ユーザーからスターを!キュレーション・プラットフォームを目指す「NAVERまとめ」の狙いとは?


近年、ブログやSNS、Twitterなど消費者層による情報発信メディアが急増している。新たなメディアの情報により以前に比べて一人当たりの情報摂取量も飛躍的に増加を遂げている。今、あふれる情報の中で能動的にインターネット上の情報を収集・編集して共有していく消費者たちを「コンテンツ・キュレーター」という新たな社会的役割をもつ層として注目する動きが欧米を中心に高まり始めている。

NAVERは2009年7月1日のサービス開始以来、特定のテーマに沿ったリンクや画像、動画などをユーザーが集約・共有するユーザー参加型検索「NAVERまとめ」を展開してきたが、膨大な情報の有効な利用が求められる時代となった今、「NAVERまとめ」を第2フェーズ展開として新たにリニューアルし、「livedoor blog」との連携を実現した。

具体的には、従来に比べてNAVERまとめをより簡単に作成することができるようになったほか、「ブログ貼り付け機能」を新たに搭載。自分が作成したまとめや、気になる話題のまとめを、ブログの記事ネタとして簡単に貼り付けられるようになった。

さらに11月中旬を目処に、まとめを作成したユーザーを対象に、自分が作成したまとめ上でアクセス数や購買数に応じて発生した収益を全額還元するインセンティブプログラムを導入する予定だという。

■広告収益は全てユーザーに還元する
ネイバーは「NAVERまとめ」の第2フェースとして、何を実現したいのだろうか? ネイバージャパン株式会社 サービス企画室 室長 島村 武志 氏にお話しをうかがうことができた。
ネイバージャパン株式会社 サービス企画室 室長 島村 武志 氏

島村室長は、「これまで、ブログなどのソーシャルメディアが登場して、『個人が媒体化した』と言われてきましたが、実際に収益なり恩恵を受けているのは、ブログを運営しているプラットフォーム事業者のみで、個人には一切収益が落ちない仕組みになっています。

勿論、一部に限り、収益を挙げているブロガーもいますが、普通のブロガーにとっては、例えばアフィリエイトの設定をしたりするのは非常にハードルが高く、収益と呼べるほどの恩恵は受けられていないと思います。

ソーシャルメディアを作っているのは、本質的には一般のユーザーであり、プラットフォーム事業者ではないはずです。にもかかわらず、一般ユーザーが恩恵を受けられないのは本質的におかしい話ですよね。」と、現在のアフェリエイトの問題点を語った。

「実は、今回のリニューアルを機に、NAVERまとめのタグラインを『みんなでつくる検索結果』というのに変更したのですが、例えばGoogleが検索品質の精度を追及するのは、そこに紐づいている検索結果連動型広告という収益の仕組みがあるからです。今回、私たちがやろうとしていることは、一つ一つの『まとめ』を検索結果と捉えて、それを皆さんに開放します、そして、そこに紐づく広告から得られる収益は全て皆さんに還元します、ということなんです。

私たちは今回の一連の取り組みを通じて『キュレーション・プラットフォーム』を実現することにより、最終的には、個人のキュレーション活動が、ちゃんと収益になり、社会にも役立つ、そんな『キュレーションエコノミー』を樹立したいと、本気で考えています。」と、「NAVERまとめ」による収益が個人にも還元される点を強調した。

■ユーザーからスターを生み出したい
インタビューの最後に、島村室長に今後の展開についてうかがってみた。

島村室長は「まずは、『NAVERまとめ』の機能改善・外部連携を発展強化させることにより『キュレーション・プラットフォーム』の確立と拡大を行っていきたいと考えています。

また、一般ユーザーの中から何かの専門家として有名になる等、この『NAVERまとめ』上でのキュレーション活動を通じて、『スター』を生み出していきたいと考えています。

そのために、例えば『まとめ長者コンテスト』などを実施していくことなども検討しています。」と、「キュレーション・プラットフォーム」の確立と拡大を行いたいことを明らかにした。

ユーザーが「スター」として注目されれば、「NAVERまとめ」が注目を集めるだけでなく、ユーザーにも大いにメリットがある。今回の「livedoor blog」との連携は、その第一歩というわけだ。

インターネットのユーザーが自由に参加できる「NAVERまとめ」は、他社の検索システムでは味わえないユニークなサービスであり、ユーザーにも大きなメリットがある。インターネット社会と言われる今日、「NAVERまとめ」がどのように浸透していくのか、魅力的なサービスであるだけに、今しばらくは目が離せそうにない。

NAVERまとめ

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