Perl界の重鎮 リチャード・ダイス氏が登場!「YAPC::Asia Tokyo 2009」開催


Perlの技術者向けのカンファレンス「YAPC::Asia Tokyo 2009」が2009年9月10日、都内 東京工業大学 大岡山キャンパスにおいて開催された。開催期間は、9月10日〜16日の6日間※。
※9月14日以降は特別研修となる

Perlは1987年に初めて発表されて以来、20年以上の長きに渡って進化し続けているコンピューター言語。現在、livedoorやmixi、DeNAだけで360億PV/月を処理する言語であり、国内外のWebサービス開発における主要プログラミング言語のひとつとなっている。


■リチャード・ダイス氏がPerlを語る
イベント初日の目玉は、Perl界の重鎮でThe Perl Foundationの理事長 リチャード・ダイス氏の基調講演だ。同氏は「Where Perl can go and how to get it ther」と題し、Perlについて語った。
The Perl Foundationの理事長 リチャード・ダイス氏

まず最初に「FLOSS Evolutionary Development model」についての説明があった。

●「FLOSS Evolutionary Development model」とはなにか
概略を簡単に説明すると、時間とともにソフトウェアは機能が増えていくが、まずは誰かが最初にリリースする必要がある。

方向性とプロジェクト運営が正しければ、少しずつ協力してくれる人が現れる。そして徐々に改良が加えられ、システムが「Steady State(安定した状態)」になるというものだ。
ちなみに「安定した状態」にあるシステムを、生物学者たちは「それはすでに死んでいる」と表現するらしい。
FLOSS Evolutionary Development model for Technology Development

話を元に戻そう。そもそも「安定した状態」というのは、プログラミングにおける問題(問題分野)をやりつくしたことだという。具体的な例としては、「Text::Templete」があげられるだろう。
別の言い方をすれば、開発者の興味がすでにほかに移ってしまったことを意味する。この場合、次のステップにいくにも、コストが掛かりすぎるというのだ。

とはいえ、「この問題はやりつくした」といっても、たいがいは時間とともに分野自体が変化している。怖いのは変化があったにもかかわらず、最初の段階からそこに加えられないことだという。Perlの開発の中では、そこがまさに一番の弱点となっている。

いつかその問題を解決するというのはナンセンスで、いつか解決されたころは、ほかの技術がネットワーク効果による利得を得たあとが多いというのだ。

諸問題を解決する手段としては、お金で解決することだが、興味がある人がお金を持っていることが前提となる。何人の開発者が参加しているのか、どういった能力の人が参加しているのか、どれぐらいの期間作業するのか、という点で、コストは大きく変わってくる。お金に余裕がない人は、お金がある人を巻き込んでいけばよいというのが、リチャード・ダイス氏の考えだ。

●一番の成功例はMozilla Foundation
Perlはオープンソースな言語だが、Perlは本当に収益にならないのだろうか?

リチャード・ダイス氏は、一番の成功例としてMozilla Foundationをとりあげた。Mozilla Foundationは、オープンソースのブラウザ「FireFox」やメールソフト「Thunderbird」を提供する会社だ。
Mozilla Foundationには、約100名のスタッフがいて、半分がプログラマーで残りがその他の技術者となっている。

そんなMozilla Foundationは、年間収益が80万ドル、口座には50万ドルあるというから驚きだ。実は、収入のほとんどはGoogleからだが、最初からこうだったわけではない。

Netscape社に勤務していたMichell Backer氏がMozillaプロジェクトのマネージャーに就任したのち、紆余曲折を経てGoogleとの提携に戦略的な価値を見いだして息を吹き返したのだ。
Googleは汎用プロトコルが作る「開かれたインターネット」が収入源となっているが、ライバルはその逆に走った。

GoogleとMozilla Foundationの提携は汎用プロトコルのうえに質の高いソフトウェアを作ることによる市場の開拓が目的だった。大きな企業と提携するベストな例がMozilla Foundationといえるのだ。

●YAPC::Asiaの特別研修も開催
YAPC::Asia Tokyo 2009の開催に合わせ、都内 秋葉原UDXビルにおいてPerlに関する特別研修が開催される。
最近脚光を浴びている最新オブジェクトフレームワーク「Moose」をはじめ、MySQLとDBIx::Classを使った際のスケーリングやレプリケーションのほか、アルファブロガーとしてもお馴染みの小飼弾氏をはじめとする著名な Perl Hackerによる実用性の高い講義が聞けるチャンスとなっている。
YAPC::Asiaの特別研修開催のお知らせ

14日 Moose入門、モダンなオブジェクト指向システム Shawn Moore氏(cpan_id: sartak)
15日 Perl, Unicode, Ajax 小飼弾氏
16日 DBIx::ClassとMySQLによるPerlアプリケーションのスケーリング術、John Napiorkowski氏

以上のように今年のYAPC::Asiaは大物ゲストに加え、特別研修も開催されるなど、Perlの最新技術に触れることができる絶好の機会となっている。

Perlに興味のある人やPerlを使って仕事をしている人、最先端のPerl技術を目の当たりにしたい人には、見逃せないカンファレンスといえるだろう。

YAPC::Asia
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