日本販売の可能性は?販売方式も型破りなGoogle Nexus One【世界のモバイル】


GoogleからAndroidスマートフォンの本命ともいえる「Nexus One」が販売開始された。細かいスペックなどはすでに多くのメディアで報道されている通りで、Android OS 2.1を搭載したフルスペック端末だけに世界中から注目を集めている。Googleは自らは端末を生産せず、各メーカーから多数のAndroidスマートフォンをラインナップさせると考えられていたことから、今回のNexus Oneの発売には驚きの声も上がっている。今後、各Android端末製造メーカーは本家ともいえるGoogleの製品とも競争しなくてはならなくなったわけだ。
Googleの4つのラインカラーが画面を走る様も楽しいNexus One

このNexus Oneは一般の流通を通しての物販ではなくサービスや広告を収入源とするGoogleが直接販売するスマートフォンということで販売方式にも大きな特徴がある。Nexus Oneは実店舗ではなくインターネット上の専用WEBページからのみ購入できるという点がGoogleらしいが、その販売手法も従来の携帯業界の常識とは異なる新しい試みが取り入れられている。

携帯電話の販売は日本やアメリカでは通信事業者と契約して購入することが一般的だ。たとえば世界中で販売されているiPhoneも単体売りされている国はごくわずかであり、オンライン販売も国内向けに契約プラン込みでの通販が行われている。また回線と端末が分離されているヨーロッパやアジアなどではメーカー直販による端末の単体売りもあるが、その場合も販売先は通常国内のみだ。たとえばNokiaはイギリスや中国で端末のみのオンラインストアを提供しているものの、国外からの購入はできない。

これに対しNexus Oneは端末単体をグローバル向けに販売している。国という枠を超えた端末の通販は携帯電話というよりは情報家電のような販売方法であり、しかもどの国で購入しても価格はワンプライスなのである。これまで携帯電話の販売価格は国によって物価差などを考慮した価格差がつくものだが、Nexus Oneは国境を越えて同一価格で販売されているのだ。

もちろんNexus Oneは、通信事業者の回線セットも販売される。現時点では北米のT-Mobile USAのみだが、回線込みの価格は199ドルと北米で一般的なスマートフォンの価格に抑えられている。今後は同じ北米のVerizonからと、ヨーロッパではVodafoneグループからの契約セット販売が予定されている。だが販売ページを見てみると一番上に掲示されているのはSIMロックフリーの単体品で、Googleとしては利用する通信事業者と無関係に、単体での販売にも力を入れていることがうかがえる。
単体売りを一番上に掲示しているNexus Oneの販売ページ

現在、Nexus Oneを注文できるのは北米、イギリス、そしてシンガポールと香港のみだ。前者の2カ国は通信事業者からのセット販売も提供される国であり、契約縛り無しで購入したい利用者向けの販売といえるだろう。一方日本やヨーロッパ諸外国からは購入できず、都市国家のシンガポールと香港で先行販売が開始されているのは両国の携帯電話普及率が高く、スマートフォンなど高機能・高価な端末を携帯電話利用者が比較的受け入れやすいからだろう。

両国とも SIMロックフリーの端末が一般的に販売されており、5万円以上もするスマートフォンが一般的に販売されている。自分の利用する通信事業者のSIMカードと、メーカー販売のスマートフォンを自在に組み合わせて利用することも一般的だ。また国民平均所得が比較的高く、ITリテラシーも高い都市国家であれば Nexus Oneのような最先端の端末のマーケティングも行いやすいのだろう。

ではNexus Oneは日本では販売されないのだろうか? 現状のままでは販売の可能性は限りなくゼロといえよう。たとえば前述したシンガポールや香港は回線と端末が完全分離されているため、Nexus Oneを購入した消費者が自分の利用している通信事業者の店舗に持ち込んだとしても、スタッフは何事もなくNexus Oneに自社のSIMカードを入れて渡してくれる。携帯電話とは通信方式が同一であれば世界中どこでも使える汎用品であり、自社が販売したかどうか、といったことは一切関係ないのだ。つまり携帯電話の規格さえあれば「動いてあたりまえ」というのが海外の常識だ。

これに対し日本では端末は TELECなどの日本独自の認証を再度受ける必要がある上に、通信事業者は自社販売以外の端末の動作をそもそも保証しないだろう。そうなると日本で販売される可能性としては通信事業者からとなり、契約セット販売になるのであろう。またせっかくGoogleがSIMロックフリー端末を用意しているにもかかわらず、契約セット品しか購入できないといった制限が加わる可能性も否定できない。

iPhoneでも香港などではAppleが単体販売を始めているわけだが、将来、メーカーから直接SIMロックフリー端末を全世界販売するといった動きも今後は起こりうることである。そうなった時でも「端末は通信事業者が販売するもの」という旧来からの販売手法を日本は続けていくのだろうか?

スマートフォンは通信事業者が提供するサービスとは切り離して購入、利用することもできる製品だ。Nexus Oneの今回の販売方法は、スマートフォンの時代が本格到来したことを予感させる新しい手法といえるだろう。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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