名作を復習!もう一度読む「ガリバー旅行記」〜ラピュタはニュートンへの皮肉!?


 ジャック・ブラック主演の映画『ガリバー旅行記』が絶賛公開中である。この映画は、、アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトにより執筆された小説を現代版にアレンジして映像化したもの。舞台を現代に移し、今の文化ならではの、スマートフォンやコーラなども登場する。しかし、元々の小説はどんな話だったのだろうか。

 「確か小人の国に行くんだよね。あと他にもどこかに行ったような…」子供の頃に読んだので、記憶が曖昧になっている大人たちも多いので、もう一度、復習してみよう。

【復習1】ガリバーの職業は医者である
ガリバー旅行記」という名から想像して、ガリバーは冒険家だったのではと思っている方もいるだろうが、正確な職業は「医者」である。小説の正式な題名も"Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of several Ships"(船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリバーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇)と「船医」になっている。船位として乗船した船が嵐にあって、小人の国・リリパット王国に漂着するところから不思議な冒険が始まるのだ。

【復習2】実は4つの国を冒険している
「ガリバーって、小人の国と巨人の国を冒険する物語でしょ?」と言う方、先に記述した題名をよく見て欲しい。「旅行記四篇」とあるように4つの国を冒険しているのだ。子供向けの版では最初の「小人の国リリパット」「巨人の国ブロブディンナグ」の二篇の冒険のみが収録される傾向にあり、後の二篇が省略されていることが多い。実は、この後に、「第三篇 ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本への渡航」「第四篇 フウイヌム国渡航記」と2つの冒険が続く。ラピュータは、あの「天空の城ラピュタ」の原型となった話で「空飛ぶ島」の物語。フウイヌム国は、平和で非常に合理的な社会を持つ、高貴かつ知的な馬の種族に関して述べた物語である。

【復習3】本当は社会風刺の小説なのである。
現代では不思議な冒険を綴った子供向けの物語となり出版されているが、元々は痛烈な風刺小説なのである。それぞれの国がイギリスの政治体制や王立協会、貴族などを風刺している。リリパット王国はイギリスを、そして、その敵国であるブレフスキュ国はフランスをイメージして作られていて、当時の国際関係を表現しているのだ。なお、「空飛ぶ島」は「万有引力の法則」のニュートンを皮肉って書かれたものらしい。

 いかがだろうか。「ガリバー旅行記」について、意外と知らなかったり、忘れていたりすることが多かったのでは。これを機会にもう一度読み返してみるのはいかがだろうか。なお、映画『ガリバー旅行記』は、楽しくて、勇気をもらえる映画に仕上がっているのでぜひとも劇場に足を運んで欲しい。


映画『ガリバー旅行記』公式サイト
MOVIE ENTER × 『ガリバー旅行記』

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