アナタの持っている価値を10倍にさせる技術【右脳をシゲキするエンジニア】
タナカ ミノルさんは、1999年頃から独学でflashを始め、その後フリーランスを経て、2003年にピクルスを設立。最近では、パナソニックのブランディングサイト「9.16 Coming Soon」のウェブサイトを手がけるなど、クリエイティブディレクター、アートディレクター・デザイナーとして幅広く活躍中だ。
■「価値」を高めるための能力とは?
まずタナカさんは、「仕事における「価値」とは、そもそも何か?」ということを会場に問いかけた。この際に、「価値」というのは「○○○力が高い」という言葉に置換して考えるとわかりやすいとのこと。
タナカさん自身は、ウェブ制作の仕事で「価値」として評価されることとして、下記の5つの能力が大切だと考えているという。
・企画力
・デザイン能力
・実装力
・クリエイティブ能力
・コミュニケーション能力
「価値」を高めるためには5つの能力が必要だ |
■わかるまで繰り返し勉強して実装能力を高める
タナカさんは仕事を始めてすぐに技術的なスキル不足の壁にぶつかり、仕事面・経済面で追い詰められたが、そこでスキルの幅を広げようと、flashのプログラミングに挑戦。さっそく教則本を買い込み勉強してみたものの、はじめはまったく理解できなかったという。
そこでタナカさんは、同じ本を何回も読み返すことをやってみた。そのうちに自分がつまづいたこと、わからないことの回答は、必ず本のどこかに書いてあるということに気づいた。そういったことを繰り返すうちに、2週間ほどでflashのミニゲームを作れるくらいまで実装能力を向上させることができたそうだ。
学生の頃に先生によく言われていたような当たり前のことではあるが、教則本や技術書を理解できるまで繰り返し読み、着実に身につけていくことが、技術を習得する上では大切なのだ。
■デザイン力を向上させるためには、チャンスを自分で作る
その後、タナカさんは積極的にコンペに応募することで仕事のチャンスを増やそうと試みたという。
一度のコンペでも複数のデザイン案を提案するなど、とにかく数多くのデザインを作ったそうだ。デザイン能力は短期間では習得できるものではない。そのために、とにかくデザインする「機会」と「数」を増やすことでデザイン能力を向上させたのだ。
また、当初は自分なりに凄く作り込んだ作品であっても、ことごとくコンペで負けてしまっていたそうだが、コンペへの挑戦を続けるうちに、ユーザー目線、ターゲット(お客さん)を意識し、目的・効果を考えてデザイン制作することも自然と身についてきたという。「なんとなくカッコイイ」という表層をデザインするのではなく、全体を俯瞰し捉えた上で考えるという、アートディレクター的な視線を持てるようになったのである。
デザイン力を向上させるには「数」多く作ること タナカ ミノルさん |
■「やりすぎ」るくらいまで徹底的にやってみること
タナカさんは、何でも「やりすぎる」くらいまでやってみることが大切だと説く。例えば、タナカさんの場合はこのような「やりすぎ」を実践しているという。
・やりすぎ その1:コンテを描きまくる
・やりすぎ その2:構成は具体的にイメージできるくらい細かく考える
・やりすぎ その3:サンプルまで自分で作る
タナカさんは、まず、思いつきやアイデアは、必ず言葉にすることの大切さを強調する。言葉にすることで、単発のアイデアが繋がり1つのストーリーとなっていくというのだ。また次にそのアイデアをコンテに描くことも大切という。コンテを作ってみると、自分のイメージも鮮明になり、またクライアントへの訴求や理解度・共感度もアップするからだ。
またタナカさんは、構成書でもコンテをたくさん使用し詳細な部分まで書き込んでいるという。構成書の段階で、詳細な完成イメージを作れる方がよい作品になる可能性が大きいという。
「やりすぎる」自分をタナカさんは、こう分析している。
タナカさんは、29歳でウェブ業界に転職と、どちらかといえば年齢的には遅い転職組だ。その転職の動機が、当時の自分が子供の頃に夢みていた「カッコイイ」自分になっていないということだった。それから10年たった今、小学生だった自分に、「いけているでしょ」と言える自分にだんだん近づいてきているという。今でもタナカさんは、なりたい自分になる(近づける)ために「やりすぎる」を続けているという。
時には「やりすぎる」ことが行き過ぎて「余計なこと」までしてしまうこともあるそうだが、「やりすぎたこと」は決して無駄にならないと語る。
「自分ができないことにチャレンジすることで、その専門家や、担当の方と話ができることが多くなるんですよ。それで問題が解決したり、新しい展開が生まれたりするんです。」
やりすぎるくらい「余計なこと」をいっぱいやって、自分のチャンスや可能性を広げることが、自分の価値を高める一番大切な技術ということだ。
■株式会社ピクルス
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