【特集/JOURNEY】 刺激的で優しいアラブの国へ (4/8)
ツアーの概要をざっと紹介すると、4WDの車で砂漠を走り、ラクダに乗り、砂漠の中でビュッフェタイプの食事を楽しむ、といったもの。いくつものツアー会社がこの類のツアーを企画しているが、どれもだいたい同じような内容になっている。
ホテルに迎えに来てくれた最新型の4WD車に乗り込み、20分ほど走ると道の両サイドの景色が砂漠に変わってくる。砂漠の中にまっすぐに延びる道を走りならが、後ろを振り返るとバージュ・カリファに代表される市街地の高層ビル群が見える。街中にいるときにはあまり意識しなかったが、ドバイが砂漠の中に建てられた街であることをあらためて意識させられる瞬間だ。
さらに30分ほど走ると目的地に到着。スタックしないようにタイヤの空気圧を下げて、お待ちかねのデザートランへ! 綺麗な砂紋が広がる雄大な景色の中を4WDはグイグイと進んでいく。壁のようにそびえる砂丘を登り、横転しないのが不思議なほどの砂の坂道を下るアクロバティックな走りは、想像していたよりもかなりスリリング。ドライバーのスキルも相当高い。休憩ももちろん砂漠の中。太陽の強い光が粒子の細かい砂に反射しキラキラと輝いて見える。遠くに目をやれば、大都会のビル群が蜃気楼のように揺らぐ。ほんの一時間前まで、そこにいたことが信じられないほど遠くに見えるのが印象的だった。
ラクダへの体験試乗はこのツアーのハイライトのひとつ。ベドウィンの伝統的な衣装に身を包んだローカルの手引きでラクダの背に乗る。間近で見るラクダはとても可愛らしく、そして逞しい。想像よりも高さがあるその背から見下ろす広大な砂漠の光景は格別だ。
試乗を終えるころにはすっかり日が傾いてきた。オレンジに染まり砂漠に沈みゆく太陽もまた一見の価値あり! 振り返ればアラブの澄んだ空に白い月。昼の暑さも少しずつ和らいできて、風が頬に心地良い。日本でも人気のヘンナアートやシーシャ(水タバコ)を体験しながら待っていると、すぐにディナータイムに突入。砂の上に敷いたカーペットの上でいただくビュッフェタイプのディナーは異国情緒たっぷりで、とても満足度の高いものだった。
最後はベリーダンスのショー。ダンサーのパフォーマンスのレベルも高いが、砂の上に座りマハラジャ気分で見るというシチュエーションが、より一層ショー自体を素晴らしいものに感じさせてくれた。
今も大規模な開発が続くドバイにあって、ベドウィン(遊牧民族)の暮らしに思いを馳せられる場所は数少ない。デザート・サファリツアーは、ドバイの旅にきっと“深み”を与えてくれる体験となるだろう。
【Text=日比崇幸 / Photo=小林邦寿】
■livedoorHOMME【特集/JOURNEY】
『刺激的で優しいアラブの国へ 〜ドバイ〜』(全8回)