【編集部的映画批評】 一生心に残る猛毒エンターテインメント


 MOVIE ENTERの編集部員が好き勝手に映画を批評する「編集部的映画批評」。海外ドラマが大好きなサイトーです。ここでは、独断と偏見たっぷりに“感動”映画を紹介していきたいと思います。1発目は、「猛毒エンターテインメント」として話題の作品です。

冷たい熱帯魚

 『冷たい熱帯魚』は、傑作です。観たときは、ぶん殴られたような衝撃がありました。あまりに痛い。記憶が「傷」ならば、一生残りそうな傷になりました。ストーリーは、こうです。

 家庭不和を抱えつつも慎ましく小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)は、娘の万引き事件をきっかけに同業者の村田(でんでん)夫妻と知り合います。人のよさそうな村田の高級熱帯魚の輸入を手伝うことになった社本は、予想もしなかった破滅へと引きずり込まれていく…。

 これだけじゃ伝わらないと思いますが、あえて、あまり書かずにおきます。

猛毒にやられないための免疫作り

 1993年の埼玉愛犬家連続殺人事件や他の猟奇殺人事件から着想して生み出されたストーリーで、一部、園監督の実体験にも基づいているそうです。

 敬語で話していた人間が突然、タメ口に変わる恐ろしさって、日常にも転がっていると思いますが、その恐怖が存分に味わえます。一般的な中年男性の社本を、破滅へと引きずりこんでいく村田のセリフ、間、声のトーンが、実際の詐欺師のセリフ回しを反映していると聞いたとき、これは他人事じゃないと思いました。

 「村田」は実在する。その“猛毒”にやられないため、この映画を観て免疫を付けておきましょう。

「ボデェを透明にしちまえばいい」

 「ボデェを透明にしちまえばいいんだよ」。もし殺人を犯しても、その証拠となる遺体が無ければ、バレない。そう考える村田が発したセリフです。「なるほど」と膝を打っている場合ではありません。これは、埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人が実際に語っていたセリフだと言われています。リアルに怖いではないですか。

 死刑より重い罰は無いのだから、死刑になるような罪を犯してしまったら、あとは人を殺そうが、人妻を手篭めにしようが、何をしようが関係ないと開き直る村田。そう思っちゃう犯罪者が本当に居そうで怖いですね。

 映画で展開されているのは、おそらく、最悪の事態の一つです。あまりの最悪ぶりに、笑いさえ込み上げてきました。村田に翻弄される社本を笑いつつも、自分ならどうだろう、そう考えさせられる作品です。

 ただ、最悪の事態にあっても、社本の妻を演じた神楽坂恵のボデェだけは、透明にして欲しくないですね。濡れ場のシーンは大迫力でした。でんでん太鼓のようでした。

 1月に公開された作品は、現在も大ヒット上映中。北米35館以上の映画館でも公開されるそうです。ヒットを記念して、関係者には、村田(でんでん)が洗ったという5円玉入りの大入袋まで配られました。この5円玉、やっぱりなんか怖いです。

ドラマのサイトーの所見評価

怖すぎて笑える度:★★★★★

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