価格が下がる?アプリ内課金がもたらすユーザーメリット【iPhoneでチャンス掴め】


日本のコンテンツプロバイダーは、iPhoneに参入しない理由を「iPhoneでは継続課金ができないから」と述べてきましたが、「アプリ内課金」の採用で、その問題は解消されたといわれています。
ただ、いわゆる「眠り会員」に課金という方法は、iPhoneや世界のインターネットビジネスには存在しませんので、定期的にアラートを出して「継続利用しますか」と承諾を得るのがグローバルスタンダードです。

とはいえ、アプリ内課金でアイテム別に売ろうとしますと、今までのワンショット課金のように、アプリだけを作って、アップストアの商品棚にあげるだけでは済まされません。別途に「コンテンツ管理」「DB管理」「課金認証」のためのサーバが必要となりますので、iPhoneアプリのベンダーもいずれは、日本のモバイル業界のようにコンテンツホルダーとサイト運営者がきれいに分業する時代が来るかもしれません。

そうなりますと、ビックタイトルを持つゲーム業界や、キャラクター業界の参入が増え、アイデア一発の無名ベンチャーのラッキーヒットは難しくなる可能性もあります。

■iPhoneのアプリ内課金とフロー
iPhoneのアプリ内課金の流れについて説明しておきましょう。

アップストアの役割は、アプリをダウンロードする際の課金認証と再ダウンロード保障で、アプリデータはAppleが預かるわけですが、アプリ内課金になるとアップストアの役割はレシート発行になります。そしてオプション課金をする都度に、レシートを発行して、それを課金認証に使います。

ユーザがアプリ内で追加コンテンツ「購入」を決めますと、追加サービスのダウンロード完了まで、以下のようなフローとなります。
1. Appleにて、レシートを発行し、アプリへ渡します。
2. レシートが、アプリからコンテンツプロバイダーサーバへ移動します。
3. レシートが、コンテンツプロバイダーサーバからAppleへ移動します。
4. レシートが正常のものであればコンテンツプロバイダーに「認証OK」を返し5へ。
5. ユーザが選んだコンテンツがアプリにダウンロードされます。
※「コンテンツプロバイダー」はコンテンツプロバイダーの略。

Appleとアプリ、コンテンツプロバイダーのサーバがレシートを通して認証しているという仕組みになります。

■Appleとコンテンツプロバイダーの役割と管理の違い
アプリ内課金の仕組みを入れたい場合は、アプリにライブラリ追加。別途にサーバを用意し、コンテンツ管理、アプリとの連携処理、Appleとの通信認証、運用者の管理画面、といったことをやらなくてはなりません。

レシートに記述されている情報は、アプリのID、コンテンツのID、そして「レシートの属性」といった簡単なデータだけになります。付随した情報はレシート発行時のフローで別途情報を付加させ、コンテンツプロバイダーのサーバでDB管理しなくてはなりません。

Appleはレシートの発行金額だけを確認できればよいので、どれだけ売れてといった情報や誰がどのパーツを買ったという情報など、コンテンツプロバイダーがマーケティングや管理に必要な情報はコンテンツプロバイダー独自で整理しなければなりません。

■レシートの属性と課金モデル
先ほど記述した「レシートの属性」についても説明しておきましょう。
下記のタイプが、3つの課金モデルを決める重要な概念になります。

1.消耗型
レシートは1回のみ発行。ロールプレイングゲームの薬草やポーションのように、一回きりのユーザ効用を売る場合に用います。

2.恒久型
レシートは何度でも発行します。これは元アプリと同じ扱いになります。バージョンアップ自体を付加価値として権利をなくさない場合に利用します。雑誌の毎号課金や動画をクリッピングしておくような使い方で用います。

3.期間型
レシートは特定期間だけ発行。レンタルビデオのような期間利用をさせる場合に利用します。

下記のようなケースでは、アプリ内課金ができないものもあります。
・リアル商品の販売
・ゲームコンテンツ自体(アプリで売ればいい。)
・他のiPhoneアプリで使えるチップ(PCのサービスはOK)
・エロス、暴力(アプリの規定と同じ)

■アプリ内課金の問題点
アプリ内課金でネックとなるのは、価格設定が柔軟性にかけるところです。
・$0.99, $1.99, $2.99, &3.99…といった価格設定になります。

実は、アプリ内課金はサーバが絶対必要かといいますと、そうでもありません。
「レシートのみダウンロード」という形態であればサーバが必要ないのです。

裏を返せば、なんらかのデジタルデータのやりとりをさせなければ、コンテンツサーバは要らないということになります。これは、どういうことかといいますと、すべての機能やサービスは最初のアプリに組み込みを行い、レシート発行でフラグをオン/オフさせることでユーザに付加価値を提供するようにすれば良いのです。これらは、ポイント付与や対戦機能、ライフ、アイテム、特殊面などが相当します。

■機能は必要とする人に提供し、初期価格を下げる
今までは、一つのアプリに機能をフル装備して全機能を最初から提供してきました。すべての機能を必要としてない人には、当然割高に思えてしまいます。
そこで、最初は機能を制限して価格を下げて提供し、もっと機能が必要な人には、プラスのお金と交換に機能を解放していくという方式が可能になったという意味で、「アプリ内課金」は画期的な試みだったわけです。

こういったマーケティングシナリオを描いていくのは、日本のモバイルコンテンツプロバイダーが最も得意とするところでもあります。

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