【特集/JOURNEY】 刺激的で優しいアラブの国へ (3/8)
大きなショッピングモールを巡ってブランド物を買いまくるツアーは、女性誌や観光ガイド本に任せておいて、早速、男目線でドバイの街を散策してみよう。
まず、訪れておいて間違いないところは、古くからドバイの発展を担ってきたドバイクリーク周辺のエリアだろう。このあたりは1800年代に現在のアラブ首長国連邦を統治するマクトゥーム家がアブダビから最初に移住してきたところで、まさしく現在のドバイの起点となった場所。その後イギリスの保護区となり、東西の貿易中継港として大いに発展することになる。
現在でもこのクリーク周辺には当時のイメージを残したスーク(市場)があり異国情緒を漂わす。特にスパイススークやゴールドスークなどが有名で、売っているものも日本と比べると価格も比較的お手頃。ドバイでは消費税をとられないのと、関税が安いことが低価格に影響している。
ただし気をつけなくてはいけないのは、もともとの店頭価格がかなり高めに設定されていること。これは多くの店で「価格交渉」を前提として値段がつけられているため。かなり大胆に安い価格を伝えても、まったく嫌がる様子もなく応じてくる。最初こそ、店員たちの言葉の勢いに圧倒されるが、慣れればとても楽しいやり取りに感じられてくるのだ。
年齢も性別も問わず、アジア人を見れば「カワイイ!!」を連発して、観光客の関心を引くスークの店員たちは明るくて活発。こちらまで元気をもらえる気がしてくるから不思議だ。
旅先でご当地のお土産を探すのも、また楽しいひと時ではあるが、ここドバイに関してはなかなか難しいこと。交易地としての歴史が長かったためか、昔からありとあらゆる物が様々な国から集まってきたために、特に自国で産業を興す必要はなかったのだろう。香辛料からゴールド、最近ではまがい物の携帯電話まで、ありとあらゆるものが集まってくるこの街。極端な話、ドバイならではの品と言えるのはデーツ(乾燥したなつめ椰子)ぐらいしかないのだ。
とはいえアラブの特産品、というところまで視野を広げると色々な選択肢が増えてくる。
例えば上の写真のターバン。コットンでできた大判の布で気軽にアラブの雰囲気が味わえる上に頭に巻く以外にも色々な使い方ができる。これは男友達への土産として案外喜ばれるのではないだろうか。ただし、このB級な感じを理解してくれる人ならば、という条件付きだが。
クリークには昔ながらの渡し船であるアブラが往来し、観光客も安価で利用することができる。地元の人達と肩を並べて、このアブラに乗り込めば旅気分は最高潮。ドバイ開拓の礎となったクリークの豊かな水に揺られながら遠くに近代ドバイの象徴である高層建築を見るシチュエーションは、ある意味もっともこの国らしい風景といえるのではないだろうか。
【Text=日比崇幸 / Photo=小林邦寿】
■livedoorHOMME【特集/JOURNEY】
『刺激的で優しいアラブの国へ 〜ドバイ〜』(全8回)
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