投資会社 マネージャー「何事も最初にやったもん勝ち」 - 年収1000万円プレイヤー図鑑 vol.9


今回の1000万円プレーヤーは、投資会社のマネージャーとして投資活動や投資先の戦略立案・実行を手掛ける竹下貴之氏だ。まだ29歳の竹下氏だが、年収は1230万円。この会社に移る前は外資系コンサルティングファームでITと戦略部門のコンサルタントを経験。だが、2年前マネージャー昇進を目前に「もっと現場の仕事にこだわりたい」と、ハンズオン型(投資先の経営に関わる)の投資会社に転職した。「コンサルタントはP/L(売上アップやコスト削減)だけ。でも、今はB/S(財務)からM&Aまですべてやる。ワザが増えた」と実感しているという。ヤリガイと年収アップの双方を確実に手にしてきた竹下氏に、そのキャリア構築のノウハウを聞いた。



Q.新卒で外資系コンサルティングファームに就職。どんなコンサルタントだったんですか?

なぜ、コンサルタントになったかというと、明確な理由はなくて(笑)。就職面接のとき、いちばんフランクに相談に乗ってくれたのがこのファームだったからです。最初はERP導入のプランニングのチームに入って地方に行きました。その後はR&D部門で携帯システムの開発をやりました。組織を変えるみたいな業務コンサルタントになりたいと思っていたのですが、なかなかそういった仕事が来なくて、1年後にはもう転職活動をチョロチョロやり始めていましたね(笑)。

正直、R&D部門って仕事がない人が来るところで。僕は学生時代、飲食店のアルバイト店長をやっていた経験から、現場で奮闘するみたいな仕事が好きだったんです。で、小さな戦略ファームから内定をもらって、上司に辞めたいといいました。そうしたら、「まだ何も経験してないでしょ。戦略のチームへ異動したら」といわれまして。それで社内で面接を受けて2年目に戦略部門へトランスファーできたんです。

Q.戦略の仕事は面白かったんですか?

仕事はやっと「ビジネス寄り」になったという感じで満足でしたね。ツールもワードとエクセルの世界だったのがパワポに変わって(笑)。最初は海外事例のリサーチから入って、次に大きな会社の全社的なカルチャーを変える仕事、その次が地方企業の人員削減の仕事でした。保守的な地方企業だから、早期退職プランを立てても、労働組合が納得してくれません。だから、毎晩、焼き鳥屋で組合の委員長と酒を飲むみたいな毎日でした。

説得に成功した? そういう形ですが、結局クライアント社内のパワーバランスで決まることですから。でも、面白かったですよ。この後、通信会社の新規事業のプロジェクトなどを担当したんですが、そこで外資系ファンドと組んでM&Aに携わったんです。これが投資会社に転職しようと思ったキッカケになりました。

Q.現在の投資会社に転職した理由は?

外資ファンドの人と出会って、彼らは数億も稼いでいるけど、僕らは数千万の世界。同じ仕事なのに、こんなに差があるのかと驚きましたね。

ファームにいると翌年はマネージャーになるという時期になり、そうすると会社の方針の管理ばかりになって、現場の仕事はできなくなる。むしろ昇進すると歯車になってしまうという印象が僕の心の中にはあったんです。証券会社系のファンドに転職活動していたのですが、同僚に「一緒に行こう」と誘われて、2年前にいまの投資会社に移りました。この会社の社長は、いかにもベンチャーという雰囲気の人で面白そうだと思ったのです。

Q.現在の仕事の内容は?

この会社は投資事業に乗り出してからまだ日が浅くて、自分でなんでもやるといった感じです。この会社に入って、改めて思ったのは、「何事も最初にやったもん勝ち」ということ。最初に立ち上げた人はもちろん、初期に会社を信じて入った人は儲けている。後から入ると、摘める実は小さい。だから、まだ小さなうちに入ってよかったなと。

インベストメントバンクより、自分でやれる範囲は広いですよ。M&A案件でも、交渉からデューデリまで一気通貫で任せてもらえますから。案件は上の人間が持ってくるんですが、担当になると、どんなスキームで買収しようかと、そこから考えるわけです。

地方の食品メーカーと東京の流通企業の再生を主担当としてやっていて、他に投資案件を数件抱えています。増資を引き受けたり、クライアントの依頼で買収を仕掛けたり。最近は、IPOしたいオーナー社長へのアドバイスも増えています。投資先にドップリ漬かって再生をするハンズオン系の仕事と、ファイナンスの仕事が半々ですね。ワザは増えたと思います。コンサルタントだとP/Lしか見ませんけど、今は銀行折衝から最終的に会社の価値まで見ますから。

Q.ファンドで成功する秘訣とは?

コンサルタントからファンドに転職する人は増えていますね。でも、コンサルタント出身者と金融の人は水と油。お互いやりづらいと思っている。コンサルタントはムダでもガリガリ働こうとするけど、金融出身者は効率よく儲けようとする。最近は買収にしてもファイナンス一辺倒じゃなくて、ビジネスを見る眼も必要になってきたから、コンサルタントにも門戸が広がってきているんでしょう。

コンサルタント出身者としては、やはり再生をガリガリやるほうがずっと楽しい。もっともコンサルタントは自分のやる範囲を勝手に定義しちゃう傾向がある。でも、ファンドではやることは無限大にある。私はここしかやりません、というとモノゴトが進まなくなる。チームプレーを意識しすぎると成功できないと思います。また、儲かることと面白いことは別。面白いことにはまっちゃうと、ファンドのプレーヤーとしては2流というイメージもあります。

将来的には実業がやりたい。でも、その前にもう一社投資系の会社を経験したいですね。投資資金が数十億でビビるんじゃなくて、数百億単位の投資をバシバシできる会社にいきたいですね。まぁ、給料の額は先に決まるものじゃなくて、やった結果。結果があるのに給料が上がらないなら辞めればいいし、いいオポチュニティがあったら乗ればいい。まずは何事も踏ん張ってみることが大事ですね。

休日は犬の散歩とスポーツジムに通うのが日課という竹下氏。投資ファンドという最先端の高収入職種でありながらも、金儲けと実業、そして仕事とプライベートのバランス感覚に長けているといった印象だ。ビジネスとファイナンスの両方を極め、今後どうキャリアが開けていくのか楽しみだ。
(情報提供元:@type)

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