ビジネス系出版社 記者「自分が向いていることを探すのが第一」 - 年収1000万円プレイヤー図鑑 vol.15


金融専門出版社の記者職から組織・人材活性化のソリューションを提供する研究所に転身。そして、現在は再びビジネス系出版社の記者職に戻った柴田裕次氏(31歳)。回り道をしたとも言えるが、その実は「本当にやりたかった仕事」を獲得し、年収も1000万円越えを実現した。2社目の勤務先で得た人材に関する知識もベースとし、「自分の強みと志向性」にこだわった結果、現在のポジションに至ったのだ。そんな柴田氏に、本当にやりたい仕事を転職によって手に入れる秘訣を聞いた。



Q.新卒で出版社に入っていますが、もともとマスコミ志望だったのですか?

いえ、そうではありません。もともとは営業職希望だったのですが、就活で日経新聞や週刊ダイヤモンドなどを読むうちに、ビジネスの動向を世の中に伝えるような仕事が面白そうだ、と思ったのです。それでイメージしたのが、シンクタンクと出版社、新聞社。それぞれ受けてみて、シンクタンクは全滅(笑)。受かった金融専門出版社に入ったのです。

企業を取材して記事を書く記者になるのかと思ったんですが、配属先は情報部門でした。何をするかと言うと、朝から夕方までその日の株式相場を端末でウオッチし、ピックアップ銘柄などの記事を書く。最初は自分が書いたモノが誌面になることに優越感を持ったりして面白かったんですが、慣れてくると単純な流れ作業になってしまった。いま思うと、夜討ち朝駆けなどをする記者職というよりも、証券会社のアナリストのような仕事でしたね。もちろん金融情報も立派な仕事なのですが、僕的には金儲けしたい人に金儲け情報を延々と書いているのではないか? と感じるようになって……。読者をイメージすると、銭ゲバが浮かんでしまう(笑)。どうしても株式相場の仕事が好きになれなかったんです。最初に配属されたところが永久配属地だったので、キャリアをいったんリセットしようと思ったんです。

Q.それで転職をしようと。次はマスコミではない研究所に転職されていますが、この研究所を選んだ理由というと?

就活時はマスコミというよりも、第一志望はシンクタンクだったなあと、求人情報をみて選んだのが人事系の研究所でした。しかし、入ってみてわかったのですが、正確には研究所やシンクタンクというよりも人事コンサルティングのようなビジネスを行なう会社でした。仕事は大企業をクライアントに、活躍する社員のスキルを調査したり、社員の仕事満足度などを調査・分析するソリューションを売るんです。調査員なので仕事は勝手に依頼されるものと思っていたのですが、内容は営業職でした。

ハッキリ言って、戸惑いましたね。調査や分析の仕事ができるわけでもなく、すぐに辞めてやれ!とも思ったのですが、2年もたつと売れるようになって(笑)。自分がやりたい調査・分析をするには、まずは営業を成功させないといけない。そう割り切って無我夢中で営業をやったんです。それで調査の部分に関わる時間を増やしていきました。調査や分析の部分で評価されると、じゃあ次にこんな調査もお願いしようかなと、リピートの仕事が来ます。それで、3年目には営業成績でトップになった。調査データ(数字)を診ることには労力を厭わないという志向性が功を奏したんだと思います。給料も業績連動で 1000万円を超えました。

Q.売れる営業マンに見事になったわけですが、再び転職を志したのはなぜでしょう?

この会社に在籍していた6年目のときに参加した、トレーニングプログラムがきっかけです。人は何をきっかけにやる気になるのかなど、キャリア理論の勉強の過程で自分のキャリアも見つめなおすことになり、なぜいま自分はこの仕事をしているのか、何を目指しているのかを考えたんです。やはり自分は「人に何かを伝えて気づいてもらいたい」という志向が自分の心の源泉なんだと改めて認識して、それで、もう一度、モノを書く仕事をしたいと思ったわけです。

この会社には7年いたのですが、また出版社を対象に転職活動を始め、今年ビジネス系の出版社に転職しました。記者職から遠ざかっていたし、年齢も30歳を超えていたので苦労しました。何社か受けて落ち、もう道はないのか……と諦めかけたとき、たまたま人材教育系の新規ビジネスを始める出版社があり、その企画職として採用されたわけです。

Q.やはり直前のキャリアを見られるので、記者や編集者での採用は難しかったと?

そうです。でも、入って半年後に希望通り記者職に移ることができました。入ったとき、どんな手を使っても記者職に移るぞと決意していましたから。で、ことあるごとに「自分は記者職に興味があるんです」と幹部クラスの人を昼食に誘って、洗脳するくらいに語りました(笑)。また、記事のネタを頼まれてもいないのに雑誌の編集長にもって行ったりもしましたね。

現在は、遊軍的な記者として、企業やビジネスのニューストピックを取材して記事を書く毎日です。忙しいですが、7年ぶりに記者職に戻り、改めて自分はこの仕事が好きなんだと実感しているところです。ストレスが溜まらなくなったと思います。

Q.将来の夢は?

やっと書く仕事に戻れたので、この道を長く究めていって、本を出すような書き手になりたいですね。目指すは、ジャーナリストというか、小説家です(笑)。死ぬまでに、世の中にカタチとして残るものを作り出したいと思っています。

Q.キャリアカウンセラーの資格もあるので、最後に「やりたい仕事に気づく」「やりたい仕事に就く」ためのアドバイスを。

いいキャリアを築くには、まずは自分が向いていることを探すのが第一です。これは職種名ではなく、自分の売りは何なのか、です。僕の場合だったら、人が気づいていないことを調査して書いて人に伝えること。要は、自分の心のエンジンですね。これに気づくには、自分は今までに何をしたときが一番充実していたかと、じっくりと時間をかけて向き合うことが重要です。これが定まれば、自分に向いた職種も自ずと見えてきますし、転職活動でも相手の心に響きます。

「30にして立つ」というが、20代をかけてキャリアを模索し、まさに30歳でやりたい仕事と高収入という「立つ場」を得た柴田氏。今年、転職と同時に結婚し、平日は深夜まで仕事で忙しいが、休日は夫婦でスポーツジムへ行って泳いだり、ゴルフを楽しんでいるという。柴田氏の話から、真剣にキャリアと向き合うこと、自分の強みを固めることの重要性が改めて伝わってくるようだ。
(情報提供元:@type)

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