リコー「CX4」が写し出すマダガスカル!行きたいと思わせる風景写真の世界【新-写真空間】


旅行のパンフレットやポスターなどで、美しい風景写真に心が奪われることがないだろうか。100以上の国と地域を撮影で旅したという出戸規善さんは、そのような風景写真を専門に撮影している写真家である。4月18日まで東京銀座のリコーフォトギャラリー「RING CUBE」9階で開催されていた写真展「マダガスカルの旅」では、出戸規善さんがリコー「CX4」撮影した美しいマダガスカルの自然を写し出した作品を展示していた。

■CX4だからこそ広がる撮影領域
いつもは、6×17パノラマや4×5といった大判カメラで風景を撮影している。それは、ストックフォトとして写真がどんな使われ方をするかが分からないためだ。大きく引き伸ばした時に使えないことはあってはならない。しかし、今回の撮影はリコー「CX4」を使い、その楽しさにはまったようだ。
「CX4は撮っていて、こんなに楽しいのかと思いました。撮影領域が広がるんです。手にもなじみますし。フィルムだと、4×5で1000枚とかロール220フィルム400本で12kgですからね。軽くて夢のような世界でした」と出戸さんは、その魅力を教えてくれた。
アフリカ大陸の南東部からモザンビーク海峡を約400km隔てて南北に長く横たわる、地球上で4番目に大きい島がマダガスカルだ。アフリカ大陸から切り離され、長い時間をかけて動植物たちが独自の進化を遂げている。「バオバブの木を見たかったから」とマダガスカルへの旅の理由はシンプルだが、撮影された写真を見るとマダガスカルを訪ねてみたいという気分になる。「もし、行きたいと思っていただけるのなら本望です。それが私たちの使命だと思っているので」と人を魅了する風景写真の奥深さを教えてくれた。

■横浜という環境が育てた風景写真家
「横浜に生まれて、横浜港から外国に行く船を見て育ったため、旅行が好きになったのだと思います。1971年、横浜から客船で太平洋を渡ったのが最初の旅行です。カナダからアメリカ、メキシコまで3カ月をかけて、写真を撮りたくて。あとで冷静に見ると写真になっていませんでしたね」と、風景写真家としての始まりを教えてくれた。
その一方で、「いくら写真が好きだと言っても、食べていける世界ではありませんでしたね」と苦労も多い。写真学校に行ったことがなく、師匠もいない。独学で写真を学んで行った。「国内でかなり撮影しました」と働いたお金は、本当に好きだったカメラと旅費へと消えていく。
そしてこの国内での撮影がもとで、ストックフォトのエージェント契約を果たした。そして、プロのカメラマンとして1974年、シベリア鉄道でヨーロッパまで撮影旅行をしたのだ。

■世界は広い 一生撮り続ける
お気に入りだったのはエーゲ海とのこと。「一時期エーゲ海にはまりました。12回行って、50ぐらいの島を回り、400日ぐらい撮影していたと思います。撮影するものがたくさんありましたし、のんびりできましたね。まさに楽園ですね。エーゲ海という言葉の響きもよかったですね。娘の名前にもエーゲ海の島の名前を付けたほどほれ込みました」としながら、きっかけは「順番に行く国を潰していったんです。最初はアメリカ、次はヨーロッパ。当時、ストックフォトでは海外はアメリカやヨーロッパ、国内は北海道と、決まっていましたから。ほかの国々だとビジネスとしては難しかったんだと思います」
そして、経済的に余裕が出てくると南極にまで足を伸ばした。「もちろんビジネスは度外視です。でも、写真家として撮りたかったんです」と夢は計り知れない。
これからも行ったことがない国や地域を目指したいとのこと。「世界は広すぎるので、一生かかっても撮りきれませんので」
これからも魅力的な写真を魅せてくれそうだ。

出戸規善
1949年 横浜市生まれ
高校生時代にロバートキャパやブレッソンの作品に接して写真を始める。1971年に横浜港より客船で渡米、初の海外撮影を行う。1972年にフォトエージェンシー契約し、北アメリカ 南アメリカ・オセアニア・ユーラシア・ヨーロッパ・アフリカ・南極・世界七大陸を大型フイルムカメラで風景を中心に撮影。75回の海外撮影行は3300日に及ぶ。2006年からリコーGR/GR?/GR?/CX4 を使用。渋谷・新宿・目黒・川口・横浜みなとみらい等で写真展を開催している。

リコーフォトギャラリー「RING CUBE」

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