あなたの好みは戦災に散る少女の追憶? 熱血宇宙人のパンチ?【iPhoneで無料ムービー】


ブロスタTVのクリエイター紹介の第1回は、学生ながら数々の賞も受けられている 山GEん氏です。3DCGアニメーションと実写映像も学んできた山GEん氏に、代表作品を選んで解説していただきました。

「Memory」では、思わず映像と音楽にぐいぐい引き込まれ、ノスタルジックな追憶に胸が詰まってしまいます。こんなナイーブな作品を制作する 山GEん氏ですが、もう一つの作品「熱血宇宙人」では、暑苦しいほどのコミックノリ全開のパンチが効いた作品を制作されています。

非常の作風が違う作品ですが、どちらも楽しめる作品となっています。是非、お楽しみください。

■Memory

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【作品解説】
舞台は核で荒廃した未来。調査に訪れた兵士が核の残存量の調査を行っていると、大破した家庭用ロボットを発見する。そのロボットに記録されていた映像の中で女の子が成長し、結婚式を迎えるまでが描かれています。

【見所】
本作は私自身が、3DCGアニメーションと実写映像を学んできたことから、自由度の高い3DCG手法に実写的な手法を効果的に取り入れられないかと思い制作した作品です。
手法は荒廃した未来を演出するため固定視点中心で演出し、暖かい思い出の部分は主観映像で制作いたしました。3DCGの無機質な印象を一人称視点で描くことにより、観る人にホームビデオののような暖かい印象を伝えようと行いました。

また、実写でいうボケ味を活かしたソフトフォーカス表現を擬似的に再現し、幻想的なにじんだ光の世界を表現することで、女性を美しく見せるようと努めました。
背景のモデリングは、小物まで丁寧に大量に作ることで、キャラクターが実際に生きている世界を演出しようと努めました。

■熱血宇宙人

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【作品解説】
本作は、熱血の持つ暑苦しさ、時代錯誤性を、真逆の属性である宇宙人に付加することで、キャラクターを活かしている物語です。奇抜なキャラクターを動かすことで、オリジナリティの感じられる作品を目指しました。

テーマはデンマークの哲学者セーレンキルケゴールの「人生は後ろ向きにしか理解できないが、人は前向きにしか生きられない」という言葉をヒントにしています。このことを同じ人間ではなく、地球外の生命体である宇宙人が人間に説くことにより、違った説得力があるのではないかと考えました。

【見所】
3D表現のカメラワーク等の自由度を利用して、作画をそのカメラワークの中で動かすといったところです。3Dの中で一枚一枚キャラクターは作画されています。このことを利用して、カットをモンタージュで切るのではなく、カットをつなぐようなカメラワークを行っています。こうして出来るだけ作品上で進行する時間軸が切れないようにすることで、その場で馬鹿な二人を見ているような印象を出せるように努めました。
また、ラジオドラマのような過剰なSE演出を行い、作品の持つ滑稽さを引き出し、毛色の違うアニメーション作品を目指しています。

■作品にこめたメッセージ
memoryは、世界中で起きた悲しい出来事、そして今も世界中で起きている悲しい戦争、これらは自分達の世代は直接的に経験したわけではないですが、何かそれに関して考えるきっかけになるのではないかと考えて制作しました。本作では今ある日常の儚さ、美しさを表現しようと努めました。人間は、いつ死ぬかわからないので、今の一瞬一瞬を大事に生きて行きたいと思いたいし、そうでなければならないと思います。

熱血宇宙人は、人は自分の今の状態が幸せな状態にないと後悔します。未来の状態が過去の事実さえ決定してしまうので、未来に少しでも幸せなビジョンを描くことが出来たら、悲しい現実も肯定できるのではないかと
思い、制作した作品です。年間に35000人も自殺をするような生きづらい国ですが、観た人がこれを観て少しでも笑って前を向いてくれたらなという気持ちをこめています。説教臭くなるとあまり誰も観てくれないので、ギャグのオブラートに上手くつつめたのかなぁと思っています。

■技術も大切だけど、気持ちはもっと大切
作品は制作者そのものだと思っているので、普段から人にサービスしようって気持ちや人への感謝気持ちを忘れずに過ごしていたら技術はそんなになくともすばらしい作品が出来るんじゃないかなぁと思います。
もちろん毎日、スキルの向上のため努力はしないといけないと思いますが。

■CGは便利なツールだが、個性が出しにくい
カメラワークの自由度が高いという点が大きいと思います。あと、一度作ってしまえば、作品内でも別の作品でも使い回しがしやすく、作れば作るほど次回の制作活動がやりやすくなると思います。ただ、アナログに比べ個性が出しにくいツールでもあるので、この点が作家にとっての大きな課題であると考えています。

■作品が完成して思うことは・・・
次はどうすれば、もっと良い作品になるんだろうとかだと思います。

■今後の目標
日常で感じた気持ちや疑問を適切な表現映像文法で追求し、周囲の自分を支えてくれている人や観てくれた人に少しでも元気なってもらえる作品を作れたらいいなと考えています。

■凄腕クリエイターの素顔は学生らしさ満開
作品のクオリティや業界での評価も高い山GEん 氏ですが、好きな食べ物は、牛乳プリン。一つ何でも望みが叶うとしたら、大学のキャンパス内にスタバが欲しいという学生らしい一面を見せていただきました。

ちなみに、マイブームは散歩だそうで、歩いていると気分もすっきりするとのこと。また「ちはやふる」にもはまっていて前向きな話のマンガは好きというポジティブなクリエイターさんです。

■山GEん 氏 プロフィール
アニメーション作家/映像ディレクター

1985年12月19日 福岡生まれ
2009年九州大学芸術工学部画像設計学科卒業
九州大学大学院芸術工学府デザインストラテジー専攻在学中

●受賞歴
・AsiaGraph2009 最優秀賞
・14th アニメーション神戸 デジタルクリエイターズコンペティション 最優秀賞
・BACA-JA2009 最優秀賞
・宮城仙台アニメーショングランプリ2010 優秀賞
・宮城仙台アニメーショングランプリ2010 入選
・第21回CGアニメコンテスト 佳作
・デジタルスタジアム細田守セレクション
・デジタルスタジアム中谷下半期セレクション
・長崎水辺の映像祭2009優秀賞
・ADAA2009 動画A部門 入賞
・e-magicians2009 にて、招待上映
・TSSショートムービーフェスティバル 佳作
・ADAA2008 静止画A部門 2作品入賞

●仕事歴
・Chemistry 「period」PV アニメーション
・大刀洗戦争記念館常設展示映像 アニメーション担当
・JMテクノロジー社PR映像制作
現在は、ドラマなどの制作にも関わっています。

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