ベニーオークションは誰が儲かるのか?運営者が語る仕組みと課題【オークション最前線】


今、人気商品が破格の価格で購入できるベニーオークションがネットで話題となっている。

ネットオークションというと、日本ではヤフーオークションに代表されるユーザー間サービスが一般的だ。無料または月額の登録料だけでユーザーが出品した商品に入札できる。落札期限は固定されており、期限までに最高金額を入札してユーザーが商品を落札し、購入する権利を獲得できる。

ベニーオークションは海外で人気を集めているが、これまで日本で知られているネットオークションとは少々システムが異なることから誤解やトラブルも多いようだ

そこで、今回からベニーオークションについて、実際にサービスを展開しているエイラクセンの取材を交えて学んでみよう思う。

■一人が勝ち抜けするゲーム性が高いオークション
ベニーオークションの最大の特徴は、高額な商品が最大90%オフで購入できるという謳い文句だ。

確かに、液晶テレビやiPadやMacBook、ブランド品など、高価な商品が多いが、これらの商品を破格値で購入できる権利を入手できるユーザーは、基本的には落札者一人である。また、入札は無料ではなく参加費用がかかるのもベニーオークションの特徴の一つだ。

つまり、ベニーオークションは、多くの参加者から一人だけが勝ち抜けするという、ゲーム性の高いオークションなのだ。

ベニーオークションには、サービスによってルールの違いもあるようだが、以下の特徴がある。
・オークション運営者が商品を出品する
・人気や話題の新製品が破格な価格(最大90%オフ)で購入できる
・オークションの入札には参加費(商品によって変動するサービスもある)がかかる
・入札数に満たない場合は、落札期限が延長されることがある

■ベニーオークションは誰が得をするのか?
高額商品を破格な価格で落札者に販売するベニーオークションだが、どうやって利益をだしているのだろう。
ここは、実際のベニーオークション エイラクセンを運営しているAさんに伺ってみた。

●運営側のメリットとデメリット
オークションに出品されている商品は運営者が確保するので、当然、商品の仕入価格が発生する。この仕入価格に利益を加算したものが原価となり、原価以上の収入を得ることでオークションは黒字となりサービスを維持できる。

ベニーオークションの収益は入札参加費となるので、高価な商品になるほど入札回数が必要となるそうだ。
つまり、十分な登録ユーザー、入札数が確保されていれば、ベニーオークションは成り立つというわけだ。

反面、ユーザー数が少なかったり、入札数が少なかったりした状態で落札が決定すると、原価割れから赤字となる。

A氏もベニーオークション運営の難しさをこう指摘する。
「オークション開始から間もないエイラクセンでは、赤字で落札されるケースが多く、今はまだつらい時期ですね。」

●参加ユーサーのメリット
有料ではあるが、少額の参加費(=少ない入札)で落札できれば、高額商品を破格の価格で入手できる。市場価格の30%未満の参加費に抑えて落札できれば、メリットは大きい。

反面、落札できなかった場合は、入札費用は無駄になる。また、入札費用の総額に配慮せずに、いたずらに入札数を増やすと、安く購入できるというメリットは損なわれる。

落札できたときのメリットと落札できなかったときのデメリットの差が大きいことも、ゲーム性が高いといわれる原因だという。

A氏もゲーム性の高さが、ユーザーに伝わっていないという。
「宝くじなども外れが多のですが、多くの人がくじを購入することで成り立っています。ベニーオークションも似たビジネスモデルなのですけど、ゲーム性のおもしろさというメリットより、まだルールややり方が認知されてないデメリットから誤解やトラブルもあるようです。」

■ベニーオークションの課題
ベニーオークションで問題となるのが、運営側によるプログラムによる自動入札だ。原価を上回る参加者数・入札回数がベニーオークションのビジネスモデルでは必要となる。期間を固定すると、入札回数が原価を下回る可能性も出てくるわけだ。サイトによっては、入札回数を下回るとオークション期間をプログラム入札により自動延長するサービスもあるようだ。

エイラクセンのA氏も
「たしかに、運営側によるプログラムによる自動入札により、赤字落札は回避できます。しかし、それではオークション期間が間延びしたり、ユーザーに対する裏切りでもあり、そもそも、詐欺行為にあたります。エイラクセンでは、運営側によるプログラム自動入札による期間延長を採用してないので赤字落札も多く、安く落札できているのでユーザーには喜ばれていますが、まだ運営は苦しいというのが実情です。」

現在のベニーオークションは、話題先行と参入サイトが急増しているが、オークション参加者数と採算運営の面で課題があるようだ。

オークションゲーム エイラクセン

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