独立系システム開発会社 事業統括部長「年収はソコソコでいい」 - 年収1000万円プレイヤー図鑑 vol.6


メーカー系列のシステム開発会社にSEとして入社。10年間、地方公共団体の財務会計システム構築などに携わる。その後、現在の独立系システム開発会社へ転職。SE、営業兼プロマネ、事業統括責任者と、IT業界のエンジニアとして理想的なキャリアアップを実現してきた吉田尚樹氏。年収はバブルとその崩壊、ITバブルとその崩壊で、乱気流のように揺れたが、現在は1100万円。ITエンジニアとして、高収入とキャリアアップを両得するコツを聞いた―。



Q.最初に大手メーカー系のシステムハウスで10年間、SEをされていますね。どのような開発に携わったのですか?

地方の公共団体(県庁)をクライアントに、歳入と歳出の財務会計システムや税務関係のシステムを作っていました。当時はまだ汎用機の時代。地方のホテルに年間300泊という生活でした。10年で関東から東北の4県庁を回り、県の会計システムにはずいぶん精通しました。入社当時の収入は非常に安かったのですが、バブル絶頂の89年には1000万円を超え、仕事も面白かったですね。でも、バブルが崩壊すると、予算が縮小され、チームのリストラが始まったんです。上司が辞めてしまったので、リーダーの私がプロジェクトを引き継ぎ、メンバーをリストラしました。これは辛い経験でした。

Q.その後、現在のシステム開発会社へ転職されますが、どうやって選んだのですか?

プロジェクトを撤収したり、メンバーに辞めてもらったり。それで年収も半減してしまい、「こんな浮き沈みの激しい業界はもうイヤだ」と思って、とりあえず会社を辞めてしまったんです。失業保険で食べていたのですが、自分は人と話すことが得意。だから、コンビニなどの小売業に転身しようかと考えました。実際、前職では開発よりも、お客さんと話しているほうが充実していましたから。でも、小売業は妻が反対して(笑)。いつまでも無職の状態はよくないと思い、友人が勤めていた今の会社(システム開発会社)に入ったんです。県庁の会計システムの経験が10年あったので、この業界からの引きはけっこうありましたよ。

Q.この会社に入社されたのが7年前ですね。当初はどのような仕事だったのですか?

入社するときに、社長に「現場の開発はもうイヤだ。営業と管理をやらせてほしい」と頼んだんです。当時はSEではなく、営業をやりたかったので。それは受け入れてもらえたのですが、最初の2年は現場のSEをしました。某出版社の教材の採点をするシステムや携帯電話の会社の料金運用システムなどの開発でした。

Q.その後、念願の営業職になられます。どうでしたか?

会社の体制を本格的に整えることになり、営業とメンバーの採用、プロジェクトの管理と3役ですが。これまでの人脈をたどって営業に回り、中小企業中心に財務会計系のプロジェクトの案件をたくさん獲得しました。大手の下請けではなく、自分で仕事を取って、元受(エンド)として社内で開発する。理想どおりの仕事ができたと思いました。苦労した点は、現場の新人はみな若く初心者なので、仕事の進め方を教えることです。お客さんとの話の仕方から、会議の議事録の取り方まで。現場の力が、やはり何より重要ですからね。

Q.営業兼プロマネとして成功する秘訣とは?

最近の顧客はシステムについて詳しくなっています。コスト的にも厳しくなり、常にコンペといった状態です。ですから、個々の顧客の匂いの違い(要望)をいかにうまく嗅ぎ取り、その匂いに合った提案をすることが大切です。そのために欠かせないことが2つあります。ひとつは顧客の業界の業務知識に徹底的に詳しくなること。もうひとつは、開発にゴーサインを出す顧客担当者と仲良くなること。客の経営側が「何をしたいか、何を考えているか」を深く知ることが第一です。そのため、呑みに誘うことは必須ですね。仲良くなって相手の考えを知れば、たとえば「今の段階ではそんなシステムを導入しても使える人がいない。まずは社員教育から始めたほうがいい」などと、顧客にとって本当に適した提案ができますから。技術より業務知識、オーナー社長とも対等に話せることが鍵だと思います。

Q.今後の目標というと?

年収はソコソコでいいと思っています(笑)。それより、5年後にはこの業界から引退したいですね。今は(過去も)常に時間に追われている。正直、解放されたいと(笑)。その後は、田舎で自然とたわむれて、喫茶店でもやりたいなというのが希望です。

Q.最後に若手へのアドバイスを。ITエンジニアが収入を上げ、理想のキャリアを築くにはどうしたら良いのでしょうか?

大手より、中小で元受、かつ成長性もあるシステム開発会社に入るのがいいと思います。すると、けっこうやりたいことができますから。若手を見ていると、上にいけるかどうかの差は、好きなこと、やりたいことがあるかどうか。一つの技術でも、人を束ねることでも何でもいい。やりたいことに徹底してこだわれば、中長期的には年収もキャリアも上げられると思います。30代になってやりたいことが漠然としていたら負け。ヘタに自分の適性や世の中の動きに右往左往するのでなく、やりたいことを決め、まず走ることです。

勤務先の会社は数年後の上場を目指しており、吉田氏は会社全体の陣容、売上を拡大するという重責を担っている。仕事の発散は、趣味のクルマとお酒を飲むこと。休日は自動車を整備し、とにかく走るのが趣味。スキューバやスカイダイビングも挑戦したという。この業界の環境は厳しいというが、会社は成長中。上場という目標に向けた吉田氏の闘いの今後が楽しみだ。
(情報提供元:@type)

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