福島第一原発で起きている炉心溶融の危険とは?


東北地方太平洋沖地震は原子力発電所にも大きな影響を及ぼしている。
原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所でセシウムが検出されたこを発表、炉心の燃料が溶け出しているとのことだ。さらに15時過ぎに爆発音が発生、建屋の天井が崩落した。

枝野官房長官は、17時45分からの会見し、
放射線レベルについては測定を実施中で、現在、専門家をまじえ放射性物質の特定と情勢把握に努めている。周辺医民には安全に万全期すと明言し、落ちついた対応を促した。
福島第二原子力発電所から半径3km圏内の住民に避難勧告、半径10km圏内の住民に対する屋内待避を指示している。

福島第一発電所注水機能回復のため、電源車からのケーブルのつなぎ込んでいる状況だ。また、格納容器内圧が上昇しており、圧力減少のために蒸気の放出作業も行っており、蒸気放出によるが、格納容器内圧の低下には成功したようだ。

17時35分追記
福島第一発電所で爆発音、建屋の天井崩落
1025マイクロシーベルトを1時間に観測

原発事故としては、スリーマイルアイランド原子力発電所事故やチェルノブイリ原子力発電所事故が知られているが、福島第一原発でこうした事故につながる危険はないのだろうか?

このまま炉心の燃料が溶け続けるとどうなるのか、炉心溶融とはどういうことか調べてみた。

原発では、炉心内で、原子核分裂にともなって常に崩壊熱を出しつづけている。このため、冷却材を循環させて熱を外部へ運び出して、炉心内の温度を一定に保つことが必要なのだ。福島第一原発では、冷却を行う水の水位が下がっているとのこと。これにより、炉心部がむき出しになり、冷却が行われていないという状況になっているようだ。

冷却材の喪失や循環が停止すると、核燃料は自分が発生する熱で、核燃料自身を溶融し崩壊する(冷却材喪失事故、Loss Of Coolant Accident 、LOCA)ため、とても危険な状況になる。このほかにも、運転中に大きな正の反応度が投入されると、原子炉出力が急上昇し、冷却材の冷却能力を上回り、核燃料は崩壊する(反応度事故、Reactivity Initiated Accident、RIA)こともある。

核燃料が入れられている燃料被覆管はジルカロイ合金でできているが、ジルカロイ合金は1,400℃で溶融を始め、被覆管が破損することで核分裂生成物が周囲に漏れることになる。
さらに核燃料は発熱を続けると、原子炉圧力容器をも溶かして外部へ漏出して大量の放射性物質が原発外に漏れる事態を引き起こす危険性もある。

今回、福島第一原発周辺でセシウムが検出されたということは、融解が始まっている可能性が高いというわけで、福島第一原子力発電所でも緊急かつ慎重に対応をすすめているようだ。


放射性物質の漏れは非常に危険なわけだが、危険なのはこれだけではない。このまま炉心の温度が下がらないと高熱の溶融金属が冷水と接触して起こる水蒸気爆発や、ジルカロイ合金が水から酸素を奪って酸化し発生させる水素ガスによる爆発といった危険もある。

まだ、予断を許さない状況ではあるが、東京電力 福島第一原発の対応に期待したい。

東京電力

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