もう専用メガネはいらない 東芝が裸眼3D液晶テレビを開発【最新ハイテク講座】


家庭用液晶テレビで、3Dに対応したタイプは人気が高く、徐々に盛り上がってきている。パソコンでも3D対応モデルが登場してきているほどだ。その主流はアクティブシャッター方式という、専用メガネが必要なもの。テレビ画面上に右目用と左目用の画像を交互に出し、その画像に同期するように専用メガネの左右のレンズを交互に透過・非透過の切り替えを行っている。

東芝は、今まで必須だった専用メガネなしで3Dを体感できる液晶テレビ「グラスレス3Dレグザ GL1」シリーズとして、20V型「20GL1」、12V型「12GL1」を発表した。想定価格は20GL1が24万前後、12GL1が12万円前後で12月中旬から発売する予定だ。いままで専用メガネなしで3Dが見られる液晶は、携帯電話向けやデジタルカメラ向けなど小型の液晶に限られていた。民生用デジタル液晶テレビでは世界初となるとのことだ。

1画素で9種類の異なる画像をリアルタイムに表示し、見る方向によって画像を変えている。右目と左目では見る方向が異なるため、見える画像も異なる

通常のテレビでは、1画素で1つの映像を映し出す。しかし、GL1シリーズは1画素で9つの映像を映し出す。この9つの映像は、視差が違う映像となっている。つまり、1画素から視差の違う9つの画像を角度を変えて出力している。同じ1画素でも、右目で見る画像と左目で見る画像が異なることになるため、立体で見えるのだ。
左右15度、計30度からの視聴を想定しているとのこと。液晶からの距離は、20GL1で90cm、12GL1で65cmを推奨している。

9つの画像は、2D映像からでも3D映像からでも生成できる。20GL1では高性能プロセッサー「Cell Broadband Engine」と多視差変換LSIを搭載した新開発の「グラスレス3D専用CELLレグザエンジン」を利用している。12GL1は画素数が少なく、20GL1ほどの演算処理が必要ないため、CELLではなく独自映像処理LSIと多視差変換LSIを組み合わせている。
ベースとなる画像から、人物(顔)、動き、風景(構図)を識別し、奥行きを復元する。この奥行きの情報から3D映像の元となる視差の異なる画像を生成する。
9種類の異なる画像は、垂直レンチキュラーシートにより光を出力する方向を変えている

液晶パネルはRGBを立てに配列した新画素構造を持つ。これに垂直レンチキュラーシートを使って方向を変えて、光を出力している。見る角度によって、画像がずれていくようになっている。

東芝では、GL1シリーズをCEATECで展示する。さらに56V型も技術展示する。この技術はPCにも応用される予定で、グラスレスタイプの3Dマシンの技術展示も行われる。大型テレビへの応用にもある程度の可能性を見せていることで、これからの製品開発に期待できそうだ。

●20GL1の主な仕様
・チューナー:地上デジタル×2、BS/110度CSデジタル×2
・液晶:20V型グラスレス専用LEDパネル(表示画素数1280×720、パネル総画素数429万4400画素)
・入出力端子:HDMI入力(1080P(60/24p)入力対応)4系統4端子、ビデオ入力1系統1端子、光デジタル音声出力、HDMIアナログ音声入力、ヘッドホン、USB1端子、LAN1端子、B-CASカードスロット
・サイズ(スタンド除く):64.0×10.5×66.3cm(設計値)
・質量:未定

●12GL1の主な仕様
・チューナー:地上デジタル×1、BS/110度CSデジタル×1
・液晶:12V型グラスレス専用LEDパネル(表示画素数466×350、パネル総画素数147万画素)
・入出力端子:HDMI入力(1080P(60/24p)入力対応)1系統1端子、ビデオ入力1系統1端子、ヘッドホン、USB1端子、LAN1端子、B-CASカードスロット、SDメモリーカードスロット
・サイズ(スタンド除く):33.7×5.2×27.2cm(設計値)
・質量:未定

東芝

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