ロールス・ロイス版“かわいいベイビー”
その「ホスピタリティ」に関して、欧米のモータージャーナリスト達の間で、こんな都市伝説が交わされていたことがある。
『何年か前にロールス・ロイスを買ったアラブの石油王(武器商人というバージョンもある)から聞いた話だ。砂漠の一本道をロールスで走っていると、急なエンジントラブルでクルマが止まってしまった。どうしたものかと右往左往していると、どこからともなくヘリコプターが現れ、目の前にメカニック数人が降り立った。そして、あっという間にクルマを修理し、こう言ったそうだ。「あなたはここで休憩していただけです。ロールス・ロイスは故障しませんから……。」』
これはもちろんジョーク(おそらく99%)なのだが、完璧と謳われるホスピタリティをネタにされるほど、つまりロールス・ロイスは“完璧”なクルマなのだ。
そのロールス・ロイスが2009年9月のフランクフルト・モーターショーにてアンヴェールし、同年10月に日本で正式受注を開始したモデルが「ロールス・ロイス ゴースト」だ。そして、ゴーストの開発段階でのコードネームとして使われていたのが“ベイビー”なのだ。
たしかに、ロールス・ロイスがいままでに世に出してきたラインアップからすると「ベイビーロールス」という愛称がとてもしっくりとくるものの、全長5メートルを超えるボディは、やはりビッグセダン。
(フロント、リアドアは“観音開き”。ゲストを迎え入れる準備は常に完璧だ。)
果たして、実車を目の当たりにすると、決してベビーな代物ではないことに気づく。大は小を兼ねると言うが、愛称とはいえ、大に小の名を冠したものは未だ嘗てあっただろうか。
そびえ立つように構えるロングノーズや、長いボンネット、そしてエレガントさを兼ね備えたリアテールは、ロールス・ロイスの伝統によるもの。その伝統美に加え、滑らかなボディラインと、低めのルーフなど、現代的なダイナミズムを盛り込んだことで、高いモダニズムを演出している。
(センターコンソールにはウッドパネル、ホワイトレザーが採用されている)
ボディーサイズは全長5399×全幅1948×全高1550mmで、ホイールベースは3295mm。上位シリーズの標準モデル「ファントムSWB(ショートホイールベース)」の5835×1990×1655mm、ホイールベース3570mmと比べると確かに一回り小さいが、全長5mを優に超える大型セダンだ。
大人が嗜む、かわいいベイビー。これこそまさに一生に一度の贈り物に相応しいモノではないだろうか。
ちなみに車両本体価格は2900万円。
ちょっとお高めな“ベイビー”を、贈り物に、ぜひ。
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