<コラム>長尺ドライバーで飛ばそう【ゴルフ特集】
現在、主流となっているチタンドライバーのヘッド体積は、420〜460cc。これは、パーシモンドライバー時代の二倍以上。ミスヒットに強くなり、反発係数の向上などから、飛距離も大きく伸びた。
パーシモンの時代から、今日までの10年余りの間に、PGAツアープロのドライバー飛距離は、平均でなんと約30ヤードも伸びているのだ。
選手の飛距離が大幅にアップしたため、ゴルフコースの距離を長くするコース改造が今も世界的に行われている。クラブ、そしてボールなどのテクノロジーの劇的な進化は、ゴルフというゲーム自体のバランスを変えるほどの大きなインパクトがあるのだ。
このあまりの劇的なギア性能向上に、ゴルフのルールをつかさどるR&Aでは、クラブなどに規制をかけ、これ以上の性能アップを認めないような動きがおきている。
いちばん有名なのが、2008年から施行されているSLEルール。フェースの反発係数の基準を設けて(0.83以下)、飛距離アップを抑制するものだ。そのほかにもヘッド体積460cc以下、慣性モーメント5900g・cm2、シャフト長さ48インチ以下、と次々に規制が打ち出されていて、今年からは、アイアンのフェースの溝にも基準が設けられた。
そうした状況から、以前のような劇的な性能の進化は、ひとまず落ち着きつつあるというのが現状だ。クラブの性能アップというよりも、以前のコラムで紹介したように飛びの要素である「スピン量」と「打ち出し角」を適正になるよう、自分に合ったクラブをチョイスしていく、というのが最近の傾向だ。
その中で、最大の飛びの要素といえる「ボール初速」を上げる方法がまだ残っている。それが、シャフトを長くして使用する長尺化だ。
同じスイングができれば、シャフトが長いほどヘッドスピードは速くなる。さまざまに課せられたゴルフクラブの規制の中で、反発係数、慣性モーメントなどは、すでに限界値にまで達している。しかし、シャフトの長さに関しては、今も主流は45インチ超、ルール範囲内の48インチまではまだ余裕がある。それが、飛距離アップの伸びしろになるのだ。
シャフトを長くする長尺化の歴史は古く、パーシモンドライバーの時代から存在したが、当時はあまりにも重くなりすぎて、普及には至っていない。
98年から99年にかけて、48インチのドライバーを使用し、300ヤードドライブを連発したプロが登場したことなどもあって、超長尺と呼ばれる48インチ前後のドライバーが流行した。シャフトの手元寄りを太くしたビッグバット設計が特徴で、それで操作性を高めていたのだが、当時のヘッド体積は300cc強。やはり操作は難しく、すぐに廃れてしまった。
現在は、当時と比べると圧倒的にミスに強い460cc大型ヘッドのドライバーが主流。本来は、当時よりもずっと長尺に向いているといえる。
ルール上、シャフトの長さは、まだ伸ばす余地が大きいということで、飛距離のほしいプロゴルファーのなかには、すでに長尺化を模索している選手も多い。今季、現在賞金ランキング一位(2010年8月現在)の藤田寛之プロは、46.25インチにまでシャフトを伸ばし、飛距離アップを果たしている。シャフトを長くすることは、確かに飛距離アップに有効なのだ。
しかし、高い技術とアジャスト能力をもつプロゴルファーと異なり、我々アマチュアゴルファーがシャフト長を伸ばしても、必ずしも飛距離アップするとは限らないのが悩ましいところ。原因は、長くなったシャフトをコントロールできず、振り切れなくなってしまうためだ。その結果、かえってヘッドスピードが遅くなってしまうことも少なくない。長尺化で飛距離アップを果たすには、通常のドライバーと同じようにスイングし、振り切れることが必要だ。シャフトの長さは、練習で慣れていくこともできるが、重さやシャフトの硬さなどクラブのスペックにも注意したい。
シャフトの長尺化は、ルール内で残された飛距離アップの方法としては、最も有効なものといっても過言ではない。ドライバーでもっと飛ばしたいゴルファーには、まず試してもらいたいものだ。
・ゴルフ特集2010 - livedoor HOMME
児山 和弘(ゴルフライター)
99年大手ゴルフショップFC、03年大型ゴルフショップチェーンの立ち上げに参加。ゴルフライターとして、各種媒体に寄稿する一方、自身のゴルフショップ「39ゴルフ」で、ゴルファーのこだわりをサポート中。ヘッドスピード48m/sの飛ばし屋ながら得意クラブはパター
・39ゴルフ
99年大手ゴルフショップFC、03年大型ゴルフショップチェーンの立ち上げに参加。ゴルフライターとして、各種媒体に寄稿する一方、自身のゴルフショップ「39ゴルフ」で、ゴルファーのこだわりをサポート中。ヘッドスピード48m/sの飛ばし屋ながら得意クラブはパター
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