緻密で繊細そして大胆に!ウィルコム復活劇が始まる【ITフラッシュバック】


気になるITニュースを振り返る「ITフラッシュバック」は、会社更生計画の認可を受けて新しくなったウィルコムを取り上げよう。

更生計画を見ると、基本方針は多額の設備投資負担が必要なXGP(次世代高速通信サービス)事業を切り離し、ユーザーが多く公共性の高いPHS事業に注力するということ。さらに、Wireless City Planning株式会社(ソフトバンクやファンドなどが出資予定の会社)にXGP事業などを継承する予定だ。

つまり、ウィルコムはPHSで勝負しなくてはいけないのだ。XGPは切り離されるが、XGPに必要となる多額な設備投資からは開放される。

果たして、ソフトバンクはウィルコムを再生できるのか?

ウィルコムの代表取締役となった宮内謙氏は、「だれとでも定額」の発表会場で、「3カ月以内に純増にする」と宣言した。
ボーダフォンからソフトバンクモバイルへと代わった当時、ナンバーポータビリティーが開始され、ソフトバンクモバイルはまさに草刈場となるといわれていた。しかし、そこから一気に復活していった。この復活劇がウィルコムでも見せられるかどうかが問題となる。

ウィルコム内での通話で安い定額制料金をいち早く取り入れていたことで、女子高校生、女子大学生などの人気が高い。そこからどのような広がりを見せられるかだ。そこで投入したのが、「だれとでも定額」という、ウィルコムだけでなく、他の携帯電話会社との通話も、一般加入電話やIP電話との通話も月額980円で、10分以内の国内通話が1カ月500回まで無料となるサービスだ。

沖縄では先行して、2010年4月から「だれとでも定額」試験サービスを開始した。このときは料金が980円、1通話10分以内と変わらないが、1カ月1000回までだった。6月までの期間限定のサービスだったが、好評なためそれ以降も引き続き行われることとなったのだ。
ウィルコム沖縄の加入者数を見ていくと、2009年5月は4万2400人だったところが減少に歯止めがかからず、2010年4月には3万8000人まで落ち込んだ。ところが「だれとでも定額」を開始してすぐ、2010年5月には4万500人と増加に転じた。その後は毎月純増が続き、10月には4万4200人まで復活した。しかも、それまでウィルコムは若年層に強かったが、年齢層を見るとまんべんなく増えていることが分かったという。
緻密な計算を行いエリア限定でテストし、成功すると大胆に全国展開するのがソフトバンクモバイルから受け継いだノウハウということらしい。

ウィルコムはXGPを切り離し身軽になった。新サービス「だれとでも定額」もスタートした。ここからウィルコムの反撃が始まろうとしている。

●ウィルコム会社更生への道
・2009年
8月26日:久保田幸雄氏が新社長に就任
9月24日:事業再生ADRの手続を申請
・2010年
2月18日:会社更生手続開始の申立
3月12日:管財人、管財人代理選任
3月12日:再支援に関する基本合意書の締結
3月12日:会社更生手続開始決定
4月1日:管財人、管財人代理の追加選任
4月23日:管財人代理(久保田幸雄前社長)が退任
6月24日:更生計画案提出時期を10月14日までに変更
8月2日:会社更生手続きに伴うスポンサー契約をソフトバンクとの間で締結
8月5日:管財人、管財人代理の選任(宮内謙氏が管財人に)
8月10日:それまでの管財人、管財人代理が退任(債権がソフトバンクの元で進むことに)
10月14日:更生計画案を提出
10月21日:更生計画案の付議決定
11月30日:更生計画の認可決定
12月1日:新サービス「だれとでも定額」発表

ウィルコム

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