経営は決断だ!孫正義氏が自らの後継者を育成する講義に潜入
講義は、「意思決定はリーダーの成功要因」としてさまざまな場面での意思決定を、ソフトバンク30年の歴史から30パターンを2者択一の問題形式で提示し、意思決定の極意を紐解いていった。
たとえば、「設問2 主力事業が大赤字」では、「A 部分撤退し立て直す」と「B 撤退」がら選択させた。これは1982年に参入した出版事業への参入の話だ。PCソフト流通事業と出版事業を2本柱としようとしていたが、8誌中7誌で2億円の大赤字だった。当時の経営会議では「出版事業は売却した方がいい」という決定がされようとしていたが、孫氏がそれに反対した。そして、自ら出版事業部長を兼務し、編集長を集めて3カ月で黒字化できない雑誌は廃刊にすると言い渡した。さらに利益管理を編集長に一任し、毎週出版経営会議を開くようにした。そして半年後、1誌を廃刊にしただけで全誌を黒字化、事業部全体も黒字化し、23誌まで拡大したのだ。
もちろんボーダフォン買収にも話は及んだ。「設問20 減益事業を買収すべきか」だ。ソフトバンクの企業買収は決して順調ではなかった。1995年に買収したイベント企業「コムデックス」は2000年に売却、メモリーモジュール製造「キングストン・テクノロジー」は1996年に買収し1999年に売却、ナスダック・ジャパンは1999年に米ナスダックと合意し、2000年に開設したが、米ナスダックの撤退により2002年に撤退となった。その一方でこのころから、ブロードバンド事業に専念し始めたのだ。2006年のボーダフォン買収では、それまで相手企業の文化を尊重してきた買収や協業と違い、孫氏が自ら乗り込んで改革を実行した。当時のボーダフォンは赤字目前で時間がなかったことも要因のひとつだった。そして営業利益を急回復させたのだ。
ソフトバンク新30年ビジョンにあるとおり、後継者には30年後の時価総額200兆円を目指させるとのこと。2010年の時点で2.5兆円のため、10年で4〜5倍のペースとなる。普通の企業では数パーセントのところだが、年率では20%弱だ。後継者にはそのくらいの意気込みがほしいところなのだろう。
いざ講義を聞いてみると、後継者に収まろうとする人よりも、ソフトバンクを超える企業を作りたいと考えるぐらい人のほうが後継者としてよさそうだ。
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事を成す 孫正義の新30年ビジョン
著者:井上 篤夫
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