内用に33の合計42部屋と今回の移転でほぼ倍増。全室にホワイトボードとプロジェクターを常設してあるほか、セミナーや勉強会、記者会見など社外の方にもお使いいただけるよう、Ust配信なども想定してビデオカメラの貸し出しや、ゲストへのWi-Fiの開放も行えるようになっています」(前出・同)
 新オフィスは、自社で占有する3フロアのうち、1フロアすべてを来客専用スペースにするなど、本格的な“オープン化”のための大胆なレイアウト。これまでは社員の相互交流のみを目的に配置されていた“コラボレーションスペース”や新設されたラウンジさえもが、今回の移転に際しては、外部への開放を前提に全面リニューアルされたというから、その徹底ぶりにはもはや脱帽するほかない。


社員たちの憩いの場であるコラボレーションスペース。奥の一角には畳敷きのエリアもある。


社員同伴であれば第三者も利用可能なエリアであるため、この場所を外部の取引先や協力会社との「コミュニケーションプラットフォーム」にしていきたいとのこと。


ドリンクのバリエーションは社員の声を受けて大幅に改善。しかもすべて無料だ。



ビリヤードやダーツのあるラウンジにはアルコール類も常備。もちろん社員同伴なら外部の利用もOK。


社員の声を活かして執務フロアでもさらなる快適性を追求

「核となるコンセプトは経営陣が決定していますが、設備面では社員全員に実施したアンケートをもとに、その声はかなり反映されています。大きなものでは、エンジニアのためのクルーズ&アトラスの導入などがそうですが、それ以外にも、以前から設置されていたコーヒーや紅茶が飲める無料のドリンクベンダーでポタージュなども選べるようにしたり、ゴミ箱の数を増やしたり、通路幅や空調の数を調整したりと、移転プロジェクトチームは細かなところでもけっこう苦心したみたいですよ(笑)」
 その甲斐あって、5フロアから3フロアに集約され、様々な改善が実施された現在のオフィスでは社内の交流も活性化。社員たちからも「社員が400人近くに増えたいまのほうが、全体の雰囲気がつかみやすい」とおおむね好評を得ているという。


執務フロアの全景。奥のコンテナにはちょっとした休憩に便利な社員専用の“ミニコラボ”が。



エンジニアの要望を受けて導入された“クルーズ&アトラス”で作業効率もアップ。



“ミニコラボ”に設置されたポストは、郵便物を投函すれば総務部が回収してくれるという優れもの。



人と人との「つながり」から生まれる新しい価値観

「あらゆるものに、人と人とのつながりを組み合わせることで、新しい価値が生みだしていく。今回の移転は弊社の描くSNSの未来像への第一歩。かつてはみんなで観るものだったテレビを、もう一度、友達と一緒に観ているかのような感覚にできる世界――――そういった新たなソーシャル化の波を作っていきたいと思っています」
 若い世代にとっては日常生活とは切っても切れない、コミュニケーションツールのデフォルトとも言えるSNS。サービス・オフィスの両輪で“オープン化”を推進するミクシィ社の次なる展開に要注目である。

■関連リンク
 ・株式会社ミクシィ 公式サイト
 ・SNS『mixi』トップページ
 ・Office Scope過去記事一覧

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